第6話
本当にやめるのかい?
掲示板に書いてあるのをちらっと見たが、
本当にここを閉鎖するつもりなのかい?
せっかくここまで来たのに
途中で投げ出してしまうとは、
あなたもそこまでの人ということか…。
辛い気持ちはわかる。
だが、何もかも消し去って
忘却の彼方に埋もれさすことが、
あなたにとって果たして良いことかどうか、
よく考えてみたまえ。
少なくとも、ここに一人、
あなたの書き込みを待っている者がいることを
忘れないでほしい。
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日記を見たよ
ともかく元気になったようで安心したよ。
ただ、一つ忠告しておく。
時にはプライドを捨てる事も大切だ。
わたしの言ってる事がわかるね?
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カヲルさんって厳しいこと言ってるようで、その実、後ろにあったかさを感じさせる。
だから、いろいろキッツイこと言われてもそれほど腹が立たない。
まあ、それでもムッとすることはあるけど。
そりゃ私だって感情のある人間だから。
だけど、私は付き合っていく自信はある。
相手が私についていけなくなって離れるってことはあるだろうけど、私は絶対そういうことはないと思う。
というか、「別れましょ」っていうことを言わないだけで、疎遠にはなっちゃうかもしれないけれど。
日記。
カヲルさんは日記を見ているよって言ってた。
きっと、言わなくても見ている人は見ているんだろうけど、やっぱりこうやって一言でも「見てる」って言ってもらえると嬉しい。
別に深いリアクションがほしいわけじゃない。
ほしくないというわけでもないけれど、一言が大事なんじゃないかって思うんだ。
だから、私はそうしていきたいって思うんだけど、人によってはこういう私をウザく思うんだろうね。
そりゃ、私が独身の若い女の子だったら、いろいろ相手してくれる男の人とかいるんだろうけど───あいにく私は……
いい年をして、結婚もしているおばさんであっても、私の相手をしてくれるんだろうかと思う。
年や立場だけでなく、私の思い、心に巣食う闇までもひっくるめて「好きだ」と言ってくれる人を、私は追い求めている。
だって、私を扶養してくれている人は、私のそういう闇を認めようとはしないんだもの。
誰か救ってくれるのを。
カヲルがその救世主であることを願って。
私はまたも今宵、メールを送り続ける───