第3章 第18話 慰め
「これが俺の、高校生活の全てだ。今までのな」
泣き続けている立花さんの姿を、テレビ画面ごと消すことで目の前から消失させる。
「このまま付き合えないのに一緒にいることなんて耐えられなかった。だからさよならしたかった。時間が先輩への恋心を忘れるまでな。まぁ結局はまだ先輩のことを忘れられてないんだけど」
せんぱいが自嘲して笑う。たぶん時間があれば、せんぱいは立花さんを忘れられたのだろう。でもそれは許されなかった。立花さんが、許さなかった。
立花さんは絶対にせんぱいを逃がさない。愛しているから。ペットとして、愛しているから。
「せんぱいはまだ、あの人のことが好きなんですか」
「好きだよ」
ノータイムで答える。それは、そうだとしたら。
「辛かった、ですね」
付き合った次の日に裏切られてからも。一度別れを告げてからも変わらない恋心。わたしはまだ誰かを本気で好きになったことがない。だからその痛みはわからない。でも想像することはできる。
だってわたしは、いつもせんぱいにそれをされているから。
「せんぱい、どうぞ」
「?」
腕を広げてみせると、せんぱいはわかりやすく首を傾げる。
「せんぱい今メンタルよわよわでしょ? 慰めてあげますよ」
「いやいいよ……別に」
「別に無理しなくてもいいんですよ? これでも一応彼女ですから。一肌脱いであげます。あ、でも服はぬぎませんからねへんぱい」
「いやだからほんとに大丈夫だって」
「まぁまぁいいからいいから」
「……ん」
せんぱいが少し距離を詰めてきてくれたので、背中に手を回し抱きとめる。あの時の立花さんのように。
「ありがとうございます……昔のこと、教えてくれて。無駄にはしませんから。せんぱいの想いは」
頭をスッと撫でると、わずかにせんぱいが近づいてきた。その様子が少しかわいくてもっとやりたくなってしまう。
……ん? あれ? これ、せんぱいをわからせられるんじゃない?
うんいけるいける! このままいけばせんぱい絶対わたしのこと好きになる!
くふふ。無意識にこれができるなんて、やっぱりルナって小悪魔。このまま心の奥底までわたしで満たしてあげますよ、せんぱい。
「く……ふぅ……んんっ」
というのが3時間以上前の話。会話を続けていくとせんぱいが涙を流してしまい、その後は疲れて眠ってしまった。
それ自体はいい。そこまではわたしの想定内だった。でも、これは……。
「せんぱぁ……あし、やめてぇぇ……っ」
眠ってしまったせんぱいの手は無意識に気持ちいいところを求めているのか、ずっとわたしのふとももを触り続けていた。しかもその触り方が、マッサージの時とよく、似ている。つまり、気持ちいい……。
「ぁあっ、くっ、んんん……っ」
こんなっ、こんなはずじゃなかったのにぃ……っ。絶対今度こそは勝てると思ってたのにぃっ。
「もうっ、やぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
そして気がつけば朝の6時。
「……ん? あぁごめん……寝てた……」
「ぁぅ……あぁぁぁぅぅぅぅ……」




