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限界女医、『まもの使い』になる〜プロローグ〜  作者: wag


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このお話は次回新作の序章にあたります。よろしければ、近日公開の連載のほうにもお越しくださいませ。ハイファンタジーものになります。


2026/01/01 連載開始しました!

『まもの使い』、ゴッドハンドを志す~限界女医、異世界に召喚されたら何をする?~

https://ncode.syosetu.com/n6098ln/

「誰か!誰かいるか!」



ここはとある大陸のとある国、人間界と魔界の狭間とも言われる場所。


そこに暮らすひとりの医師のもとに、今日も患者が訪れる。



白い漆喰で作られた家の扉を、

小さな子供を背負った中年の男が叩く。



「頼む!誰か!」



がちゃり、と扉が開き、

中から真っ白なメイド服を身につけた大柄なメイドが現れる。



「失礼ですが、只今ドクター・キラーヤは診療時間外でございます」


「ドクター・キラーヤ・・・?!なんだ、からかってんのか?!

 だ、だが、娘が、娘が!」


男が背負った子供は顔を蒼白くし、はくはくとわずかに口を動かしている。


メイドは片眉を上げ、


「なるほど」


と呟いた。


「ここまでは誰が案内を?」


「あの魔物だ」


言われたほうを見ると、大きな獅子の魔獣が服従を示すように頭を下げている。



『彼は魔獣の中でも知能は高いはず。

 ・・・ホンモノの重症患者か』



メイドはすかさず家を振り返ると、


「ドクター・キラーヤ!急患です!」


と叫んだ。



と、家の中からふわりと金色の蝶が飛んでくる。





「ほいほい、その女の子かな」


「ちょ、蝶がしゃべった!」


「親父さん、何があったの」


「わ、分からねえ。

 おもちゃで遊んでたかと思ったら、

 急にバタッと倒れちまった」


蝶が子供の周りをひらひら飛び回る。


「倒れたのはどれくらい前?」


「た、多分5分くらい前だ。

 おかしいと思ったのと同時にあの魔獣が」


「なるほど、その魔獣は転移術を使ったのね。

 みんな、とりあえずスキャン。

 気道と静脈路確保はできるなら」


「は」


すかさずメイドが子供を抱え上げ、屋敷の中に飛び込んだ。


「お、おい」

「どうぞご一緒に」


父親はなすがままでついて行くしかない。


屋敷の中は、ど真ん中に大きな大きな姿鏡が立っていた。

鏡のてっぺんに施された妖精の装飾の目が動き、子供を見つめている。


メイドは父親に「ここでお待ちを」と言い、

鏡の中に吸い込まれていった。



「ほ、本当に、ここが魔物の病院なのか」



この国には伝説がある。



ーー魔物の国には良医がいる。



人間でありながら、魔物の力を繰り治療にあたるという。



汝、魔物を愛せよ。

人が彼らを害さぬ限り、彼らも人を害しない。


魔物と心通ったならば、

汝病めるとき彼らが現れ、彼らの国へ連れ出すだろう。


恐れるなかれ、そこは魔物の病院。

ドアの向こうには魔物の女王が待っている。


女王でありながら、その病院を取り仕切るその者の名は。



ドクター・キラーヤ。



『都市伝説かと思ってたぜ』


父親は呆然と、娘とメイドが消えたエントランスに立ち尽くす。


すると、鏡の装飾の妖精が父親に語りかけた。


「親父さん」


「わあ!」


「いちいち驚かないでよ。

 まあ、多分うちのドクターだったら大丈夫だから、

 そこに掛けて待ってなよ」


「あ、ああ」


視線で示された長椅子に座ると、


「良かったらどうぞ」


「うわあ!」


今度は足下から真っ白なイタチのような生き物がにゅるりと現れ、器用にその尻尾に巻き付けたマグを寄越した。


「おいしいよ、プラム湯」


立ち上るほのかに酸味とスパイスの混ざった香り。


そっと口をつけると、喉に優しく滑り降りていく。



『本当に、来たんだ。魔物病院に』



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