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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

始まりそして、改革

作者: Jun

暴言、キツイ表現がこの作品の中には多く出てきます。そのため、そのようなものが苦手な方は戻るボタンを押して戻ってください。もしくは、私のほかの作品を見ていただけると幸いです。

 私は学校が嫌いだった。何も出来ない。なんもできない。視線が怖い。私の足は動かない。生まれた時から。足が動かせるようになって、普通の人と同じように動ければいいのに。普通の人と同じように学校を楽しめればいいのに。普通の人と同じように走ることができればいいのに。普通に楽しい恋愛をたくさんしたい。何で私だけ、私だけ、ずっと、ずっと、ずっと、そんなことを考えていた。ただ、考えているだけだ。


「次、体育だ。」


 体育か。足さえ動くごとができれば。体育があったある日、そんなことを考えて帰路に入る。


「こんにちは。」


ドキッ、

 初めて見る人だ、でもなぜか親近感がある。身長は180ぐらい。顔は比較的整っている方だろう。


「こんにちは、あの、何か私に用ですか?」

「君、足が動かせるようになりたいでしょ。」

「なりたいですが、何か?」

「いや、別に。」


 何でだろう。何故、この人は私に話しかけたのだろうか。そうか。煽られたのか。


「足を動かせるようにさせてあげようか?」

「え、どういうことですか。」

「そのままの意味さ。足が動かせるなるということ」

「どうやって?、どこの病院行っても一生動くことはないといわれたのに。」

「この水を飲みなさい」


 見た感じ普通の水。特別に光ってたり、特別に色がついているわけではない。何の特色もないただの水。


「私をあおっているのですか、こんなのただの水じゃないですか」

「一回飲んでみなさい。」


 飲めるわけがない。急に知らない人から水を渡されたって。足が治るんだとしても、飲めるわけがない。でも、これは足が動かせるようになるチャンスかもしれない。何で神はこの様な試練のようなものを私に与えるのだろうか。


「飲まないのかい」

「飲めません。怖いです。飲んだら何が起こるかわからないのに。」

「はあ、何で、君はそんな消極的なのだろうか。」

「あなたは体験もしたことないでしょうね。私のつらさないんか何一つわからないんでしょうね。なんでこの発想に至ったかもわからないんでしょうね。こんな風になにかと引き換えに何かが起きるみたいな。煽ってるんじゃないんですか。」

「ふう、分かった。じゃあその水をあなたにあげるよ。飲みたくないならそこらへんに流しても構わないし。飲みたくなった時に飲めばいい。あ、でも一つ言っておく、その水を飲むと寿命が10年縮まるから。」


 本当になんなのだろうかこの失礼な人は。人生で何度も私のことを考えてくれない言葉を聞いてきたが、今回はレベルが違う。何て言うのだろうか。うまく言葉にできる気がしない。けれど、とても心がもやもやする。


               一か八か。飲むべきなのだろうか


 いいや。今日はいったん寝て気持の整理をしよう。



 もし、足が動くようになったら。普通の恋ができて、友達ができて、走ることもできるのだろうか。


「起きて、起きて」

「お母さん、おはよう。」

「早く学校に行かないと遅刻するよ。、ほら靴下履いて。」

「どういうこと?、お母さんが車で連れていってくれるんじゃないの?」

「何言っているのよ、ほら急いで」


 前へ進もうとしたとき違和感を感じた。足が動く。



 夢か。そうだよね。足が動くようになることなんてないよね。 ん? その水は昨日、貰った。薬。

本当に動くようになるのであれば飲むのもいいかもしれない。でも、寿命が十年縮まってしまう。どうしようか、飲むか、飲まないか、いや、飲もう。足が動かせるようになりたい。どんなに叶わない夢だとしても。


ゴクッ


 何か。体が痛い。特に足が。痛い痛い。そうか、だまされたのか。やっぱり。私みたいな人間は生きることすらできないのだろうか。


「朝ごはんできたよー」


 お母さんが私のことを呼んでいる。でも、痛い。動けない。


「大丈夫?」


 呼んでいるのに来ないことにお母さんが心配してきたようだ。


「大丈夫、ほら乗って。」

「うん。」

「分かった。運ぶわ」


 いたッ、、、くはなかった。痛みは引いていた。


「ありがとう」

「ごめんね。五体満足に生んでやることができなくて。」


 お母さんはいつも私に謝る。何度も。何度も。少し涙が出そうになる。


「今日は病院に検査しに行く日だったよね。一緒に行こう」

「うん」


「足がとても丈夫になっていますね。これならリハビリしたら足が動かせるようになれるかもしれません。」

「本当ですか。」


 お母さんがとても驚いている。いや、私もとても驚いている。あの水は本当に効果があるのかもしれない。


「立つことできますか?」

「あ、はい。がんばってみます。」

「お母さん手を貸すよ。」

「ありがとう。」


 立てた。自分の足で立ったということは初めてかもしれない。


「おっ」


 私よりも、お母さんとかお医者さんとかの方が驚いているようだ。確かに、一生立てない、歩けないと思われていた人がって考えると誰だって驚くか。


「リハビリ施設に行きましょう。」

「分かりました。」


 歩けるようになるかもしれない。こんな希望はちゃんと叶うかもしれない。

 結果はちゃんと歩くことができた。それも普通の人と同じぐらい普通に運動してもいいぐらいに。


「お母さん、今日歩いて帰る。」

「え!、ちゃんと道わかる?」

「大丈夫、車で来るときに毎回景色見てルートはわかるし、最悪わからなければ、携帯使ったり交番に頼ったりするから大丈夫」

「そう?わかったわ。気をつけてね。」


 歩くことができるようになってとても嬉しい。


「良かったですね。」

「ん!?、」

 あの、不審者だ。私に歩けるように水を渡した人だ。

「とても神出鬼没ですね」

「そうですね。一応そういうものなので」

「で、結局あなたは誰なの?」

「んーそうですね。神とでも言っときましょう。」

「そうそう、あなたちゃんとわかっていますか?」

「何が?」

「その薬の代償に寿命が短くなるという」


 そう。それを私は今日よく考えたら。私が歩けるようになるということは私の寿命の十年分なんだろうか。


「分かってる。それでちゃんと咀嚼もできた。私の人生は私が決めるのだから。やっと自分で決めることのできる人生になった。」


 私の人生は私が決められるようになった。これは私の人生の十年以上の価値があった。私はそう信じている。




 今日は、学校に行く日。少し怖いがとても楽しみだ。


「おい、なんで学校来てんだよ、え」


 今日学校に通った瞬間にそんなこと言われた。でも彼は私の状態に驚いて言葉が出なくなっている。


「気も。」


 彼は眉に大きなしわを作って私にそのようなことを言った。でも、私は気にしない。だって歩けるようになったんだから。



 そうして私は教室に行った。


「キモ。」「魔女!」「キモ。」「なんで」「キモ。」「魔女!」「なんで」「キモ。」「なんで」「なんで」「キモ。」「なんで」「魔女!」「なんで」「なんで」「なんで」「魔女!」「キモ。」「魔女!」「なんで」「魔女!」「キモ。」「なんで」「魔女!」「なんで」「魔女!」「キモ。」「なんで」「キモ。」「なんで」「なんで」「キモ。」「魔女!」「なんで」「魔女!」「なんで」「キモ。」「魔女!」「なんで」「なんで」「魔女!」「なんで」「なんで」「キモ。」


 口々にそういわれた。教室のトモダチに。


「はい、座って、着席。あ、来たんだ。」


 先生は誰に向かってその言葉を言っているのだろうか。私の味方はどこにもいない。



 学校の帰り私は死のうと思った。そう思って大きい橋の中央まで行って川に飛び込もうと思った。けれど、怖かった橋の手すりを半分ぐらい上ったぐらいで怖くなってしまった。私には死ぬ勇気がない。


「どうだったかな?足が動かせるようになった初めての学校。」


 何でこいつは分かっていることをいうのだろうか。何で何で何で何で何で何で何で


「何でわかっているような質問をするの?!最悪にきまってるじゃん。急に足が動くようになって、気味悪がられてとても最悪だよ。私の気持ちを知らないで。」


 思ったことがフッと口に出てしまった。

 彼、神、が少し笑っている。


「変わってないじゃないか。足が動かせるようになっても、何かを踏み込む勇気はないし、言動は何一つ変わらないし、自己肯定感は低いまんまだし。」

「そうだよ、そりゃそうだよ。だって、私このためなんかに寿命10年を使ったんだよ。」

 

 わからないよね。この気持ちという言葉が出てこなかった。こんなにも起こっているのにこんな簡単な言葉は出なかった。


「ま、僕から一つ言うのであれば可哀想にかな。」


 もうダメだ。言葉にできない。もう無理だ。精神が持たない。もう帰ろう。こんな奴の顔一生見たくない。


グサッ


 腹に衝撃が走った。自分の腹がナイフで刺されていた。そのナイフを変な男が持っていた。あの自分で神と言っている男ではない。正真正銘の不審者だ。


「よし。これで百万ゲット。」


 それが私の聞いた最後の言葉だった。






 



 

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