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第22話 『怨讐』

明けましておめでとうございます、ライダー超信者です。

年越すまでに上げようと思っていたのですが間に合いませんでしたすみません…………皆さんも風邪やインフルには気をつけてくださいね


「ここ……どこ……?」


目が覚めて一番最初に見たのはボロボロの天井。

体を起こして見渡すと、どうやら廃墟になった式場のようで周囲には特徴的な長椅子や説教台を始めとした残骸がそのままになっている。あちこち風化してボロボロになっている光景から廃墟になって長い時間が経っていることが窺え、なんとも言えない寂しい雰囲気が漂っていた。

その内少しずつ頭がハッキリしていき、何があったのか思い出していく。


━━━━━━━━━━━

━━━━━━━

━━━━━



『みんなっ!!』

『美弥姉ぇ!!』

『美弥さん!』


無事に地下鉄構内から避難して虚空蔵くんの帰りを待っていた私達の前に現れたのは、環状の銃身……前に楽人くんがガトリングと教えてくれた銃とチェーンソーを装備したエヴォリオルだった。

上空から突然現れたエヴォリオルに私は捕まり、そのままなす術なく連れ去られてしまった。


━━━━━━━━━━━

━━━━━━━

━━━━━


そこからの記憶はなく、多分途中で気を失ってしまったのだろう。拐われた理由もここに連れてこられた理由も分からないけど、とりあえずここが何処なのかを把握しないと……


「……!圏外……」


近くに置かれていた鞄からスマホを取り出して確認するも、圏外になっていて連絡を取ることは出来なかった。別の方法で何とかここの場所を把握して虚空蔵くん達と連絡を取る手段を探さないといけない。

ひとまず動こうとした時、古びた扉が音を立てて開いて反射的にスマホを鞄に仕舞う。

そして現れたのは━━━━━今まで行方不明になっていた伽怜良くんだった。


「やぁ美弥ちゃん」

「……………………伽怜良、くん……?」


にこやかな笑みで私を見る伽怜良くんはいつもと変わらないように見えた。本当ならこうして伽怜良くんとまた会えたことはとても嬉しい……けど、春樹さんの言葉を思い出す。


『第二号がいるなら近くにいる筈って伽怜良が言ってたけどなぁ……』

『美弥ちゃんは回収しろって伽怜良に頼まれてるから』

『か、かっ、伽怜良から連れてこいって言われたんですっ!』


(春樹さんの言っていたことが本当だったとしたら、伽怜良くんも今回の事件に関係がある筈。それに……あんまり考えたくはないけど、あの内容的に伽怜良くんがエヴォリオルと協力してる可能性もある、よね……?)


友達を疑いたくはない。でも、今の伽怜良くんからは何か今までとは違う雰囲気を感じる。


「…………伽怜良くんどうしてここに?

心配してたんだよ、大丈夫?怪我はない?」

「美弥ちゃん……久しぶりに会えたからかな、キミの優しさがすごく沁みるよ。

大丈夫、俺は無事だよ。どこも怪我してない」

「そっか、良かった…………みんなも心配してたよ」

「俺には美弥ちゃんがいてくれればいいさ。

他の人間なんて必要もないし興味もない。俺のことをなんとも思わない連中なんて心底どうでもいいよ」


伽怜良くんはそう言うと私の手を包むように取る。


「美弥ちゃん、俺はキミを救いに来たんだ」

「救、う…………?」

「あぁ、七ヶ浜からキミを救うためさ」


発言の意図が分からずに混乱する私。頭の中で何度も反芻させて考えてみるけど、やっぱりどういう意図での発言か分からなかった。


「伽怜良くん……えっと、どういうこと……?」

「キミはあんなクズと一緒にいるべき人間じゃない。キミは素晴らしい人間だ、この世界で唯一価値がある人間なんだよ。

そのキミが、あんなゴミとつるむなんてしちゃいけない。美弥ちゃんにはもっと相応しい人間がいる。

━━━━俺、とかね」

「……伽怜良くん、虚空蔵くんのことはもう悪く言わないでってお願いしたよね。

それに、私は伽怜良くんが言うような人間でも何でもないよ」

「美弥ちゃんいい加減目を覚ますんだ!!

なんであんなクズを庇う!?七ヶ浜が周りから嫌われてるのはキミだって分かってるだろ!?

ああいうドロップアウトのクズは何を言われようが自業自得!!悪く言われて当然!!死んだ方が世のため人のためなんだ!!

どうせあんなド底辺のゴミクズ一人死んだところで誰も悲しみやしない、目障りなゴミが消えるんだ寧ろみんな喜ぶさ!

美弥ちゃんはクズから解放される、俺はキミを手に入れられる、周りもクズに怯えなくて済む、そして社会不適合者が社会に出る前に消える!これは〝正義〟なんだよ!そのための力だって手に入れたんだ!!」


伽怜良くんの物言いに唖然とする。幾ら嫌いな相手とはいえここまで悪く言えること、敵意や殺意すら持てることが私には理解出来なかった。


「━━━━━美弥ちゃん、俺はキミを心から愛している。七ヶ浜なんかじゃなくて俺を選んでくれ。

美弥ちゃんを幸せに出来るのは俺だけだ、あのクズといてもキミは幸せにはなれない。ああいう輩は周りを不幸にしかしない疫病神みたいな存在だ、存在するだけで罪、存在そのものが悪と言っていい。

美弥ちゃんは早くあんな奴見限って俺と一緒になろう。それがキミの幸せでもあるんだ」

「幸せ……?幸せってなに?どうして伽怜良くんが私の幸せを決めるの?」

「……え?」


ふつふつとお腹の底から熱い何かが沸き上がり、拳を握る力も強くなる。

これは━━━━〝怒り〟。


「正義ってなに?言葉でも力でも、人を傷付けることが正義って言えるの?本当に、伽怜良くんはそれが正しいって思うの?」

「み、美弥ちゃん?どうしたんだい?」

「私は、虚空蔵くんと一緒にいられることが幸せ。

虚空蔵くんだけじゃない、夢芽ちゃん、楽人くん、楓さん、富美花さん、瑠夏くん、泉ちゃん、奈緒ちゃん……家族も友達も、大好きなみんなといられることが幸せなの。

私の幸せを勝手に決めないで…………私の大好きな人を、これ以上悪く言わないでっ!!」


こんなに強い語気で他人に何かを言ったのは生まれて初めてかもしれない。唖然とする伽怜良くんに、少し落ち着いてから続けた。


「私、虚空蔵くんが好き。大好きなの。

あんなに大切で、大好きで、一緒にいるだけで幸せな気持ちになれる人、他にいないんだ。運命の人ってこういうことを言うんだろうなって思うくらい。

私が勝手にそう思ってるだけだったとしても、私はこの気持ちをまだ虚空蔵くんに伝えられてない。だから、伽怜良くんの気持ちには答えられないの…………ごめんね」


はっきりと目を見て伝える。

伽怜良くんに限らず、私は虚空蔵くん以外の男性とお付き合いをすることはきっと無い。

虚空蔵くん以外とそういう関係になっている姿が全く想像できないし、虚空蔵くん以上に好きになれる人に出会えるとも思えなかった。

でも、これが私の本心なんだ。


「…………なんでだよ……なんでッッッ!!!!

なんで分かってくれないんだ美弥ちゃん!!キミはそんな愚かな人間じゃない筈だ!!!

あんなクズの何がいいんだよ!?あんなクズ美弥ちゃんの側にいる資格はない!キミには相応しくないんだよ!!

あのチンピラのせいで美弥ちゃんが風評被害に曝されるなんて俺には堪えられない……どうせ俺から言われたことは無視しろって脅されてるんだろ?そうなら言ってくれ!必ず俺が救ってみせる!

アイツは、存在しちゃいけない奴なんだ!!」


伽怜良くんは私の肩を掴んで迫ってくる。その表情は鬼気迫るものがあった。


「どうしてそこまで…………誰といたいかは私が決める。さっきも言ったけど、相応しいとか相応しくないとか、私はそんな凄い人間でも立派な人間でもないよ。

お願い、元の伽怜良くんに戻って……」

「七ヶ浜のクソ野郎……よくも美弥ちゃんに洗脳紛いなことしやがって!絶っ対許さねぇ!!

安心してくれ美弥ちゃん、あの悪魔は必ず俺が倒す!二人で幸せになろう!!」


私の懇願は伽怜良くんには届かなかった。

恐らく、もう私が何を言っても聞き入れてもらえないだろう。それでもなんとかして止めないと……そう思った時だった。

虚空蔵くんが教会の大きな扉を勢いよく吹き飛ばして現れたのは。


「虚空蔵くん!!」

「ごめん美弥ちゃん、遅れた!!」

「七ヶ浜……!?なんでだ、なんでここが……!」


困惑している伽怜良くんを、虚空蔵くんは鋭い目付きで睨み付ける。


「まさか本当にてめぇが一枚噛んでたとはな。堕ちるとこまで堕ちたか」

「俺の質問に答えろぉぉぉぉ!!なんでここが分かったかって聞いてんだよぉ!!」

「大したことなんぞしてねぇよ。〝笛〟の音が聞こえただけだ」

「笛、だぁ……?」


「俺にだけ聞こえる、三万サイクルの笛の音だ。

美弥ちゃんがその笛を吹けば、俺はどこにだってスッ飛んでくるんだよ」


虚空蔵くんはそう告げて耳をトントンと指で叩く。


「なんだそりゃ…………カッコつけてんじゃねぇぞチンピラがよぉぉぉぉぉぉ!!!テメェと美弥ちゃんにぃ、そんな大層な絆があるわけねぇだろぉぉ!!!!

幼馴染み程度で調子乗りやがってよぉ!!!俺と美弥ちゃんは運命で結ばれてるんだよ!!!幾ら洗脳紛いのことしようがお前なんか足元にも及ばねぇんだ!!!

お前如きが!!俺達に割り込む余地なんてねぇんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


怒り狂ったように、認めたくないものを必死で否定するように叫ぶ伽怜良くんに、虚空蔵くんは不愉快そうに眉をしかめる。そして威嚇するように近くにあった長椅子をパンチで粉々にしてしまった。


「…………眠たくなるようなことほざいてんじゃあねぇぞボンクラぁ。運命?てめぇ何時からそんなに偉くなったんだドサンピンがぁ」

「あ゛ぁ……!!?」

「美弥ちゃんが本心から本気でお前を選んだって言うなら俺だって潔く引いてやる。美弥ちゃんがそれで幸せになれるなら俺の気持ちなんてどうだっていい。

でも今回のこれは違う、断じて認めねぇ。

そもそもお前、今まで美弥ちゃんに告白らしいことの一つでもしたか?美弥ちゃんに認められたり好きになってもらえるようなこと、何かしてたかよ?」

「してたに決まってんだろぉ!!お前みたいになぁ、スカしたツラして横につっ立ってるだけじゃねぇんだよ俺はぁッッ!!!」

「その割りにゃあそんなとこ見たことも聞いたこともねぇけどな。まさかとは思うが、今まで散々俺をボロクソ言いながら美弥ちゃん口説いてたあれが〝そう〟とは言わねぇだろうな」

「だったらなんだってんだよあぁ!!?

俺は今まで美弥ちゃんに思いを伝え続けてきた!!積み重ねてきてたんだよ!!美弥ちゃんだって理解してくれてる!!

だろ、美弥ちゃん!俺がこれだけ好きなんだ!これだけ好きって伝えてきたんだ!キミだってもう俺のこと好きになってるだろ!?受け入れてくれるだろ!!?あんな奴より、俺を選ぶよなぁッッッ!!?」


あまりに唐突な問いかけに戸惑う私。

その問いに返したのは虚空蔵くんだった。


「見下げ果てた野郎だ、見苦しさもここまでくりゃ大したもんだな。

自分が好きなら相手も好き?思いを積み重ねてきたァ?てめぇに都合のいいことだけくっちゃべってんじゃねぇぞボンクラがぁ。

美弥ちゃんはてめぇに都合の良い人形じゃねぇ。人の幼馴染みコケにすんのも大概にしとけよゴラ」


虚空蔵くんが向けた冷たい視線と隠しきれない怒気に伽怜良くんは睨み付けながらも後退る。


「所詮お前の気持ちなんてそんなもんか。何が運命だしゃらくせぇ。

てめぇの勝手な考えを一方的に押し付けたモンが運命たぁ、笑っちまうなぁおい!」

「黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

美弥ちゃんは俺の物だ!!俺の物にする!!お前如きが笑ってんじゃねぇよぉぉぉぉぉぉぉぁ!!!!!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


俺は昔から優秀だった。

運動も勉強も人並み以上に出来た。テストで90点未満なんて取ったことがないし、控えめに見ても運動部と同等程度には運動もスポーツもこなせた。まさに文武両道、顔だって整っている方だという自負がある。

だが、俺のような優秀で容姿も優れている人間は必ずと言っていいほど〝ある問題〟にぶつかる。

周囲からの妬みによるいじめだ。


『調子乗ってんじゃねーよ!』

『お前偉そうでムカつくんだよ、ちょっと勉強できる程度でよ』

『伽怜良は無視でいいよ。関わってもバカにされたり嫌味言われるし』

『だよね~~なんなんだろうね、あの勘違い男』 

『あーいうの、頭がいいだけの馬鹿って言うんだろうな』

『キモいんだよお前』


小学校の高学年くらいから前兆はあったが、中学に上がった俺は程なくして嫉妬に駆られた周囲から心ない言葉やいじめを受けるようになった。

自分より優秀で気に入らないから排斥するというエゴに満ちた幼稚な理由を上っ面だけの張りぼての詭弁、中身のない口先だけの正論もどきで正当化し、嬉々として他者を攻撃する。

ネットの世界には自分が醜悪であることに気付かない、或いは棚に上げて一丁前に他者を攻撃して悦に入る下衆な低脳共が腐るほどいるが、あの時は現実もネットも大して変わらないものだと思わず笑ってしまったものだ。


そんな馬鹿共に正しさなどあるわけもなく、何を言われたところで呆れしか感じない……寧ろその程度で自尊心を満たせる連中には哀れみすら覚える。

あんな下等な連中に俺を理解することは出来ない。真に優秀な人間とは何時だって周りから妬まれ、迫害され、理解されないものだ。これも優秀な人間の運命なのだろう。



美弥ちゃんに出会ったのは、そんな周囲からの理解を諦めた時だった。



『はじめまして!私、多賀城美弥って言います。よろしくね!』

『伽怜良くんスポーツ得意なんだね~カッコよかったよ~~!』

『手伝ってくれるの?伽怜良くんありがとう!』

『…………そっか、大変だったね……うん!私も力になるよ!いつでも相談してね!

話し合って歩み寄れば、必ずお互いの納得できる着地点が見つけられるはずだよ!』


当時の俺にとって美弥ちゃんの存在は〝救い〟そのものだった。

純粋無垢で天真爛漫な笑顔、言葉はいつも俺の心を温かく包んでくれた。

美弥ちゃんがいじめを止めるために尽力してくれた結果、俺へのいじめは無くなり、卒業まで再び愚図共に絡まれることも無かった。


一連の事件が解決した後、俺は確信した。

俺に相応しい人間は美弥ちゃんしかいない、その逆も然りだと。俺達は結ばれる運命の下に生まれ、出会ったのだと。


だが、美弥ちゃんと共に幸せになるためには、ある邪魔者の存在があった━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「お前だ七ヶ浜!!お前が目障りで仕方がなかったんだよ!!いつもいつもいつも美弥ちゃんの周りを飛ぶ薄汚ねぇ蝿がぁ!!!

美弥ちゃんは俺と結ばれる運命なんだ!!お前じゃない!!俺だぁッッッ!!!」


喚き散らす風間に呆れて頭を掻く。

今まで叩き潰してきた連中にも結構な頻度でこういう奴がいたが、みっともなく喚く人間って話す気も失せるんだよな……


「美弥ちゃんを無理矢理拐った奴が好き勝手言ってんじゃねぇ。もういいから美弥ちゃんを解放しろ。

大人しく従うなら適当にシバく程度で今回のことは黙っといてやる。口裏だって合わせてやるよ。

だが出来ねぇってんなら…………」


前に突き出した手を、ゆっくりと握る。


「二度とこんな真似が出来ねぇよう、徹底的に叩き潰す。容赦も手加減も一切なしだ」

「はっ……ははは!!何を偉そうに!結局暴力頼りか野蛮なチンピラが!!

直ぐにそんな大口叩けなくしてやるよぉっ!!」


『チェーンソーガトリング!』


風間は取り出したエヴォルオーブを起動させ、エヴォリオルへと変わった。

チェーンソーとガトリングが融合した武器を両腕に持つロボットのような見た目をしたエヴォリオルは、風間の自尊心やプライドの高さの表れか白い洗練されたボディを持ち、顔にはアルカイック・スマイルを思わせる微笑を浮かべている。

一見すると天使のように見えるが、剥き出しの敵意が形になったような凶悪な武器がアンバランスで、さながら〝天使の皮を被った殺戮マシーン〟のようなイメージを受けた。


「見ろッッ!!これが俺の力!生まれ変わった俺の姿だ!貴様のような悪を裁く、正義の執行者だ!!!」


高笑いする風間。正直、この馬鹿がここまで堕ちていたとは思ってなかった。

こいつの性格上、人を捨てるなんて我が身可愛さで出来ないだろうと思ってたが…………


「てめぇに人を捨てるだけの覚悟があったとはな、正直驚いた」

「はっ、これだから無知無学は。俺のは〝進化〟って言うんだよマヌケ。

俺の味方をしない存在なんて何の価値もない。

あの馬鹿な親も、学校も、世界も、全て必要ないッ!あの程度の繋がりを捨てて進化出来るなら無いに等しい代償だ。美弥ちゃんを取り戻せるなら尚更な」

「強奪の間違いだろ、端からてめぇのモンじゃねぇものをどうやって取り戻すんだアホンダラ。

俺ぁおめぇの親御さんが不憫でならねぇよ」

「言い残すことはそれだけかぁ?お得意の暴力はどうしたんだよえぇ?」


俺は片手を挙げ、バチンと指を鳴らした。


「言い残すことか…………あぁ、一つあったな。







ここに来たのは俺一人じゃねぇよ」


その瞬間正面の大きなステンドガラスが盛大に割れ、恵里とモカが飛び込んできた。

風間は驚く間もなく恵里に蹴り飛ばされて吹き飛び、モカは素早く美弥ちゃんを救出する。


「モカちゃん!恵里ちゃんまで……」

「助けに来たよ。怪我はない?」


風間の意識が完全に俺に向いたところで合図を出し、それを受けた二人が突入して美弥ちゃんを助ける━━作戦成功だ。


「いや~マジでいるとは思わなかったわ。お前なんで美弥のいる場所分かったんだよ、山ん中よ?ここ。変身してるならともかくさぁ」

「勘だ、信じる信じないは好きにしろ」

「ガアァァァァ!誰だお前らぁ!?」


瓦礫をはね飛ばしながら起き上がったエヴォリオルは鼻息を荒くする。


「今から死ぬ奴に名乗るのメンドくさいからパス。

虚空蔵の予想が当たってたってことは、こいつから聞き出せることはなんもないか」

「恵里、こいつは俺がやる。悪ぃが手出し無用だ。

モカと一緒に美弥ちゃんを頼む」

「エヴォリオルを守んのは癪だけどな。まぁしゃーねーか、ほら行くよ」


恵里は二人を連れて教会を出る。みんなも奈緒のワープ能力でここに来ており、少し離れた場所で待機しているため直ぐ合流できるだろう。


「待て!美弥ちゃんを返せっ!!」

「てめぇに返すもんなんか何もねぇよ」


美弥ちゃん達を追おうとするエヴォリオルの前に立ち塞がる。


「七ヶ浜ぁぁぁ……!!

…………丁度いい、美弥ちゃんを追いかけるのはお前を始末してからだ。(お前)に正義の裁きを下してやる、ありがたく死ねぇっっ!!」

「…………アホくせぇが今回は乗ってやる。

お前が正義を騙るなら、俺は━━悪だ」


変身、一気に吹き出した爆炎がエヴォリオルを焼く。もがき苦しむエヴォリオルを見下ろしながら炎をかき消してスペクターへと変わった。


「しっ、ち、がはまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!

やっぱりテメェが第二号かバケモンがぁ!!」

「吠えてねぇで掛かってこい、ビビって腰抜けたか」

「殺すっ!!殺すっ!!殺す殺す殺す!!!

ぶっ殺してやるぅぅあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



閲覧ありがとうございました。

最初は決着まで書こうと思っていたんですが、なかなかに長くなりそうだったので分けます。

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