雑用係のレベル
令嬢たちの不可解な行動は、今のところ放置することとし、生徒会は新入生2人を歓迎して動き始めた。
雑用係となったのは、サファイアとフェイリーの2人だ。
どちらも成績優秀で、、というのは建前で、今回の応募者の中で、入学式の日になんらかの行動(奇行)をとらなかったのは、この2人だけだったからだ。普通が一番、とでも言っておこうか。
サファイアについて説明は不要だろう。フェイリーは平民からの特待生だ。柔らかな少しくせのある金髪。薄水色の瞳。肌もとても白くて、全体的に色素が薄いのかな、という印象。
ニールの報告によれば、穏やかで明るく、入学してすぐに周囲とも打ち解けているらしい。貴族と平民の隔たりを越えた友情も育みつつあるらしく、生徒会としては申し分ない人材。
「今年の雑用係は、レベル高えな!」
シモンがご機嫌だ。
「そうだろう。2人共、入学試験でも、、」
「サファイア様はクールビューティだろ。フェイちゃんは、守ってあげたい系?ホワッとしてて、なんか可愛いよな〜、、」
なんのレベルの話をしているのか。
「何だその、フェイちゃんという呼び方は。」
「ちゃんと、フェイリーさんの許可はお取りになったんですか?」
横で聞いていたアンナが、ため息混じりに口を挟んで来る。
「許可〜?大丈夫だよ〜フェイちゃん可愛いから(ハート)」
「はあぁぁぁ〜」
私とアンナは、ほぼ同時にため息を付いた。
「可愛いかどうかは知らんが、呼び名の許可はとるんだぞ。」
アンナの意見は間違っていない。私も念を押しておく。
「しょうがないなぁ。。。おお!噂をすれば、、かな?」
生徒会室のドアを、軽くノックする音が聞こえた。
「失礼しまーす。」
明るい声と共に、フェイリーが登場した。
すすす・・・と後ろから、サファイアも。
「失礼いたします。遅くなり、申し訳ありません。」
こちらは、また、表情も声も固い。サファイアも、綺麗な声をしているのだから、少しは明るさを出してくれれば良いのだが。
「ねえ、フェイちゃん。フェイちゃんって呼ん、、、」
シモンのどうでもいい言葉をさえぎって、アンナがピシリと言った。
「さて、全員揃いましたので、来月行われる聖クリスタル学園ダンスパーティについて話し合いを始めましょうか。」
そして、すでに資料が山と積まれた会議机を指し示した。