10話 賑やかな水着の指名依頼
拙者を無事にバーへ送り届けるがそのまま家まで連れて行けと言われて拙者の家の前まで送る。別れ際に「恥ずかしい所を見せたでござるな」と言ってシュンとして帰って行った
翌日からピリオドの生活は一変した
ピリオドを起こすときのコンマが以前より騒がしくなった
「先輩起きてください、おーきーてー」
以前は少しうるさい目覚ましくらいだったが今は騒がしく周りを飛び回る
「うるさい…」
「ダメですちゃんと起きて準備してくださいほら髪の毛もちゃんとしてください」
「めんどくさい…」
ピリオドはソファーにあったクッションでコンマを捕まえて拘束する
「ヒドイです先輩、私は支援型端末ですよ、先輩に足りない所を補う為に存在してるんです言うこと聞いてください」
クッションから抜け出したコンマは激しく点滅しながら抗議をしてきた、寝起きから今までなかった賑やかなやりとりをして若干疲れたピリオドはコンマに全てを任せる
コンマが周りを浮遊しながら髪を梳かしてくれる、いつもより綺麗にはなっていたがその間もコンマが乙女の嗜みを説教してくるのでさらに疲れる事になった。そんな賑やかな寝起きを迎えた後今日はバーに行く前に洗車場へ寄る、昨日の嘔吐物を掃除する為だ
洗車場へ着くとコンマからのメッセージが来る、外なのでコンマは声を出せないからだ
《先輩大変です、水着がありません》
何いってんだコイツと思いながらコンマを無視する。ピリオドがいつも着ている上着は速乾の機能は着いているが細かい湿気が残るのが嫌なので上着を脱いでバイクに仕舞うと洗車を始めた
《乙女たるもの外で水がかかる状況では水着を着るものですよ、常識ですよ常識》
アップデートで本当にポンコツになったのではと心配するピリオドだった。洗車も終わりバーへ向かう
《先程の薄着で水に濡れてる先輩もなかなかよかったです水着じゃなくてグッと来るんですねぇ流石先輩》
「やっぱりダウングレードだ…」
特大の溜息をつきながらピリオドはバーへ向かって走り出す
バーに着くと久々にフードを被る最近はバーでフードを被る事も減ってきたなとピリオドは考えていた
「今日はどんな仕事がある?」
「機密データ運びくらいだな、場所はコンマに送っとく、それでな仕事終わったら話あるから時間とってくれ」
マスターがそんな風に言ってくるのは珍しい、だいたい仕事が終わればお金を受け取ってコーヒーでも一杯飲んで帰るのが日常だった
「わかった」
マスターに渡されたクリスタルメモリーを受け取ると指定された場所へ向かう、今回は歓楽街の路地裏のゴミ箱を指定された
顔を隠し人混みを縫うように路地裏へ進んで行く指定された場所へ荷物を置きその場を離れる
フードの被りが甘かったのかビル風でフードが一瞬脱げるがすぐさま被りなおした、しかし一瞬だったが顔を晒してしまったがために変な輩が寄ってくる事になった
酔っていて気持ちよくなっているのだろう3人組がピリオドに声をかけてくる
「おねーさん美人さんだね一緒に飲もうよ」
ピリオドは美女と美少女の間くらいなので顔を見せると変な輩が寄ってくるそのためにも常にフードを被っていたのだが今回はマスターに言われた事が気になったせいもあって警戒心が緩んでいたのかもしれない
ピリオドは片手でシッシと男たちをあしらうが男たちは回り込んでピリオドを逃すまいとする
しばらくは耐えていたがそろそろ依頼人が荷物を受け取りに来る時間だ、穏便に済ませたかったがピリオドは仕方なく3人のうち2人の顎を揺らす
顎を殴られた二人はカクンと膝から崩れ落ちた
「飲み過ぎだね大人しく今日は家に帰ったら?」
急に倒れた2人を焦って介抱する男に言うとその場を素早く去る、人混みから外れたピリオドは壁を蹴り登り、ビルの間を飛び越え指定された場所が見える位置に移動すると荷物が受け取られた事を確認した
バーへ帰り着くとまずはマスターへ依頼の完了を報告してお金を受け取るその一連のやり取りが終わるとマスターが本題に入った
「ピリオドに指名依頼だ」
「私に?誰から?」
「100年歌姫様だとよ」
「アルファから?」
「アルファ?まぁいい正確には上にいるあいつを通しての100年歌姫様側からの依頼だ」
上にいるあいつとはバンマスの事だろうマスターはバンマスを呼ぶ時にそう呼ぶ
「上に居た時にやった演出が気に入ったんだとよそれでその時のエンジニアを自分のライブで使いたいそうだ、もちろんあいつもピリオドの素性を明かしては無い、とりあえずお伺いを立ててきた感じだもちろん断る事もできるぞ?」
話を聞いたピリオドが悩む、アルファの手伝いはしてみたい。しかしライブとなると出会う人も多くなるのではと考えていると
「その依頼受けまーす」
コンマが勢いよく返事をした
「ちょっとコンマ何を…」
「その依頼先輩に来てますが実質私への依頼ですよね?」
「まぁそう言われればそうだな、それより良く喋るようになったな」
「おじ様相手なら喋ってもいいって言われてますからね。それに先輩も本当は手伝ってみたいんでしょ?」
「それはそうだけど」
そのままコンマに押し切られそうになるが仕事内容とどういう環境かを聞いてみないと分からないので受けるかどうかはとりあえず保留にして相手の代表と会う約束だけを取り付ける
その話をしてから3週間ほど約束の日が来た
待ち合わせの場所はホテルの一室、ホテルは何かあってもすぐ逃げれるようにピリオドが指定した
若干の緊張をしながらピリオドはホテルの部屋へと入る、部屋の通路を抜けてソファーに座っていたのはアルファその人だった
「アルファ?」
「あれピリオド?」
二人が顔を見合わせて疑問を浮かべる、ピリオドはライブを取り仕切る偉い人が来ると思っていたのでアルファ本人が来るのは想定外だった
「久しぶりだね、所であなたが来たって事は第6での演出はあなたがやってたの?」
「そうだよ、アルファのライブを見た日に私は演出をしてた」
「そうなんだ、それは嬉しい誤算だわ、ささ座って」
アルファはピリオドをソファーへ案内するとお茶を入れてピリオドに出してくれた
そこからは仕事の話をしていく。条件は聞いていた通りに悪くなかった
「という事なんだけどどう受けてくれる?」
「悪くない話だし受けたいと思うけどその…あまり人と関わるような事は避けたいかな」
「そこは配慮するわ、なるべく人目に付かない場所に制御室を用意する、もちろんライブも見れる特等席」
「ありがとう、でもてっきり偉い人が来るのかと思ってたよ」
お茶を一口飲んでから飲みピリオドは疑問をアルファにぶつけた
「偉い人が来てるわよ、私のライブの権限は全部私だもの」
「そうなんだてっきりアルファは歌うだけかと思ってた」
「最初はそうだったんだけどね、自分で色々やって行くのが楽しくてそれにその方がファンも喜んでくれたからいつの間にか全部自分でやるようになちゃった」
「色々あるんだね大変そう」
「大変な分楽しいけどね」
ピリオドは関心しながらまた一口お茶に手を付ける、なんとなくホッとするお茶だったそう思っていると今度はアルファからの問いかけが飛んできた
「ところでピリオドあなた歌上手いらいしわね?」
「バンマスか…」
「そうよあの人、人の歌を滅多に褒めたりしないのに褒めてたわ相当よかったみたいよ、それであなたの歌を聞いてみたいのだけど?」
「100年歌姫様にお聞かせするような歌ではございませんよ?」
悪戯気味にわざと100年歌姫と言うとそう呼ばれることに若干膨れるアルファだった
「そんな事言われると意地でも歌わせたくなるわね、覚悟しとくといいわ」
わざとらしく手を頬にあてオホホホと高笑いをする
「これが本性だなんてファンが見たら…」
「ファンの前ではこんな事しません、友達の前だから出来るんです」
友達と言われたことが嬉しく少し俯いてテレを誤魔化して話を変える
「それより一人でこんな所へ来て大丈夫なの?ボディガードもいないみたいだけど」
「私が強い事は知ってでしょ?」
そう言い力こぶを作る、ピリオドは自分以上に表情豊かなアンドロイもいるもんだなと思う。そしてそこがアルファの魅力なのかもしれないとも
「そうだったねあの時は結構な物を見せて頂いて」
深々とお辞儀をしながらピリオドはあの時の水色を思い出す、自分もコンマの事をどうこう言えないかもと少し思った
「もうその事は忘れてよ!それより今回の事よろしくね」
そう言って二人は固く握手を交わした
※クリスタルメモリー
容量は128ゼタバイト。2022年の世界に存在するデジタル・データが全て入る容量
更新が2日に1回くらいになります




