光の向こう
目の前には光があった。
その光の方へ行けば出口なのかもしれないが、僕は座っていた。
光の向こう側にいってなにがあるのだろうか?
楽しい?
嬉しい?
感動?
希望?
夢?
考えた。だが、そんなのが待っているからってなぜ光の向こう側に皆はいくのだろう?
人はみな臆病な生き物なはずだ。なのに好奇心旺盛な愚かな生き物である。
だから後先考えず、光の向こう側にいってしまうのだろう。
僕のそばにいた奴らもみんな光をみるや、全員いってしまった。
だからこの暗闇にいるのは僕だけ。
他にいるかもしれないが、多分僕だけだろう。恨みや憎しみ、苦しみの声が聞こえないから。
みんなここには戻ってこなかった。
だから僕はただ一人、いつもどおりに呟く。
苦しい、悲しい、憎い、つらい……
僕はずっとこうして一人呟く。
あの光の向こう側に行けば、幸せな日々が待っているのであろう。
だけど僕にはそんなのはもう無理だ。
この世界に馴染んでしまった。
あそこになんていけるはずがない。
みんなみたいな勇気なんてない。
弱いんだ。僕は弱いんだ。
こんな場所に一人でいるのはつらく寂しい。
でもあそこにいく勇気もない。
僕はいったいどうしたらいいんだ?
動けない。でも行きたい……
寂しいよ。悲しいよ。つらいよ。涙が溢れでてくるよ……
誰かきてよ……
こんな僕を見つけに……