第1章 第17話 嫌われ者たち
1年前せんぱいをいじめていた連中を謝らせる。そのために剣道部のマネージャーに体験入部したのはいいけど……。
「おらぁっ! ちんたらしてんじゃねぇぞおっ!」
「声出せ声ぇっ! 何やってんだ馬鹿っ!」
「みっともねぇ練習すんなら朝までやらせんぞぉっ!」
……かえりたい。
暴力的だしうるさいし、何より臭い。最低最悪な部活だ……。一番嫌い……。
「水分補給っ!」
「はいっ!」
監督っぽい人の指示があり、全員はけていく。いや全員防具つけてて顔わかんないけど。
「おい1年っ! 水用意しとけよ使えねぇなっ!」
「は……はいっ」
あ、やば……。わたし一応マネージャーだった……。でも何も言われてないんだからわかるわけないじゃん……。
「あ、瑠奈ちゃんはやんなくていいよ」
「え?」
急いで飲み物を用意しようとすると、先輩の1人と思われる人に止められてしまった。
「えと……わたし1年ですし……マネージャーですし……」
「大丈夫だって! 俺に任せとけ!」
「は、はは……」
なにこいつ……。わたしのこと狙ってんの……? きも……。
せんぱいなら後輩に任せず、何も言わずに1人で全部終わらせてる。わたしを落としたいならそれくらいは……。って、なんでせんぱいなんかを基準にしてるんだ……。
まぁいいや。今はとにかく誰がせんぱいをいじめてたのかはっきりさせる。あとはわたしのかわいさがあれば、何でも言うことを聞かせられる。これでせんぱいもわたしに感謝するはず!
「あのーみなさん、久司八雲っていうせんぱいのことご存知ですかー?」
意を決して核心に迫る。いじめをしていただなんて恥ずかしい過去、そう簡単に晒すなんて思えない。でもその人のせいで部活全体がひどい目に遭ったのなら……充分教えてくれる可能性はある。
「わたしー、その人と相部屋なんですけどー……」
「えっ!? マジっ!? かわいそー!」
「あんなキモイ奴と同じ部屋なんて男ですら嫌だわ!」
「大丈夫!? いじめられたりしてないっ!?」
……思っていたよりひどい反応。どんどん人が集まり、せんぱいの悪口に花が咲く。まぁせんぱいだし……直接何かしなくても嫌いな人はいっぱいいるか。もうちょっと探り入れてみよっと。
「それでですね……」
「まぁでも安心しろよ! さっきみんなでボコしてやったから!」
「……は?」
みんな……? みんなでって言った……? みんなで……ボコした……?
「やっぱあの程度じゃ甘かったわ! もっとやってやんねぇとな!」
「ちょうどいいじゃん! もう一度呼び出してボコってやろうぜ!」
「今度は2、3年全員でやるか! 全員あのゴミに恨みあるからな!」
……あー、そう。そういうこと……。
「先生、久司呼びつけてもいいですよね」
「久司か……。あいつには指導が必要だからな。よし、全員で久司に指導するぞ!」
「うっす!」
ははは……。せんぱい、嫌われすぎだって……。
「じゃあそういうことで瑠奈ちゃん! 久司のこと呼んでくれるか?」
「……はい」
いいよ……別に。誰もせんぱいを、好きじゃなくても。
「……もしもし、せんぱいですか」
「どうした?」
わたしも別に、好きってわけじゃないし。
「せんぱい……たすけてください」
……でもさ。
「わたし、怒りでどうにかなっちゃいそうです」
「わかった」
せんぱいはこんな奴らに傷つけられていい人じゃない。
わたし以外の人に、悪く言われてほしくない。
「……あ? 今なんつった?」
「臭いんでこれ以上近寄らないでって言ったんですよ。納豆が腐ったような耐え難い臭いです。ほんと最低。顔が悪いから隠せるよう剣道やってるんですか? 男は顔じゃなくて中身ですよ」
「んだとゴラァっ!」
剣道部のモブ共が竹刀を振り上げたけど、大丈夫。
「他人に迷惑かけんなって言っただろ」
「後輩の尻拭いはせんぱいの役目でしょ?」
わたしには、せんぱいがいるから。
「お前を傷つけようとしたこいつらぶっ飛ばしたら、次は瑠奈の番だ。徹底的にわからせてやるからな」
「くふふ。やれるもんならやってみてくださいよ、せーんぱいっ」
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