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タウンロッド洋品店 お買い上げ!

 長い、長い、ながーい、買い物が終わった。優秀な女性陣と、チャラ男スキルを発揮したシモンのおかげで、予定より早く買い物は終わったのだが、私は暇で死にそうだった。まあ、いい。


「次のダンスパーティが、ほんっとに楽しみです!!」


並んで歩いているフェイリーが、笑顔を見せる。


「良い買い物が出来て良かったな。」


「はい!今、学園のドレスをレンタルしてるのは16人いるので~、上級生からドレスを選ぶから私が選ぶときには半分くらいになっちゃうんですけど、次は、何色のドレスにしようかな~って考えていたんです。」


「好きな色が着られるといいな。」


「はい!色だけじゃなくて、アクセサリーも色々だから、どれにしようか迷っちゃう!ジーニアス様、何色のドレスが素敵だと思います!?」


「うーん、、、」


 ドレスか、、、サファイアは髪の色がほとんど黒に近い紺色だし、瞳も青いから、薄い水色とか白とか似合うんだが、、、いや、グリーンとかもありか?でもやっぱり水色かな、、プレゼントしたペンダントにも合うし、、、、


「水色とかどう思います?」


「、、ああ、とても良いんじゃないか?」


「ですよね!!次は水色にしちゃおっかな~、、あ、でも、、、なんでもないです!!えへっ」


「ふむ、、、まあ、次のダンスパーティまでゆっくり考えたらいいんじゃないか?」


「え?なになに?ドレスの色??」


唐突にシモンが入ってきた。


「フェイちゃんに似合いそうなのは~、、ピンク!」


「シモンさん、それ、この間着ましたよー。」


「そうだったか!じゃあ~モスグリーン。」


「うーん、考えときまーす。」


 この二人、ずいぶん仲良くなった感じがする。


 最近、ちょっと感じる。『クリスタル史上最高の皇子』と呼ばれている私であるが、思ったより、、友人がいないのではないかと。もっと気さくに付き合えるコミュニティを作るべきかもしれない。



 ダウンロッド洋品店で購入したものは、管理・収納しやすい箱に入れてもらって、後日、学園へ届けてもらうことになっている。街の玄関口となっている広場にて、本日は解散だ。


「今日は、素敵なお買い物が出来て、大満足です!!」


 興奮冷めやらぬアンナが、紅潮した顔で言った。


「ほんとに!!高級品ではありませんが、ドレス10着分ものアクセサリーを大人買い!!王女様にでもなった気分でしたわ!!」


 マーガレットも鼻息が荒い。淑女であることを忘れないように!!


「それは良かった。購入品が届いたら、ラベリングなどまた、よろしく頼むよ。今日は解散だ!」


「ごきげんよう!」


「ごきげんよう!」


 そろそろ帰宅だろうと、広場で待っていたそれぞれの家の馬車に、別れていく。


「じゃあ、俺たちも帰るか。」


 シモンが王家の馬車に向かって歩き出す。


「先行っててくれ。」


「は?」


 私は足早に、シャイニー公爵家の馬車に向かった。


「サファイア!」


 サファイアは、すでに馬車に乗ってしまっている。迎えに来た侍女が、サファイアに続いて乗り込もうとしているところに割り込み、馬車に片足だけ乗り込む。


「待って!」


「ジーニアス様・・・?いかがなさいました?」


 青い瞳が大きく開かれ、驚きが伝わる。


「これ、、、あの、、、」


 小さな包みを彼女の手に押し付けながら、私は自分の顔が青ざめていくのを感じた。


 あれ?、、、結構、、、大胆なことしてないか、、、


「ええとだな、、、さきほどの店で、見つけて、その、、、ぜひ、使ってくれ。では!」


「は・・・い・・?」


 そそくさと馬車を降り、わき目もふらず、王家の馬車に乗り込む。シモンが何か言いたそうな気配を感じるが、目を合わさないようにした。平常心、、、平常心、、、



 翌日から、サファイアの頭に、小さな花が咲くようになった。ガラス細工の勿忘草の髪飾り。

 一人で店内を見ている時に見つけた。こっそり店主に包ませたが、誰も気が付かなかった。

 近頃笑顔が増えてきて、冷徹令嬢の名を薄れさせてきているサファイア。可憐な花の髪飾りは、つつましやかな彼女の笑顔に似ている。


 ほどなくして、ダウンロッド洋品店は、ガラス細工の髪飾りを求める令嬢であふれ、2号店を聖クリスタル学園近くに出店することとなった。 


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