第31話
これからも。
迷惑かけると思うけど、よろしくね。
迷惑って「これが迷惑だ」っていう定義はないよね。
私が「迷惑だ」って思うことが他人にはそう感じられなくて、
他人が「迷惑よ」って言ってることが私にはそう思えなかったり。
だから、「こういうことは迷惑だからやめよう」とかっていうの、
他人には言えないんじゃないかなって思う。
「その迷惑」は、絶対的なものじゃないんだもん。
「自分が迷惑だからやめてよね」っていうのはアリだと思うけどね。
でも、それは当人同士の問題であって、
すべての人に当てはまるもんじゃない。
二人で勝手にやればいいって思うんだけど。
カヲルさん。
頼み事しちゃったけど、迷惑じゃなかった?
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安眠
メールチェックをしておくれよね
頼まれていたものを送ったよ
恐らく君は怒らないと思うが
もしかしたら笑うかもね
これで今晩から安らかに眠れるよ
おやすみ
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もうすぐ私の誕生日。
7月9日は私がこの世に生まれてきた日。
私がこの世界に生まれてきたことで、何がどう変わったかなんてわかんない。
私のせいで不幸になった人もいるだろうし。
私のおかげで幸せになった人もいるだろうし。
いったい、それらがどんな意味を成すのか───私にはわからない。
でも。
わかったところでどうなる。
どうもなりはしないよね。
私は私だし、生まれてきたくなくても、私は否応なく生まれてきてしまったわけで。
父や母はその瞬間は喜んでくれたんだろうけど、果たしてこんなふうに成長してしまった私をどう思っているのか……聞いてみたことはない。
普通に成長すればどんなによかっただろうにと思う。
というか、普通っていったいどういうのが普通なのか、それさえも私はわかんない。
ただ、こんな普通じゃない私でも、たった一人だけでも私を愛してくれる人がいる。
カヲル───
こんなにも私のことをよく理解してくれる人は、今までにいなかった。
父や母だって──私の成長を見守ってくれてた彼らだって、私の本質、私の想い、私がいったいどういう人間であるかなんてわかってはいなかった。
カヲルに頼んでいたこと。
それはひとつの詩だった。
私の誕生日に、サイトのトップを一日だけリニュするのに合わせて、トップで飾る詩をぜひともカヲルに書いてもらいたいと頼んだの。
そして、そのバックに私が作成したMIDIを流そうと思って。
曲はヘンデルの「調子のよい鍛冶屋」
私はこの曲が一番好きなの。
調子のよい───まるで私のための曲だわと子供の頃から思っていた。
そうしてできあがった記念トップ。
カヲルに愛と感謝を捧げつつ、私は7月9日を待ち続けよう。
何か新しい展開を期待して。




