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【イチャラブ編開始】同棲しているあざとかわいい後輩が俺を退学させようとしてくるのでわからせる。  作者: 松竹梅竹松
第1章 はじまりの4日間

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第1章 第18話 特別

 防具をつけていて顔は見えないし、垂れには名前が書いてないから誰かもわからない。それでも確信を持てる。



 陰気なオーラ、めんどくさそうな声。間違いない。せんぱいだ。



 せんぱいが、わたしのために。来てくれた。



「新入部員なんすけど、なにやってんですか? 強くなるために稽古しているはずなのに、やってるのは女の子を囲むことだけ。それが桜豆学園男子剣道部、ってことでいいんですね?」

「そのむかつく言い方……お前久司だろ。ああそうだこれも稽古の内だよ。生意気な後輩は、わからせてやらねぇとなぁっ!」



 剣道部の1人がせんぱいが竹刀を振りかぶる。だが次の瞬間には、



「がぁっ!?」

「……え?」



 竹刀はその人の手から離れ、別の人に衝突していた。



「こんなの剣道じゃない……。だったらこっちも、剣道なんてしなくていいよな」



 せんぱいの竹刀が別の人の竹刀に触れた瞬間、また竹刀が吹き飛ぶ。ぜんっぜん見えないけど……一瞬で払ったんだ……。



「金銅さん、こちらに!」



 道場の外で、羽撃さんがこちらに手を振っていたので、わたしも走ってそっちに行く。



「……なんであなたがここにいるの」

「先輩に言われたんです。喧嘩のことを知ってるなら、金銅さんは嫌がらせで剣道部のマネージャーになるって。だから道場の外でいつでも助けに行けるよう待機していたんです。ほら、防具つけてたら電話できないでしょう?」



 嫌がらせ……。相変わらずせんぱいは大事なとこがわかってない……! わたしはせんぱいのためにここに来たのに! もうっ!



「ていうか。先輩って呼ばないで。せんぱいはわたしのせんぱいなんだから」

「? 目上の人を先輩って呼ぶの、そんなに変かな?」


「そうじゃなくてぇ……!」

「そんなことより。先輩、すごいよ」



 道場の外から、1人残してしまったせんぱいを見る。わたしは素人だけど……それでもわかるくらい、すごい。



 次々に襲いかかってくる相手の竹刀を的確に払い、遠くへと飛ばす。多くは広い道場を走り回って拾っているが、中には剣道のことなんて忘れて殴りかかってくる人もいる。そんな人には面を下からすくい上げ、防具すら外していく。たった1人で30人以上を、余裕で捌いていた。



「私も剣道やってるんだけど……本当にすごい」

「どうせなら防具つけてないとこ叩いちゃえばいいのに」


「それは剣道家としてやっちゃだめなことだよ。だから先輩は、竹刀を飛ばしている。安全だし、何より。実力差が如実に現れるからね。竹刀は剣道家の魂。それを弾き飛ばされるなんて、負けるより悔しいよ」

「ふーん……」



 なんでもいいけど……。



「「そんなことするなんて……」」

「……気持ち悪い」

「素敵!」

「「……は?」」



 ちょっと待って……? この子、素敵って言った……?



「男ならかっこよくボッコボコにする場面でしょ! それなのにこんな陰湿なやり方するなんて気持ち悪いよ!」

「性別は関係ないよ。暴力は人として最低。だから先輩はいなしてるんだよ。かっこいいなぁ……」



 えっ!? えぇっ!?



「もしかして……せんぱいを……」

「うん……好きになっちゃった」



 えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?



「よく考えてみてよ! あんな陰キャのどこがいいのっ!? 暗いしつまらないじゃん!」

「冷静でクール。かっこいいよ」


「でもグチグチうるさいし……!」

「それだけ優しい人なんだよ」


「脚フェチの気持ち悪い変態だよっ!?」

「私、スタイルには自信があるんだ」



 な……ぁあぁぁ……!



「金銅さんは好きじゃないの?」

「好きじゃないっ!」


「じゃあ私がアタックしてもいいよね?」

「ぅ……うぅ……!」



 あ、そうだ!



「せ、せんぱい年上好きのドMだけど……?」

「大人っぽくサディスティックにいけばいいんだね? 教えてくれてありがとう!」

「うぅぅぅぅっ!」



 な……なんでこんなことにぃ……!



「でも少し……妬けちゃうなぁ」

「え?」



 羽撃さんがせんぱいを遠い目で見つめ、つぶやく。



「私の時は問題を起こしたくないって逃げたのに……。金銅さんのことはかっこよく守るんだもん。扱いに差があるよね」

「へ……へ、ぇ……」



 わたしのこと……特別扱い、してくれてたんだ……ふーん……。



「ぇ、ぇへへ……」

「でも負けるつもりはないから。さ、そろそろ行こう? 先輩の迷惑になっちゃう」

「そ、そうだね……」



 わたしが……特別……。せんぱいにとって、特別……。



「ぇへへへへ……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 八雲がしっかり強くて安心した。 [一言] 次も楽しみだなぁー!
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