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第5話 『奔走』

第5話です。

リバイス面白くてとっても良き……日朝が豊かってやっぱり良いなぁと思う今日この頃です。


仙台 某山中 PM13:48



「虚空蔵くん、頑張って!」

「うん、頑張るよ……」


今日は学校は休み。そんな日に俺達はある山の中へと来ていた。

もちろん登山ではなく、近くに神社があってお参りに来たわけでもない。スペクターに変身しているが、エヴォリオルが出たわけでもない。


「虚空蔵大丈夫かぁ?戦いじゃないんだし無理すんなよ」

「大丈夫だよ分かってる」


夢芽に短く返すと、意識を集中し体が浮くことを頭の中で思い描く。すると体がゆっくりと浮かび上がり、少しずつ高度が上がっていく。


「うっ……下見ちゃダメだ下見ちゃ……」


俺は今日、空を飛ぶ練習のためにここに来ていた。

俺達が今いる場所は登山道のような人がよく来る場所ではなく、わざわざ足を踏み入れるような場所でもない。よって人目に着く可能性は低く、ここならある程度スペクターとして動けるというわけだ。

体が十mほど浮いたところでゆっくり前に進むイメージをすると、体がノロノロと前に進んでいく。カエルの泳ぎのように手足を動かしてみるが亀の歩みのようでまるで締まらない。

というかこれ、端から見たら相当シュールな絵面なんじゃねぇか……?なんか急に小恥(こっぱ)ずかしくなってきたぞ……


「虚空蔵殿ー、大丈夫でござるかー」

「おーう何とかなー」

「……まさか虚空蔵さんが高所恐怖症だったなんて意外でしたね。なんと言うか、色々と顔に似合わない人ですねぇ」

「聞こえてんぞ奈緒テメェ」


一旦地上へ降りる。やっぱり高い所は苦手だ。

下を見た時の吸い込まれるようなあの感覚はどうしたって慣れない。

本当にそのまま下へ下へと吸い込まれてしまいそうだ。


「この調子じゃ飛べるようになるのはまだまだ先だな……」

「大丈夫、虚空蔵さんなら出来るようになりますよ」

「どーだかな……」

「私もそう思うな。虚空蔵くんはがんばり屋だから、きっと直ぐ出来るようになるよ!出来る出来るっ」

「うん頑張る」

「態度が全っっ然違うっ!何デレデレニヤニヤしてんですか!」

「デレデレもニヤニヤしてねぇっ!お前と美弥ちゃんが同列扱いなわけねぇだろはっ倒すぞボケ銀髪!!」

「泣くぞこの野郎!?」

「二人とも、ストップストップッ!」

「夢芽さ~んあの濃縮ゴリラにイジメられた~」

「濃w縮wゴwリwラww」

「誰が濃縮ゴリラだテメェ!!夢芽も笑ってんじゃねーよ!?」

「ゴリラをギュッと凝縮させて眼鏡かけたら虚空蔵さんになるんですよバーーカ!!」

「こ ろ す」

「虚空蔵くんストォップ~~!」


騒がしくてしょーもない小競り合いを終え、空を飛ぶための練習を再開する。

バランスを取りながら宙に浮き、体が空中に浮遊したところでゆっくりとスピードを出して飛ぶ感覚に掴んでいく。

少しずつ飛ぶことに慣れていき、物は試しとスピードを少し出してみる。


(あ、やべ)


……が、思ったよりスピードが出てしまい、『止まれ』と思う間もなく木に激突する。真っ二つになった大木がメキメキと音を立てて大きな地響きと共に倒れた。


「ヤッベやっちまった……」

「はぁ……皆さん!人が来る前に離れますよ!」

「いやこの木は……」

「そんなこと気にしてる場合ですかっ!!行きますよ!!」


そうして俺達は慌ただしくその場を離れたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……ここがこの次元の地球か。前の世界とあまり代わり映えがしないな…………さて、どうするか……」

「ねぇねぇそこの君!」

「……?」

「ほらやっぱ可愛いじゃん!」

「本当だかわいい……」

「良ければ俺達と遊ばない?絶対楽しいからさ!」

「お金はこっちで持つからさ、お願い!ね?」

「…………いいわよ、別に」

「本当!?ぃよっしっ!!」

「ナンパ成功したの初じゃん!」

「おっしゃ!じゃあ行こうぜ!」


「えぇ、そうね……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ……やっちまった……」


山から降りてきた俺達は近くにあったコンビニの駐車場で駄弁りという名の休憩を取っていた。さっきの失態にため息をつき、頭を押さえる。


「まぁまぁ虚空蔵殿、致し方ないでござるよ」

「大丈夫だろ多分。しかし派手に突っ込んだよなぁ」

「虚空蔵くん、ぶつけた所痛くない?大丈夫?」

「うん、全然痛くなかったから大丈夫。たんこぶも無いしね」

「その辺の山の木を一本二本へし折った程度なら問題ないでしょう。怪我人や目撃者もいませんし、気にしても仕方ありません」

「おう……」


飲むヨーグルトを一口飲んで再びため息を一つ。憧れのヒーロー達のように上手くはいかない、分かってはいたが少し凹む。


「その、そういえば聞くタイミングを逃していたのでござるが、デモンストーンとは一体?」

「あ、そういや楽人は知らないよな」

「エヴォリオルの源になってるすごい結晶?魔石?なんだって。すごい力を持ってて、同じ魔皇石以外の力は通用しないって奈緒ちゃんが言ってたよ」

「言うなれば最高最善の神にも、最低最悪の悪魔にもなる代物ってことだ」

「そんなマジンゴーな物質が……小生、何だか目から光子力が迸りそうでござるなぁ!」

「? ? ?」

「…………あー美弥ちゃんこれはね、マジンガーZってあるじゃん?マジンガーZって劇中で神にも悪魔にもなれるって言われてて、光子力はマジンガーシリーズに登場するエネルギーの名前なんだ。

楽人の今のはそれに引っ掛けたんだよ…………魔皇石はどっちかっつーとゲッター線な気もするけどな」

「へぇ~~」

「流石虚空蔵殿!小生のネタをちゃんと理解してくれている上解説までこなすっ!

そこにシビれる!あこがれるゥ!」

「へーへー」


楽人のいつものテンションをスルーする俺。つーか、俺的にはジオウのイメージだったんだけどな……


「大丈夫ですよ、虚空蔵さんなら直ぐっ……!」

「? 奈緒ちゃん?」

「どうした?」

「虚空蔵さん出ました、エヴォリオルです!!」

「……ちっ、奈緒乗れ!!ごめん美弥ちゃん夢芽!直ぐ戻る!楽人!二人を頼む!!」

「気をつけてね虚空蔵くん!」

「虚空蔵殿、美弥殿と夢芽殿はまかせるでござる!」

「虚空蔵さん、行きましょう!!」


案内役の奈緒を後ろに乗せ、俺は勢いよくエンジンを吹かして走り出した。


「虚空蔵さんそこ左です!……次は右!」


奈緒の案内に従い、現場に向かって走る。十数分ほど経った時、視線の先に異様な光景が見えてきた。

そこに広がっていたのは、コンクリートの壁や地面に人間が〝埋め込まれて一体化〟し、まるで腕や足、頭が生えているかのようなおぞましい光景だった。そしてその惨状の中に佇む、一体の異形があった。


「エヴォリオル……!!」

「出たなクソ野郎っ!」

「ふん、貴様がスペクターだな。まだ戦うつもりは無かったがまぁいい。

私はラン、ブラックパンサーエヴォリオルのランだ」

「知るか!変身!!」


スペクターに変身し、青い炎を纏いながらエヴォリオルに突撃する。


「奈緒!お前はバイク持って逃げてろ!

はぁっ!!」

「シャア!」


向かってきたエヴォリオルと真っ向から激突する。敵の繰り出してくる鋭い爪での攻撃や蹴りを躱しながら荒々しくパンチ、キックを叩き込んでいく。

向こうも負けじと応戦してくるが繰り出された貫手をギリギリまで引き付けて躱し、腹と脇腹にフックを打ち込む。体勢が崩れた隙を突いてラリアットのように力任せに腕を叩き付ける。


「うぉらぁっ!!」


フィニッシュにがら空きになったボディにローリング・ソバットを見舞い、派手に吹っ飛ばしてやる。エヴォリオルは地面を転げながらも体勢を立て直し、俺目掛けて飛び掛かってきた。

カウンターで叩き落とそうと右ストレートで迎撃する。


「がっ……!?」


瞬間、エヴォリオルは空中で体勢を変え、左首筋に強烈な蹴りをもろに喰らってしまう。更に続けて胴体を射抜くような後ろ回し蹴りが繰り出されるがこちらは何とかガードが間に合う。

足をガッシリと掴んで背負い投げの要領で地面に叩き付け、更にその衝撃でバウンドしたエヴォリオルを思い切り蹴り飛ばす。


「あぁ痛ってぇなクソッ……!」


首筋に手を当て悪態をつく。


「グッ……ゥ……なるほど確かに強い、今まで三体ものエヴォリオルを倒しただけのことはある。それでこそゲームの相手に相応しい」

「またゲームかよっ…………人の命を何だと思ってんだよクソ野郎っ!!お前らバケモノがっ……!!」

「ゲームの標的(ターゲット)だ。それ以上も以外もない」


奈緒の怒声に静かに、短く返すエヴォリオル。

この前のゾウのエヴォリオルとは違い〝本当にただただそれだけにしか思っていない〟ということが分かる冷たい言葉で、エヴォリオルがどういう連中なのかを改めて思い知らされた。


「奈緒っ!逃げてろっつっただろうが!!

そこの奴らを殺したのもゲームか」

「そうだ。より多くの人間を殺し、スペクター、お前を殺す。あいつらは私を口説こうと声を掛けてきてな、ちょうどいいから殺した」

「俺を殺してどうする気だ」

「話す筋合いも義理もない」

「はっ、そりゃあそうだ……」


エヴォリオルと睨み合う。と、


「…………っ!!?」


突然サイレンが鳴り響き、あっという間にパトカーが周囲を取り囲んだ。次々警官が降りてくると俺とエヴォリオルに向けて拳銃を構える。マジかよと思う間もなくリーダー格らしき警官が叫んだ。


「動くなっっ大人しくしろっっ!!」


ピリピリとした緊張感が周囲に漂う。

いかに俺と言えども銃口を向けられた経験は…………全く無いわけではないが、流石にここまで本気(マジ)な雰囲気のケースはあるわけがない。

効かないことは分かっているが当然銃を向けられることに多少なりとも恐怖心はある。内心焦りつつどうするか考えているとエヴォリオルが先に動いた。


「人間か。殺してもいいんだが……興が削がれたな」


そう言うとエヴォリオルは駆け出し、警官やパトカーを軽く飛び越え姿を消してしまった。そして俺だけがこの場に取り残され、嫌な予感を感じた瞬間。


「発砲許可は出てる!撃てぇぇ!!!」


警官達からの容赦ない集中放火を浴びることになった。

銃弾が体表で火花を散らすが、指で軽くつつかれる程の衝撃も痛みも感じず只々火花が鬱陶しいだけ。魔皇石以外の力は全く効かないというのは伊達ではないらしい。つーか眩しい。


「!? 効いてない!!?」

(しょうがねぇ逃げるか……)


軽く助走をつけて大きくジャンプし、その場を後にする。警官達が何か叫んでいたが直ぐに聴こえなくなり、赤いランプも豆粒ほどに小さくなって見えなくなった。

一先ず安全そうな場所へ着地し、変身を解除して奈緒に連絡しようとした時ハッとする。



「俺、あいつの連絡先知らねぇ……というかあいつ連絡取れるようなもん持ってんのか…………どうすっぺ……」



美弥ちゃん達が待ってるコンビニまでは徒歩で行けなくもないが流石に歩くのは億劫だ。何より家に帰れない。

どうしようかと頭を抱えたその時。


「呼びました?」

「ドゥワオ!?」


不意に後ろから声を掛けられ思わず石川チックな叫びを上げる。振り向くと、そこには俺のXR-250に跨がった奈緒がいた。


「お前何で……」

「奈緒ちゃんパワーですよ、えぇ。さ、早く美弥さん達の所へ戻りましょう」

「お、おう……」


奈緒に促されるままバイクを運転し、さっきのコンビニへと戻る。その道すがら、俺は前々から聞こうと思っていたことを奈緒にぶつけた。


「…………そーいや奈緒」

「はい、何でしょう」

「スペクターの力って、エヴォリオルと同じもんだろ」


俺の問いに奈緒は一瞬僅かな動揺を見せるが、直ぐ平然とした表情に戻る。


「どうしたんですか急に。随分唐突ですね」

「初めてお前の話を聞いた時からずっと聞こう聞こうとは思ってたんだけどな。あれから色々忙しくて聞きそびれてた。

……エヴォリオル、そしてその根源の魔皇石(デモンストーン)は、同じ魔皇石の力しか通用しない。例外はない。つまりエヴォリオルを倒せるスペクターはエヴォリオルと同一の存在、もしくは同じルーツを持つ存在ってことになる。違うか?」

「…………………………………………」

「沈黙は肯定ってことでいいのか。

まぁ敵と同じ、近い力を使うってのはヒーローの定番だからな。ライダーなんかその代名詞だしよ」

「…………流石ですね。正直こんなに早く見破られるとは思いませんでした」

「特撮オタク舐めんじゃねーよ。そもそもオタクは考察や推察に長けた生き物だからな……で?何で隠してた?

まさか実はエヴォリオルの仲間で俺を利用しようとしてた、なんて言わねぇよな?」

「それはあり得ません。絶対に。

…………すみません、隠していたつもりは無かったんですが…………言いそびれていたのは事実です。申し訳ありません」

スペクターオーブ(これ)を使い続けることで俺に何か悪影響が出ることは?」

「ありません。難しいかもしれませんが信じてください……」

「…………分かった。今は信じてやる。

それより奈緒、あのエヴォリオル追えるか?」

「いえ、恐らくもう本拠地としている異世界に撤退してます。力を感じません」

「ちっ……」


今回はエヴォリオルには逃げられるわ警察には撃たれるわで散々だったな…………どっと疲れが押し寄せてきた時、美弥ちゃん達が待つコンビニが見えてきた。


「ただいま」

「虚空蔵くんっ!おかえり、大丈夫だった?」

「なんとかね。ただエヴォリオルには逃げられた」

「じゃあ早く追わないとマズいんじゃねーか?また犠牲者が増えるぞ」

「もう根城に引っ込んじまったとよ、とりあえずは大丈夫らしい。油断は出来ねーけどな」

「そっか……」

「美弥さん大丈夫ですよ。次こそ虚空蔵さんがバシッと決めてくれますって!ねっ!」

「なに勝手言ってんだ……まぁ、そのつもりだけどよ」

「虚空蔵殿、小生も何か情報がないかネットを調べてみるでござるよ」

「頼む」


不安を残したまま、俺達は帰路に着いたのだった。

そしてその夜。



『ここ数日世間を騒がせている謎の怪人事件、二件目が発生しました』


(正しくは四件目だけどな)



やはりというべきか、今日のテレビのニュースもエヴォリオルの事だらけだった。現実で特撮の様な事件が起こるとどうなるかはクウガでよく見ていたが、まさか本当にそんな事態が起き、自分がその当事者中の当事者になるとはな………………。

内心で件数や内容の訂正をしながらニュースを見ていると、話題がスペクターへと移る。


『青と黒のこちらの謎の怪人、これは一体なんなんでしょう?』

『ねぇ、なんなんでしょうねぇ?この怪人達とは敵対しているらしいって話ですけどねぇ』

『今日警官隊と交戦したらしいけど、何でも拳銃が効かなかったらしいじゃないですか。これ本当だったらとんでもない話ですよ、この怪物達には人間の持つ武器が通用しないかもしれないんですから』

『今のところ意図的に人を襲ったって話は聞かないけど、だからって安心は出来ませんよ。今はこの怪人達を優先しているから人間は後回しになってるだけで、我々に襲い掛かってくる可能性は十分にありますからね』


MCやコメンテーター達があーだこーだと議論を重ねる。俺から言わせれば『何トンチキ言ってんだ』といった内容に過ぎないが、事情も何も知らない人間には致し方ないだろう。

外野は好き勝手言える、とはよく言ったものだ。


「虚空蔵ちゃん随分真剣に見てるね」

「スゴいニュースだからね、ちゃんと目を通しとかないとなって思って」

「こっこ好きそうだもんね~ほぼ仮面ライダーだし。にしてもなーんか実感無いよねー、仮にも自分の住んでる県で起きてる事件なのにさ」

「優衣もそう思った。ドッキリみたいって学校のみんなも言ってたよ」

「そもそも現実味が無い事態なのと実際にこの怪人を見て被害に遭っていないのが大きいですね。

人間、同じ国や町で起きた事件でも自分に被害や影響が無ければ結局他人事ですし、当然と言えば当然でしょう」


奈緒が皮肉めいた、しかしなかなかどうして的確な台詞を呟く。


『撃てぇぇぇぇぇ!!』

『今ご覧になっている映像は怪人と交戦した警官のボディカメラに録画されていた物です。

見ての通り怪人には警官達の銃撃が一切通じていません』


テレビに昼間の一幕が映し出される。

警官が躊躇なく発砲しているという現代日本ではまず見られない光景。こうして改めて見ると思わず笑ってしまうほどにバカスカ撃たれていて、まるで人間花火かの如く眩い光と火花が俺の全身を覆っていた。

しかし一方でこれだけの銃撃が微塵も効かないことに我ながらえげつなさと恐ろしさを覚える。

人間どころか象や恐竜すら仕留められそうな凄まじい弾幕を物ともしないスペクターの姿は、第三者視点で見るとまるで魔王の如き威圧感と恐怖を放っていた。


(…………これから面倒な事になりそうだな)


そんな予感を感じながら今後の事を憂いていると、

LINEにメッセージが届く。

確認すると美弥ちゃんからの通知だった。



『虚空蔵くん今大丈夫?』

               『うん大丈夫だよ』

『今から虚空蔵くんのお部屋行ってもいい?』

               『オッケーです』



「あれ?虚空蔵さんどちらに?」

「二階」

「…………!もしかしてオナ「それ以上品の無ェこと口走りやがったら股ぐらの穴から熱したローション流し込むぞ脳ピン女」…ジョークです。yesジョークyeah」

「虚空蔵ちゃん、ちょっとお口が悪いよぉ?」

「ごめん……でも文句ならそいつに言ってほしいなお姉ちゃん…………俺ちょっと美弥ちゃんと話してくるから」

「うん、分かった」

「いってーら」


二階へと上がり自室に入る。カーテンと窓を開けると、ちょうど美弥ちゃんも顔を出したところだった。

2000の技を持つ冒険家の如くサムズアップしてOKサインを送ると頷いた美弥ちゃんが屋根を伝ってこちらへやってくる。


「はいよお嬢様」

「ありがとうございます。ふふっ」


美弥ちゃんの手を引いて部屋へ招き入れる。

これも昔からよくある光景で、小さい頃から屋根伝いにお互いの部屋を行き来しては母ちゃんに『危ないでしょ!』と注意されたモンだ。……今となっては懐かしい思い出だな。


「それでどうしたの?何かあった?」

「ちょっと虚空蔵くんと話したいなーって思って。今大丈夫だった?」

「全然。時間くらい作るよ」

「えへへ、ありがとう」

「で、ご用件は?」

「さっきのニュース見たんだ。虚空蔵くん、あんな大変なことになってたなんて知らなくて……」


急な呼び出しの理由はどうやら『昼間の映像を見て心配したから』らしい。まぁ美弥ちゃんには警官との一件は伝えていなかったし、こうならないように黙っていた訳だが意味無かったな…………


「虚空蔵くん大丈夫?痛くない?無理してない?

ニュース見てから心配で……怪我とかしてない?」

「大丈夫だよ全く痛くも痒くもなかったから。

奈緒が言ってた魔皇石には魔皇石の力しか効かないっていうのは本当らしいよ。精々火花や光が鬱陶しかったくらいかな」

「それならいいけど……この前みたいな無理や無茶はダメだよ?」

「蜘蛛男の時か…………あれは例外だよ。というか、もし何かあったらこんな風に美弥ちゃんと喋ってないって」

「そうなんだけどね、うーん…………」


猶も心配そうな顔する美弥ちゃん。こういう時はちゃんと相手に大丈夫と伝えて安心させることが大切だろう。

そう思った俺は、心配する美弥ちゃんの頭に手を置き、優しく撫でながら話す。


「美弥ちゃん、俺なら大丈夫。心配してくれるのはめちゃくちゃ嬉しいし申し訳ないとも思うけど……でも、出来る限りのことはしなきゃいけないんだ。

その過程で多少の無理や無茶はする。ていうか否が応でもしなきゃいけなくなると思う。自分でやると言った以上、俺にやれることはやらないとね」

「虚空蔵くん…………」

「ごめん。これからも迷惑かけるけど…………見守っててくれると嬉しい」

「………………うん。わかった。じゃあ、何かあったらちゃんと私のことも頼ってね?」

「分かった、約束する。これからもよろしくね」

「うんっ」



そうして二人で笑い合う何気ない穏やかな時間は、とても心地よい物に感じたのだった。

今回は夢芽ちゃんのプロフィールです。


《プロフィール》

年齢:17歳

誕生日7月7日

身長156cm

体重52kg

血液型AB型

星座・蟹座

好きな食べ物:

虚空蔵が作るコロッケ、ガッツリした物

苦手な食べ物:

特になし

趣味

体を動かす、ゲーセン通い

好きな花

睡蓮

座右の銘

よく寝てよく食べてよく遊ぶ


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