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メラバ  作者: 谷兼天慈
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第16話

死んでない?

心配しているしもらーです。


そんなにメールこないよ?

定期的に交換してるのは

男性だとカヲルさんだけだし。

女性でも定期的にっていうのはいないよ?

何を気にしてるの?

私なんかにメールくれる人なんていないよ?


もし

たくさん私にメールが来てて

それでレスが苦痛になってるなんて

そう思ってるんならお門違いだよ


あなたからのメールを

ほんとに心待ちにしてるから

ずっと待ってるから

だから

忙しいんでないんなら

メール待ってます。


【しもらー】


****************


 こない。

 こない。

 メールがこない。

 ああ、気になって気になってしかたがない。


 家には私一人。

 昼間もこもってPCの画面に釘づけ。

 メルチェなんて5分毎に確認したりして───相手が昼間もPC繋げてるかどうかわからないのに。

 食事だって、自分一人のために用意するのはおっくうで。

 パンをかじったりカップメンすすったりとまったく料理もしない。

 確かにあまり料理は好きじゃないけれど、それでも新婚当初はちゃんと作ってたんだよ。

 それからすぐに旦那は飛び回るようになったから、作らなくなってしまったけど。


 カヲルとメル交してるときは、けっこう精神的にも安定してて、それで小説とかもガシガシ書けてたんだけど、メール来なくなったらとたんに書けなくなっちゃった。

 創作ってどうなんだろう。

 今置かれた環境とか自身とかに不満とかがあって、それを解消するために、こうだったらいいなとか、こんな人間になりたいとか、そういう動機で書くもんだと思ってた私。

 もちろん、それだけじゃなく、誰かの幸せのために書いたりするのもあると思うんだけど、私はやっぱり自分が幸せになるために書いてる。

 だから、今なんてその最たるものじゃないかなと思う。

 愛しているかどうかも確信の持てない夫、その夫は、仕事とはいえほとんど家には帰って来ず、友達もいない、近くに住む夫の親にはなんだかんだと言われる、自分の実家は遠いし、しかも実家の親も夫の親と似たり寄ったりで娘の心なんかちっとも理解してくれない───

 まったく執筆するのに、こんないい条件ないじゃん。

 なんで書けないんだよ。

 私は不幸だぞ。

 こんな不幸なのってないじゃん。


 ああ。

 なんて私は愚かで馬鹿な女だろう───自分が一番不幸だなんて、そんなことを言うヤツに限って、本当の不幸なんて知りゃしないんだよね。

 私は悲劇のヒロインに浸っているだけの、世界一大馬鹿野郎な女だった。

 それにしても、カヲルはどうしたのだろう。

 まさか、ほんとにどっかで野垂れ死んでんじゃないだろうかと思ってたその矢先。

 明日は正月。

 いつもは帰ってこなかった旦那が帰って来た。

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