2-1 幼馴染と友人と失恋
「わぁぁーー!!ごめん!ごめんってば!!」
「バカ!お前!絶対許さねえ!バカ!」
「うわぁーん!バカって2回言った!てゆーかなんで私だってわかったの?姿は来世のに変わるって聞いたのにー」
「姿は徐々に変わるって神っぽい人が言ってただろ!話ちゃんと聞けよ!さっき一緒に死んだばっかりなのにわかんないわけねえだろ!!」
うわぁ、ジャンってばめちゃくちゃ怒ってる。
それも仕方ないか。私が余計なことしたから、2人でここに来るはめになったようなものだし。
私たちは生まれた時から一緒だった。
同じ日の同じ時間に、教会の前に籠に入れられて置き去られていたんだ。
それから同じ孤児院に行くことになって、ずっと一緒に生きてきた。
大人になって、ジャンは身体が丈夫で大きかったから仕事に困らなかったし、私は魔法の才能があるって言われて街で一番強い魔術師の所で働いていた。
もう少しで孤児院を出て、ひとり立ち出来るってとこだったのに、2人して一緒に死んじゃった。
「お前なんであんなことしたんだよ。自分も危ないってわかるだろ」
「だ、だって……。咄嗟だったし、勝手に手が出てたんだもん……」
あの日、私はジャンが山に入るのを知っていた。
いつものなだらかな山道じゃなくて、危険な崖に続く険しい道に行くことも。
その前日に、仕事先からの帰りにいつもは通らない近道をした。そしたらジャンと、孤児院の近くの商店の娘で私と大の仲良しのアイリの声が聞こえたんだ。
ジャンがアイリに好きなんだとか結婚したいとか言う声が聞こえてきて、目の前が真っ暗になった。私は小さい頃からジャンのことが好きだったから。
「……わかったわ。必要なのはあの崖にしか咲かない夢見草の花よ」
「ありがとう!ありがとうアイリ!」
「でもジャン、本当に気をつけて。無事に帰って来なかったら許さないから」
「わかった!無事に帰るって約束するよ」
そう言って手を握り合う2人を、私は見てた。
どうしてアイリはジャンに、危険な場所に咲く花を取りに行くように言ったんだろう?と不思議に思ったけど、アイリは大きい商店の娘だから、孤児院出身のジャンのプロポーズを受けるには何かしらの条件が必要だったのかもしれない。
それはもう私には関係のない事だ。私は失恋したんだから。あとは2人を応援するだけ。
明日になったら、明日からはちゃんと応援するんだ。
そう自分に言い聞かせながら、その日は一晩泣き明かした。




