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【イチャラブ編開始】同棲しているあざとかわいい後輩が俺を退学させようとしてくるのでわからせる。  作者: 松竹梅竹松
第4章 その先の未来

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第4章 第2話 舎弟嫉妬

「ししょぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」



 緒歳先生が病室を出ていってから十数分後。学外にもかかわらずミニスカメイド服を着た有栖が再会後最速土下座をかましてきた。



「申し訳ありません師匠……! 師匠が命を懸けた戦いに臨んでいる最中アリスは……アリスは茶道部でお茶菓子を貪っていましたっ!」

「いやいいよ別に。とりあえず座って。椅子に」



 有栖が椅子に腰かけ、ようやくその顔をはっきりと拝むことができた。目は真っ赤になり、頬に涙の跡が滲んだその顔を。



「有栖、学校は? もうゴールデンウィーク終わったし今授業中だろ」

「師匠の仇討ちをしようと警察にカチコミに行った結果停学1週間になってしまいましたっ!」


「何やってんだよ有栖がそんなことしなくていいのに」

「いいえっ! 必ず……必ずやアリスが師匠の仇をとってみせますっ!」



 なんだか変わらないなぁ有栖も。この一心不乱さは好きだけど、喧嘩っ早いのは何とかしないと。



「いいか? アリス。根本はそんなに悪くないんだよ。確かに女子に包丁を持って迫ったのは悪い。でもあいつが俺を刺したのは俺のせいだ。俺が邪魔をしたからな。俺のせいで捕まったんだし、根本はむしろ被害者なんだよ。だから俺が死んで詫びる。有栖は余計なことしなくていいからな」



 そう当たり前のことを教えると、緒歳先生が帰ってきた。たぶん先生が学校に秘密で停学中の有栖を連れ出して一緒に来たのだろう。それで呼びに行ったら有栖が1人飛び出したって感じか。



「地板、言いたいことがあるんだよな?」

「あ、はい! 師匠、師匠が死ぬのなら、アリスも必ず後を追います。師匠がいない世界を生きるつもりはありません。なので……」

「そういうやり方はやめてください、先生」



 緒歳先生に促されて話し始めた有栖の言葉を梅村先生が厳しい口調で止める。



「それでは根本的な解決になりませんし、彼にとってはただの脅迫でしかありません。そのようなことを生徒に行わせるのは教育者としてどうなんですか?」

「これはアリスの本心ですっ! アリスの全ては師匠に捧げていますっ! 当然命もっ!」


「……今日のところは面会終了とさせてください。落ち着いてからまたお見舞いにいらしてください」

「アリスは冷静ですっ! アリスと師匠のことを何も知らないくせに余計な口を挟まないでくださいっ!」



 何やらアリスと梅村先生が揉めている。薬の影響かやっぱりなんかふわふわしていて理解しづらいな。とりあえず聞きたいことだけ聞いておくか。



「有栖、同じクラスだろ。瑠奈は元気か?」



 そう訊ねた瞬間。有栖は自分が座っていた椅子を壁へと投げ捨て、俺へと迫ってきた。



「どうして……瑠奈さんのことを気にしているんですか。アリスよりも瑠奈さんの方が大事なんですか……?」



 懇願するようにそう言った有栖の顔には涙が流れている。でもその表情はどちらかというと怒っているように思えた。



「有栖も瑠奈もどっちも大切だよ。でも俺は一応まだ瑠奈の先輩だからさ。後輩のことは気にしないといけないだろ」

「アリスだって師匠の後輩です! 舎弟です専属メイドですっ! なのにどうしてアリスのことは見てくれないんですかっ!」


「いやお前の先輩は……えっと、轟さんだろ。だから……」

「それは学校が決めた部屋割りの話でしょうっ!? 瑠奈さんなんてたまたま同じ部屋になっただけでたった1ヶ月の付き合いでしょうっ!? アリスと師匠は1年間ずっと一緒にいたじゃないですかっ! 毎朝一緒にランニングして、一緒に学校を締め上げて、放課後は一緒に道場に通って……ずっと、一緒にいたのに……。どうして、アリスよりも瑠奈さんなんか……!」


「だから別にどっちかを贔屓してるわけじゃないんだって。ただ俺は……」

「師匠っ! ちゃんと答えてくださいよっ!」

「もう一度言います。今日はこの辺にしておきましょう」



 梅村先生がそう言い、有栖と緒歳先生を無理矢理病室から追い出す。



「アリスの方が、先だったのに……!」



 誰もいなくなった無駄に大きな病室には有栖の悲痛な叫びだけが残っていた。

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