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メラバ  作者: 谷兼天慈
38/51

第38話

こんばんわ


ゼッタイあんたのためじゃないからね

彼のために、あたし身を引くから


あんた知らなかったでしょーけど

彼とあたしもメル交してたんだよ

知らなかったでしょ

彼そんなこと言わなかったでしょ


あたしは知ってたよ

あんたと彼がメル交してたの

それくらいあたしたち

なーんでも話してたんだよ


だから

あたしが身を引いてやるの

てゆーか

あたしもう彼のこと

そんなに好きじゃなくなっちゃった


だってさ

あんたみたいな女好きになる男

つまんないじゃん

あたしにはもっといー男がふさわしいのよ


あんたにのしつけてあげちゃうよ

あんな男

ぜいぜい二人で

いちゃいちゃやってれば


でもね

彼ってばあたしにも

「好きだよ」って

言ってくれたことあるんだよ

あんたも言ってもらったことあるんでしょ?

案外あたしだけじゃなくってさー

他にもいっぱい女いるかもよー

気をつけなよねー


****************


 なんかね。

 意識がどんどん薄れていくの。

 それでね。

 いろんなことが頭の中ぐるぐる渦巻いてて。

 むかーし、むかしのこととか。

 ちょっと前のこととか。

 楽しかったことや嬉しかったこと。

 悲しかったことや辛かったこと。

 ばあーってよみがえってきて。

 なんだか頭の中がパンクしそうなのね。

 今まで忘れてたこととか。

 覚えてたこととか。

 ひっくるめてごちゃごちゃごちゃごちゃ頭の中を暴れてるの。

 不思議ともう頭は痛くないや。

 あんなにガンガン頭痛くて死にそうだったのに。

 なんだか、今はボーッとして気持ちいいくらいなの。

 でも気持ち悪い。

 なんか吐きそう。


「愛しているよ」ってカヲルの声が聞こえる。

「他にも女がいたりして」って憎たらしい女の声が聞こえる。

 変だよなあ。

 二人とも逢ったことないのに。

 なんで声がわかるんだろう。

 夢でも何度も出てきた二人。

 淫らに妖しく私を誘う頑丈な身体もまるで現実味を帯びていて、私は夢なのに何度も何度も昇りつめた、彼によって。

 激しい罵倒を浴びせられ、一晩中罵り続けられた夢もあった、あの女に。

 二人とも顔は覚えていないけれど、なぜか声だけはありありと覚えている。

 どこかで聞いたことのあるような声。

 どこかで。


 私、やっぱりこのまま狂っちゃうのかなあ。

 ううん、もう狂っちゃってるのかも。

 私が気づいてないだけで。

 私はもうどこかの精神病院のカギのかかった病室の中で、一人妄想にふけっているだけなのかもしれない。

 でも、これは私だよね。

 この鏡の中に映る私は紛れもなく私だし、ここの部屋は私の部屋。

 夫はまだ帰ってこなくて、私が用意して判を押した離婚届けも机の上にポツンと置かれたまま。

 私は毎日毎日夫が帰ってくるのを待っている。

 早くこんな暮らしにピリオド打ちたくて。


 ああ。

 なんだかとっても眠くなってきた。

 明日は私の誕生日。

 このまま眠って待っていようか、カヲルが来るまで。

 そうして、まるで眠れる森の美女のお姫さまみたいに、カヲルのキスで目覚めるの。


 ああ。

 ほんとにほんとに眠いわ。

 さっきまでの気分の悪さも、吐き気も嘘のようになくなった。

 そして、すごく気持ちがいい。

 こんなに気持ちのいいのはここ何年と感じたことなかったかも。


 きっと。

 今度目覚めたときは、カヲルが傍にいる。

「お目覚めですか、お姫さま」

 そう言って、やさしくやさしくキスをしてくれる。

 そうして、そのまま私をしっかりと熱く抱きしめてくれる。

 ああ。

 それを思うと、心が身体が熱く熱くほてってくるわ。


 さあ、早く時よ過ぎて。

 私に幸せを。

 今までの悲しみ辛さ全部、忘れさせて。

 悲しみを終わらせて。


 カヲル───

さあ、次回からマルチエンディングストーリーの開幕です。

ハッピーエンド、バッドエンドがありますので、ご了承ください。

バッドエンドの中には、かなり痛い話もあったりするので、そういうのは無理という方はバッドエンドは読まない方がいいかもしれません。

それぞれ前書きでハッピーエンドかバッドエンドかをお知らせ致しますので、それを指針にして読み進めてください。よろしくお願いします。

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