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アルメリダン②
「やあ可愛いメイドさん。一緒にお茶でもどうだい」
私がアルメリダンの追随を回避して城内を歩くと今度は王子にナンパされた。
結婚するんじゃなかったのかこのゲスめ。
「殿下……と君は……」
カツン、そこにアルメリダンがやって来た。
「ではこれで」
会いたくない奴等にダブルパンチをくらってしまった。
「いやいや待ってよなぜそんな逃げるように去るんだい」
ロマイークは逃げようとした私の手をつかむ。
「そういえば以前、将軍とお会いしたとき私の顔がみたいとしつこく……」
「……堅物将軍がメイドに興味を示した……?」
王子ロマイークは青ざめた顔になる。
「大変だ!!」
―――そして叫ぶ。
「今すぐ城中にバリケードをはれ! 槍が降ってくるぞ!!」
あの将軍なんなんだ。
「アルメリダン、彼女を狙ってるのか?」
「は……?」
アルメリダンは口を軽く開き、少しのあいだ固まる。
「どこかで合ったような気がしたので」
アルメリダンは私のほうをチラリと見る。
「軟派の常套句ともいえる台詞で女性を口説くとは驚いたよ。あの堅物将軍がどういう心境の変化なんだい?」