表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

真面目ホラー

腐乱死体を見つけた時の話

作者: 七宝

 ただ「こんなこともあったなぁ」というのを思い出しながら書いただけなので、山場もありませんし、面白くもありません。


 そういう仕事をしている人以外ではなかなか珍しい体験なのではないかと思い、ここに投稿するに至りました。


 また、エッセイで出すかホラーで出すか迷ったのですが、エッセイで出すと怒られそうな気がしたのでホラーで出します。一切怖くはないんですけどね。怖がらせようとも思っていないので、淡々と書いていきます。

 高校生だか中学生だか、それくらいの頃の話。

 1人で旅をしていた私は、今自分がいる場所が仲の良い親戚のおばさんの家の近くであることを思い出した。


 おばさんと言っても70歳を超えていて、明らかにおばあちゃんと呼ぶべき年齢と見た目であったが、小さい頃からおばさんと呼んできたので違和感はなかった。


 正月に一緒に旅行に行った以来だから、半年以上ぶりか。そんなことを思いながら、おばさんの家へ向かった。


 おばさんは私が生まれるよりずっと前に夫を亡くしており、長い間1人で暮らしていた。

 体が大きく、キビキビと動いていたため、デイサービスなども利用したことがなかった。


 駅から近いこともあり、ものの数分でおばさんの家に着いた。ここで私は連絡を入れていないことに気づいた。


 いきなり訪ねるのも失礼なので、近くの喫茶店で時間を潰すことにした。

 喫茶店に向かいながら、おばさんの携帯に電話をかける。


 繋がらなかったので、家の電話にかけてみた。呼び出し音が鳴るばかりで、出る気配はない。


 寝ているのだろうか。時刻は正午過ぎだったが、ひとり暮らしなら関係なく寝ているかもしれない。


 しばらくして再度電話をかけたが、出なかった。


 せっかく近くまで来たのに寄らずに帰るのもなぁと思い、私はまたおばさんの家に行くことにした。


 インターホンを鳴らしてみても、やはり反応はなかった。

 ダメ元で玄関に手をかけてみると、すんなりと開いた。

 その瞬間、覚えのある悪臭がした。


 勝手に入るのも悪いと思ったが、気がつくと私は家に上がっていた(なぜ勝手に入ったのかは覚えていない)。


 なんの臭いだろう、知ってるはずなのに思い出せない。なんだ⋯⋯


 そう思いながら家の中を進んでいくと、急に臭いが強くなった。そこで私は思い出した。この悪臭は、祖父母の家にあった消費期限が1ヶ月ほど切れた煮穴子の臭いに似ているのだ。


 ここで初めて私は『死』の可能性を考えた。


 臭いが寝室からしていることを突き止め、恐る恐る入った。


 初めに、真っ黒な足が見えた。


 到底足には見えなかったが、そこがベッドの上だったことで、私はそれが足だと直感したのだ。

 それにしても、なんでこんなに黒いんだ。この臭いはなんなんだ。そんなことを思いながら、さらに足を踏み入れた。


 足があるということは当然体もあるわけで、それを見た私はとんでもない叫び声を上げてしまった。


 布団も着ずに、うつ伏せで亡くなっていた。

 そして、背中が異様に膨らんでいた。体の下に何かがあるような感じだった。


 見える部分はすべて黒くて臭くてドロドロしていた。


 本来ならここで警察に電話をするべきなのだが、パニックになっていた私はおばさんの変な体勢が気になり、落ちていた布団を使っておばさんを転がした。


 横になったおばさんの腹部には、大きなカバンが半分ほど体に埋まった状態でくっついていた。


 何かを守りながら死んだのか、と直感した。

 当然カバンもドロドロだったので触って確かめることは出来なかった。そもそも半分おばさんに埋まってたし。


 その後私はすぐにおばさんの家を出て、なぜか祖母に電話をした。

 その後祖母が警察を呼んだらしく、数人の警官がやってきた。祖母はしばらくして叔父とやってきた。


 第一発見者だからということでいろいろ聞かれて最悪犯人扱いされたりするかと思っていたが、そんなことはなく、わりとすぐに帰された。


 私は全然知らなかったのだが、おばさんは元々心臓に持病があったらしく、それが死因なのではないかとのことだった。


 おばさんは旦那も子どももいなかったので、遺産が親戚に振り分けられることになったのだが、私の家にはおこぼれはなかった。


 最後に、全員が気になっているであろうことを言って終わりとさせていただく。


 そう、カバンの中身だ。

 おばさんから引き剥がされたその大きなカバンの中には、ドロドロの肉にまみれた札束が大量に出てきたとのことだった。


 普段からそのカバンを近くに置いていたのか、死期を悟って下ろしてきたのかは分からないが、おばさんの尋常ではない執念のようなものを感じた。

 展開的に孤独死して腐ってるって予想つくでしょ、って思うかもしれないけど、死体発見したのはその時が初めてだったし、子どもだったから「人が死んでるかもな」なんて思いながら行動しないのよ。


 次の日に学校のみんなに自慢しました。

 友達は「そんなの見たら腰抜かすわ」と言っていました。私は強かったようですね。


 ちなみに、あの臭いはまだ覚えてます。多分忘れないですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ