第17話
こんにちわ。
レス来ないのにまたメールしちゃってごめんなさい。
今、旦那が実家に行ってる間にカキコしてます。
私はちょっと頭が痛いってことにしてあるの。
悪い嫁だよねぇ。
旦那には兄夫婦がいるんだけど
正月だから子供連れて帰って来てるのに。
実はね。
私お義兄さん苦手なんだけど
お義姉さんはそんなに苦手ってわけじゃないの。
かわいい人でさ。
お料理とか私と同じで
あまり得意ではないみたいなんだけど
とても私にも気を遣ってくれるの。
そういうこともあって
姑もお義姉さんのことは
けっこう気に入ってるらしくて
「あの子が母の日のプレゼント贈ってくれた」だの
「ちょっと出かけてる間に洗い物してくれた」だの
嬉しそうに言いつつ
「まあ、料理はできんでも、裁縫が上手だからねぇ」と
子供の洋服を買わずに手作りしているのを感心してた。
私は料理もダメ。
裁縫もまったくできない。
ついでに子作りも
旦那とのコミュニケーションも
まーったくダメダメなダメ人間。
あああ。
ごめんなさい。
新年からこんなグチグチメールで。
ちょっと頭冷やしてからまたメールしますね。
でも、グチ聞いてくれてありがとう。
【しもらー】
****************
元旦の昼間。
県外から義兄夫婦一家は帰って来て、今は旦那の実家に泊まっている。
といっても、姑たちの家も団地なんだけどね。
久しぶりに会う旦那は、まったく変ったところはなかった。
ただ「忙しい、忙しい」と言ってるだけで、私に対して「どうしてた?」の一言もない。
淋しいもんよねー。
ほんと、これで私たち、夫婦って言えるんだろうか。
寝る部屋だって別々だし。
いつから旦那は私の身体に触らなくなったのか───それさえももう覚えてない。
きっと、外で女の一人や二人、作ってんだろうな。
いい大人がよ、セックスのひとつやふたつしてないなんて考えられないよね。
それともそういうことが嫌いって───そんなわけないか。
一応新婚時代にはあったわけだし。そんなに回数多いわけじゃなかったけれど。
そういえば。
OL時代に同僚のサチコが言ってたな。
それは週刊誌の『子供ができないんです』っていう記事に対することだったんだけど。
「子供が欲しいなら、それこそ毎日ヤればいいんだよ」
ま、それは健康体じゃない人にとっては暴言にしかならないことだけどね。
彼女は、奥手の私と違い、いろんな男と付き合ってた。
旦那と付き合い出した頃にも「ねえ、もうヤった?」としつこく聞いてきたもんだ。
私が「そんな…結婚してからするもんでしょ」と言ったら、バカ呼ばわりされたもん。
「結婚するまでしないなんてバカじゃないの? だったらあんた、結婚して、もしセックスの相性が良くなかったらどうするの。そういうのは結婚する前に確認しとくもんよ」
今思うと、彼女の言うことは最もだなと思う。
その時は、なんて破廉恥なと思ってたけれど。
結局生娘のまま結婚して、今に至るわけなんだけど、セックスなんてどこがいいんだかやっぱりわからなかったし、その気持ちが相手に伝わっちゃったのか、あまり旦那も求めて来なくなっちゃったし。
そしたら、あれよというまに仕事で家に帰ってこなくなって。
それにしても。
旦那だって私といるとそんなに楽しそうじゃないみたいだし。
ああ…もしかしたら離婚も近いのかも。
そうすると、私は出戻りか───親が烈火の如く怒るよなぁ。
ああ、ユウウツ。
どこかに私を愛して、嫁にもらってくれる人いないかなあ。
カヲルはそういう存在にはならないかしらん。
何だか会ってみたいような、みたくないような───
バカな私。
愛してもらいたいなら、まず愛することをしなくちゃならないのに。
そんな大切なこともわかんない女に、誰も愛を捧げてくれるわけないよね。
私は、何もかもに対して心だけでなく目も閉ざして生きている。
何が真実で、何が虚構なのか。
それさえもわからなくしてしまっている、ネットという化け物に、私は飲みこまれかけていたんだ。




