第3章 第15話 昔話 6
この先胸糞注意です! 心臓の弱い方や正義感の強い方は昔話編が終わるまで読み飛ばしてください! ごめんなさい!
昨日大量にブクマ剥がれたので一応ご忠告です! 必ずハッピーエンドにするのでブクマ剥がさないでください……! お願いします……! まだの方はブクマと評価してください……!
「瑠奈、花音先輩と仲悪いだろ」
動画が終わると、せんぱいは突然話題を変えた。
「別に……仲悪いとまでは……。あんまり好きじゃないですけど……そもそもそんなに話したことないし……」
「じゃあ嫌われてんのかもな。ごめん、たぶん瑠奈は悪くない。先輩はその……瑠奈と似てるから。独占欲強いんだよ。所有物がとられて、気に入らないのかもしれない」
「わたし別に……独占欲強くないですけど」
「まぁそれならそれで別にいいけどさ……これ以上の話は、あんまり気持ちいい話じゃないぞ。それでも聞くか?」
せんぱいの言葉に、わたしは即答で首を縦に振る。
「正直言って……俺はこの話を知ってほしくない。俺自身の恥でもあるし、何より先輩の弱みになるからだ。でもだからこそ……瑠奈は知ってた方がいいのかもしれない」
タブレットをわたしから受け取り、せんぱいは寂しげに言う。
「俺は先輩より、瑠奈を大切にするつもりだ。どちらかを選べと言われたら、俺は絶対に瑠奈を選ぶ。でも実際に行動した時、俺はたぶん無意識に、先輩を選ぶ。瑠奈と先輩が喧嘩したら、俺は無自覚に先輩を助けると思うんだ。だから自分の身は自分で守ってほしい。これは俺が知る限り、唯一の先輩の痴態。こいつを武器にして、俺と先輩を倒せ」
そしてせんぱいは再生する。立花さんの誕生日。せんぱいと立花さんとの交際が始まった次の日の過去を。
「俺は先輩と付き合えて、舞い上がってた。絶対に付き合えないと思ってたから。俺のことなんて絶対に好きじゃないと思ってたから。でも付き合えたからすごいうれしくて。この日々をずっと記録に残そうと思って、学校から部屋に帰るなりカメラを回した」
『ただいまー……花音』
せんぱいの解説と共に、画面の中のせんぱいが呼び慣れない名前を口にする。そして部屋の扉が開き、映ったのは。
『せんぱいっ、せんぱいっ』
『やめ……やめてっ!』
下のベッドで金髪の綺麗な女性を押し倒している立花さんの姿だった。
「……この人は?」
「今井森夏さん。花音先輩の先輩だ。前にも言ったけど、先輩はキス魔だからこんな風景日常茶飯事だった。だから何とも思わなかったんだ。むしろちょうどいいと思った。この人にも色々お世話になったから、伝えようと思ってたんだ」
『森夏さん、その……俺、先輩と付き合うことになりました。森夏さんに色々相談聞いてもらったおかげだと思ってます。だからありが……』
『馬鹿っ!』
今のせんぱいの言葉通り画面のせんぱいがお礼を言うと、その今井さんという人が突然立花さんの頬を引っぱたいた。いや……グーだったような気もする。とにかく力強く、立花さんを引き離した。そしてすぐに逆に馬乗りになり、立花さんに詰め寄る。
『なんであんたそんなっ! あたしは……そんな子に育てた覚えは……! なんで、なんでぇ……!』
『森夏さんっ!』
カメラが素早く2人に迫り、伸びてきた手が森夏さんを引き剥がす。そしてその手は立花さんの肩を掴んだ。
『森夏さん……なんでいきなり暴力なんて……! いや……ごめんなさい。俺、先輩の彼氏なんで……先輩の……花音の味方をさせてもらいます。その、言いづらいんですけど、花音に謝ってください……ごめんなさい……』
本当にせんぱいは今井さんと仲が良かったんだろう。でも立花さんの方が大事だから、申し訳なさそうに立花さんの味方をする。
『花音……自分で言いなさいよ』
『ちがっ……ちがうんですせんぱいっ。わたしは……わたしは……!』
『はぁ……。なんで八雲じゃなくてあたしに言い訳すんのよ……。あんたが言わないならあたしが言う。とにかくこのままなぁなぁなんて八雲に失礼なこと、絶対に許さないから』
『待って! せんぱい待って! それだけはやだぁっ!』
わたしの知る立花さんと同一人物だとは思えないその姿に、なんとなくこれこそが立花花音の素だと思った。わたしにも、せんぱいにも見せることのない素を、その人には出していた。だから。
『ごめん、八雲。花音が本当に好きなのは、あたしなの』
床に降り、土下座した今井さんの言葉は事実だと思ったのと同時に。独占欲の話を思い出した。
ほしいものは全て手に入れる。たとえどんな手を使ってでも。どんな悪いことをしてでも。立花さんも……わたしも。そういう人だから。
『ちがっ……! ちがうんだよやっくんっ! 花音ちゃんはやっくんのことも、大好きで……!』
『花音は今もあたしに迫ってきていたのに、八雲の告白を受けたんだよ』
立花さんは浮気をしていた。




