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メラバ  作者: 谷兼天慈
35/51

第35話

さようなら──そしてまたいつか。



やめる───

それができたらいいなと思う時が「私」にもある。

「私」を捨てて、新しい誰かになって新しい関係を築きたい、

ゲームでリセットするように、と。


だけど私は悲しいまでにこの「私」に執着している。

初めて「私」の存在がこの世に生まれたのは今から15年前。

あれ以来私は、

私よりもこの「私」が現実だと感じつつ生き続けている。


実際の私はつまるところ、

それほどつまらない、価値のない、

取るに足らない人間でしかないんだ。

誰の心も繋ぐことの出来ない、そんな力もない───

時々考える。

どうして半分死んだまま生まれて来たあのとき、

息など吹き返したのだろう、

あのとき死んでいたら

こんなに苦しまなくてすんだのにと、

親が聞いたら泣くだろうことを考えてしまったりする。


やはり私はそんな無情な人間でしかないんだ。

だけど───

それでも私は生きたい───生きつづけたい───


****************


 決心した。

 掲示板の書きこみをもうやめようと。

 削除の仕方はわかんないから、書きこみせずにほおっておけばいつか消えてしまうだろう。


 いろいろあったよなあ。


 初めてカキコしてくれた人。

 ふと足をとめてカキコしてくれた人。

 ケンカしちゃった人。

 女の人。

 男の人。

 今でも親しくメル交してる人。

 愛した人。

 愛してくれた人。

 格言書いたり。

 詩を書き綴ったり。

 くだらないお話したり。

 熱く創作のことで議論したり。

 グチ書いたり。

 睦言かわしたり───


 切ないくらいに想い出が押し寄せてくる。

 なんでこんなに悲しいんだろう。

 なんでこんなに辛いんだろう。

 たかが掲示板。

 でも、されど掲示板だったんだよね。

 私は運悪く、私のことを嫌いだっていう人がいた。

 野放しにしてくれる気はなかった人がいた。

 もちろん、他の人たちもいろいろ攻撃とか受けてたかもしれないし、実際そうやって潰されていった人たちを私も見てきている。

 できたらいつまでも続けたかった。

 誰もがみんなそうだと思うんだけど、それでも諸々の事情でそうもいかないわけで。

 本当なら私なんか、そういう人たちより絶対的に恵まれていると思うんだけど。


 でも。

 もう疲れたよ。

 せっかくカヲルが支えてくれてたのに。

 あんなにカキコが嫌いだといっていた彼だったのに。

 私が掲示板に顔を出せなかったときにカキコしてくれた。

 無理して連続カキコしてくれてたのに───

 ごめんなさい、カヲル。

 私は続けることができなかった。


 それにしても。

 カヲルから連絡がない。

 私はもう決心したのに。

 メールに私の想いを乗せて送っているというのに。

 あなたは読んでくれたかしら?

 あなたはどう思ったかしら?

 早くあなたの答えが聞きたい。

 早くすべてを終わりにしたい。


 そして、新しい一歩を───

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