第26話
本日到着
こんなこともあるんだね。
君のメールが次のメールと同時に
今日届いたよ。
君の気持ちは嬉しいが
少し頭を冷やしたまえ。
冷たい言い方かもしれないが
逢ってどうなるというものでもない。
それに
君は怖くないのかい?
僕はとても怖いよ。
果たして逢ってみて
君が今のように僕と話してくれるのか
それを考えると心配でならない。
君がどんなに大丈夫と言ったとしても
その言葉を信じるための確信が持てないんだ。
逢いたくないというわけではない。
逢うのが怖いんだ。
わかるだろうか、この気持ちが。
今のこの関係が壊れてしまいそうで
僕は本当に怖い。
【須永カヲル】
****************
わかんないよ、わかんない。
私は、たとえカヲルがどんな姿をしていようが、この気持ちが変るってことはないのに。
なんでこんなにカヲルを信じられるかって?
私だって一応TVとかで見て、出会い系サイトの落とし穴とか、そういう事件とか知ってるよ。
素性とか姿形とかを嘘ついて、必要以上に良く言う人とかいて、そういうのに引っかかったりして取り返しのつかないことになっちゃったりとか。
でもね、カヲルは一切そういうことは言わないの。
自分がどこら辺に住んでてとか、年齢とか、背丈とか、誰に似てるとか───不思議よね。そういうこと知らなくても親密な話はできるんだ。
まあ、一応男だってことは言ってるけれど、それもまあホントに男かどうかわかんない。
でも、たとえ逢ってみてカヲルが女だとしても、私はたぶん恋すると思う。
私はカヲルの姿や性別じゃなく。
カヲルの心を好きになったから。
カヲルの魂を愛してしまったから。
こんなことってヘンなのかなあ。
相手が生身の人間じゃなくても。
神でも、悪魔でも。
物でも獣でも。
心さえ通い合えば、私はそれでいい。
……ああ、そうか。
頭を冷やせって言った意味がわかった。
やっぱりすごいよ、カヲルって。
私のことほんとによくわかってる。
そうだね。
心が通い合ってれば、逢う必要はないか。
よくよく考えてみて。
姿形を気にしてないんだから、逢おうが逢うまいが、それはどうでもいいことなんだ。
私のこの気持ち。
カヲルに対して注がれるこの気持ちだけが大切。
たぶん、逢うということが定められてれば、私たちはきっといつか巡り合い、互いの身体に触れ、愛し合うことができるだろう。
逢うのが怖い───カヲルはそう言った。
まだ私たちには時間が必要なのかもしれない。
もう少しだけ───




