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ウィステリア王国には代々伝わる5つの石がある。
その石の色は赤・青・緑・白・黒。大きさは成人女性の親指の爪くらいだ。
偉大な魔術師がその昔、生贄を捧げて錬成したと言い伝えられている。
石の錬成方法は書物に残っていないが、この石を身に付けることで強大な魔法を操れるようになる。
多くの条件と制約がある、禁忌と呼ばれる類の魔法でさえも。
しかし、その石は誰もが身に着けられるものではない。
石に選ばれる、というのか石と波長が合うというのか……とにかく、誰でも石に触れるという訳ではない。
白と黒の石は指輪に、赤・青・緑の石は腕輪に、魔術師の手で加工されており、石に選ばれていない者が触ろうとすると火傷を負ったり、電流が走ったりする。
それでも無理矢理身に着けようとした者は大怪我を負った。
石を身に付けられる者達は"賢者"という称号を与えられ、国に生涯仕える代わりに手厚い待遇を受けられる。石は一度身につけると賢者が死ぬまでその体から外れることはない。
今回は短めでした。