第5話 ヤンキー生物学者
俺は左足を一歩踏み出して右腕を少し後ろに引き全力で拳を敵に向けて撃ち放った。拳は少し弧を描きながら、飛び上がって俺の目線あたりにきた標的に近づいていき、衝突した
その瞬間、標的はプニュンっという音を立て1メートルほど飛んでいき、体が結晶となって砕け散った。
「よっしゃー! やっとスライム一体倒したぞ!」
なぜ俺がたかがスライム一体を倒して喜んでいるのかというと、ジョブスキルにも現在攻撃に使えるものがなく、武器の持てない俺の攻撃手段はこの身一つだったことだ。
だから防御力10のスライムには攻撃力5の俺はどうあがいても1ダメージしか与えられない。
つまりスライムのHP分殴らないといけないということだ。
結局俺はスキルを確認した後、町を出て森の入り口から少し逸れたあたりで戦っていた。
スキルはどれも異常的なもので、使える段階ならば強いだろうが、今は弱い。だから使えるようになるまで頑張ると決心したのだ。
「よーし! もうちょい狩るか」
そして三体目に最後の一撃を決めた時
『レベルアップ! レベルが2になりました。スキル【素手攻撃】、【衝撃拳(小)】を取得しました』
「スキルを習得したな、衝撃拳って俺の職業格闘家じゃなくて生物学者だぞ、まあいいか詳細確認するか」
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【素手攻撃】
武器を装備していない状態で拳で攻撃した場合相手の防御力を無視して与える
取得条件
敵を300回殴ってダメージを与える
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【衝撃拳(小)】
武器を装備していない状態で拳で攻撃した場合攻撃にノックバック(小)を付与する
取得条件
敵を3体殴って倒す
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「いや、この取得条件普通しないよな! 武器使えなくてよかったノックバックは使えるしこれで1ダメしか与えられなかったのが3ダメージ入るようになった! 効率3倍だぜ!」
そうしてステータス画面を閉じると……
「かっ囲まれてる!」
10体のスライムが俺の周りを囲んでいた。
「10体相手にしたら新しいスキルを獲得したとしても時間がかかるなあ、まあやるか!」
「おりゃー!」
プニュンッと音をたて1体のスライムは2メートルほど飛んでいった。
「ノックバックつよっ! よしお前らも来い!」
俺の声と同時にスライムたちは俺に体当たりしてきた。だがそれは無駄だ!
俺はさっき1体を相手していたようにスライムの攻撃は避けられない、だが【症状緩和】で1ダメージしかくらわない! さらに【アスクレピオスの杖】の効果でHPは回復される! 時間さえかければ倒せる!
「これで最後ー!」
プニュンッと音を立てて飛んでいった最後の1体が結晶となって砕け散った。
『レベルアップ! レベルが4になりました。スキル【修羅の道】を取得しました。スキル【素手攻撃】が進化し、【拳の語り合い】になりました。スキル【衝撃拳(小)】が【衝撃拳(中)】に進化しました』
「俺はヤンキー目指してねぇよ!」
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