第22話
覗いてごらん
掲示板を覗いてごらん
貴女の泣く姿が見えるようだよ
素敵な夜をありがとう……
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あれからいろいろ朝までグチ聞いてくれた。
悲しかったこと、悔しかったこと、怒ってたこと。
いろいろいろいろぶちまけて。
カヲルはただ聞いてるだけだった。
「ふーん」とか「へー」とか「そうなの」とか。
そういう相槌だけで、一切口を挟まなかった。
ちょっと前にね、私がものすごーく理不尽な怒り方して、それで頭ごなしに叱られたことあったんだけど、それで私が頭きてメール来てもレスしなかったことがあったの。
でも、何度も何度もメールしてきて。
それこそ日に何十通と送ってきて。
いいかげん迷惑メールみたいだわと思ったんだけど、「何でレスしないんだ」って言うから「私、そんな気分じゃないの」って一言だけレス返したのね。
そしたら、それからぷっつり来なくなっちゃってさ。
慌てた。
ものすっごく慌てた。
女ってばかよねぇ。
やいのやいの言われてるとウザイって思うんだけど、とたんにかまわれなくなると淋しくて淋しくて死にそうになるの。
でも、よかった。
ちゃんと素直に「淋しい」って言ったら帰って来てくれた。
素直になるって大切だね。
だけど、いまだに人によっては素直に接することができない私。
カヲルには、こんなに、怒ったり悲しがったり甘えたりってできるのに、なぜそうすることができない人がいるんだろう。
たぶん、カヲルが私に合わせてくれてるんだろうなって思う。
今回のことにしたって、結局は私が悪いんだけど、カヲルは私を責めようとはしなかった。
むしろ、自分が叱ったことが悪いとでも言うような素振りを見せてた。
私が勝手に怒って、知らんふりして、カヲルのことうっちゃってたのに。
すごく「男の人」なんだなあって思った。
たとえカヲルが女でも、「男の人」なんだなあって思う。
本当の男って、本当の男の器って、こういう人のこと言うのかもしれない──なんて、そう思っちゃった。
ところで。
ホントにカヲルってツボ抑えてる人だなあ。
泣いたよ、ほんと、泣きましたよ。
小説叩く人がいるかと思ったら、私が好きだと言ってくれる人もいる。
私がどんな小説を書こうが、どんなに自分の思い描くキャラ像を書いてくれなかろうが、ちゃんと認めてくれる人がいる。
そういうことを一番嬉しく思うってことを、カヲルは知ってて、だから、私のHPの掲示板に高校生の女の子が書いてた記事を見つけて声かけてくれた。
『私、はじめ、あなたがまっすぐプロを目指しているのを見て衝撃うけました。 私の周りにはそういう人がいなかったのです、だからそんなあなたが私はすごく好きになりました。 』
私──こんな生きててもしょうがない私でも、誰かに好きになってもらえる存在なんだって信じてもいいかな。
私だって、一応望まれて結婚したわけだから、最初は旦那にも好きになってもらえてたはずだし、それはきっと嘘じゃないと思うけど、けれど、それが信じられなくなった今、私は本当に生きてていいんだろうかって思った。
子供でもいたら、いいも悪いも、その子のために生きなくちゃって思えるけれど、そういう支えが私にはないんだもの。
子供は欲しくない。
それは変らないけれど。
小説書いてて、いろんなキャラを作り出して、それが自分の子供のような気もしているわけなんだけど、それが本当の子供であるかっていったらそうじゃないっていうのも理解している。
キャラなんて、自分の思い通りに動く人形でしかないわけで。
ときたま、思い通りに動かないときもあるけれど、でも基本的にはやはり人形だもの。
私の周りには、そういう人形しかいない。
息をし、血が流れ、私とは違う考えを持った存在がない。
それがネット上でしか得られないのは───間違っていると誰かが言っても、私はかまわない。
だって、確実なのは、私を生かす存在。
私を愛してくれる存在。
そして、私が愛せる存在。
それを私にくれるのは───カヲルであり、ネットの友達だもの。
誰にもそれは否定させない。




