前章
油まみれの部屋で私は息絶えようとしていた。
あたりは悲鳴ばかりが聞こえて銃の音が鳴り止まない。
肝臓が撃ち抜かれていてはどうしようもない。
何とか研究室へ逃げこんだが呼吸が浅い。もう手遅れか。
唯一の気掛かりは王女様の命だ。あの方だけは命に変えても守りたい
私がわたしらしくいられたのもあの方のおかけだ。
視界には黒いモヤが掛かり瞼も半分まで閉じている。そのわずかな視界には一体のロボットが映っていた。
あれは人間の脳内情報をロボットへコンバートする為に私が研究していたものだ。だが人体実験への段階で問題が発生してしまった。
それはコンバートした人の情報はロボットへ移す事ができるが本人の魂は抜けてしまう。脳が空の抜け殻状態つまり廃人になってしまうだ
コンバートされたロボットには本人の情報が入るがそれは同じ性格の別の魂なのである。もちろん他の人間がみても同一人物の魂にしかみえないだろう。
私は考えた。私という魂が消え去っても新しい私があの方を守ってさえくれればそれでいい。
残り最後の体力を使いコンバート用の機械へ体をはいずらせる。
頭にヘルメットの様な物を装着してコンバートスイッチ起動。
私がいなくなる前に私は魂へ叫ぶ。
「あの方を!!アリス様を命に変えても守れ!」
私の視界は遮断され目が覚めると目の前にはヘルメットを被った若い青年が横たわっていた。
あれは私だ。私であり私ではないエミール。
そう私の名前はエミール。アリス様をお守りする為に存在する。