第9話
しもらさんが入室しました:
カヲル>こんばんは
しもら>こんばんわ
しもら>あ、「ー」が抜けちゃいました
カヲル>敬語は不要
しもら>わかった
カヲル>ところでメールの答え
しもら>うん
カヲル>関係ない、気にするな
しもら>気にするって?
カヲル>相手の反応を気にするなってこと
しもら>気にするよ
カヲル>なんで?
>
カヲル>しもら?
しもら>相手を好きだったら気にするじゃん
カヲル>好きなの?
しもら>好きじゃなかったらレスしないもん
しもら>正直言うけど
カヲル>なに?
しもら>カヲルさんってもろナンパしてる
カヲル>「さん」いらない
しもら>こそばゆいから、つける
カヲル>こだわるね
しもら>悪い?
カヲル>そこがかわいい
しもら>バカ
カヲル>もっと親密になれば
しもら>なに?
カヲル>チャットでいいことできるよ
しもら>いいことって?
カヲル>今は秘密
しもら>ずるーい
カヲル>まだ嫌われたくないからね
しもら>嫌いにならないよ、たぶん
カヲル>ほら、嫌うかも
しもら>えっと、そろそろ時間が気になるから
カヲル>残念だな、もっと話したいけど
しもら>じゃあ、また近いうちにやろう
カヲル>いいね
しもら>一回一回は長くできないけど、定期的にしよ
カヲル>あ
しもら>なに?
カヲル>今のいい
しもら>?
カヲル>定期的にしよって
しもら>え?
カヲル>…知らないほうがいい
しもら>えー、気になるしー
カヲル>今は教えない
しもら>聞きたい聞きたい聞きたい
カヲル>また今度
しもら>ぶすー
カヲル>ふくれてもダメ
しもら>じゃあ、いつか聞かせてよ
カヲル>了解
しもら>おやすみー
カヲル>おやすみ、ぐっすり眠るんだよ
しもらさんが退出しました:
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すごく楽しかった。
安心した。
ネットの友達と初めてチャットして、その楽しさはわかってたけど、こんなふうに二人きりでするチャットなんて経験ないから……正直ちょっとだけ不安だったけど、そんなことなかった。
というか、まだ慣れてないっていうのもあってなかなか早く打ちこみできなかったし、相談とか聞いてもらいたいことにしたって、最初はまだタイミングとかよくつかめてなくて。
結局当たり触りのない会話で初めての二人チャットは終わりを告げた。
それにしても、最後の言葉には意味深な雰囲気あったよなあ。まあ、何となく想像はつかないでもないんだけど。
思うに、Telephone_Sexとかって聞いたことあるけれど、Chat_Sexなんてしてる人いるのかなーって。
そういう話を以前友達と話したことあるんだけど、「打ちながらできると思う?」って。「片手で打って片手で───そんなのムリムリ」って。
そうかなー。できないかなー。
そのとき、私は悪魔的な倒錯な世界を垣間見た気がした。
女って絶対悪魔だ。そうに違いない。