第19話 『幕間』
どうもお久しぶりです、ライダー超信者です。
二週間ほど風邪と併発した口内炎で死にかけてました、遅れてすみません(一週間で3kg痩せました)。
今回は閑話休題というか日常回(?)です。みんながわちゃわちゃしてます。
金曜日、謹慎四日目。
「………………よし。問題なし、と」
学校に提出する反省文の確認を済ませて背もたれに体を預け、首をバキバキと鳴らす。
「美弥ちゃん大丈夫かなぁ…………絶っ対ぇ群がられてるよなぁ……」
俺がいないのも今日まで、つまり俺という邪魔者を気にせず美弥ちゃんに近付けるチャンスは今日が最後ということになる。
今、美弥ちゃんの周りには助けを求める奴、甘えようとする奴、お近づきになりたい奴らが群がっていることだろう。
「心配なんですか?美弥さんのこと」
俺の布団に寝っ転がって漫画を読んでいた奈緒が聞いてくる。
「ちょっとだけな。まぁ夢芽がいるし大丈夫だ、楽人もいる。
…………そもそも、あの子はド級のお人好しであって無用心な馬鹿じゃねぇ。仮にそこらの奴が悪意を持って近付いたとしてどうこうしたり丸め込めるほど甘かねぇよ」
「と言いつつ、虚空蔵さんが心配してるのは美弥さんに変な虫が付かないか、でしょう?」
「………………………………………………」
「肯定の沈黙ですねぇ、ゴリラ達の沈黙ですねぇ」
「叩き殺すぞボケ」
ケラケラと笑う奈緒はお気楽な口調で続ける。
「大丈夫ですよぉ、美弥さんが虚空蔵さん以外の男になびくなんてあり得ませんから。ないない、絶対ない。起こり得ないことを心配したってしょーがないですよ」
「本人でもねぇクセになんだよその自信」
「だってあんな虚空蔵くんしゅきしゅきアンリミテッドオーバードライブどうやって堕とせっていうんですか。
多分あの人、虚空蔵さん以外の男の人異性として見てないと思いますよ」
「……………………………………」
「エッチな催眠とかカス程も効かなそうですよね。効いても内容全部虚空蔵さんに向きそう」
「殺すぞ」
しょうもない発言に眉間を押さえると、スマホの通知音が鳴る。確認するとラインに楓さんと楽人からメッセージが来ていた。
『全動物で一番ちんちんの比率が大きいのはバク♡』
『人と話したことはないけど空に向かって話しかけたことなら何度かあるゾ
ポはいつも孤独を感じるとベランダに行って青空を見るゾ、この青空の青色がパソコンの色では味わえない自然の色だからいいゾ~これ
夕陽を見るとポは涙が出てくるんだゾ、涙で目がかすんだまま夕日の光を見ると、そこには夢と希望で毎日が楽しかったポが見えるんだゾ
毎日、空を見てて飽き飽きしてたあの頃に戻りてぇなぁ』
「…………ッチィィィ~~~~~~」
「ため息吐きながら舌打ちとか器用ですねぇ」
二人からのクソメッセージに盛大にため息と舌打ちすると、再び楓さんからメッセージが届いた。
『そういえば自己紹介らしい自己紹介ってまだしてなかったじゃない?良ければ改めて自己紹介しようかと思ってるんだけど、虚空蔵くんはどう?』
そのメッセージに
『分かりました』
とだけ返した。
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「美弥ちゃんこれどうすんのー!?」
「美弥ちゃんここ教えてー!!」
「美弥ちゃんこれ手伝ってー!!」
「はーい」
「美弥ちゃん、一緒にお昼食べよー!」
「お、俺も一緒に食べていいかな!?」
「あ!俺も俺も!」
「あたし達もいーいー?」
「うん、みんなで一緒に食べよっか」
「いやはや美弥殿は相変わらずすごい人気でござるなぁ、傾国傾国」
「虚空蔵がいないから尚更な。来週になったらあいつ戻ってくるし、今のうちってこった」
今週一週間、美弥姉ぇは色んな奴に囲まれていた。番犬役の虚空蔵がいないことでここぞとばかりにクラス内外から人が集まってきており、非常に賑やかなことになっている。
今までも虚空蔵が体調を崩した日は同じようなことになっていたため、オレからしてみればさほど珍しい光景ではない。
「美弥ちゃーん、明日遊びにいかねー?」
「絶対ぇ楽しいから行こうよ~!」
「行くっきゃないっしょ!的なっ!?」
同じクラスのギャルグループが美弥姉ぇをナンパする。美弥姉ぇがこうやってナンパされるのはいつものことだが、未だかつて美弥姉ぇをデートに誘えた人間はただの一人もいない。
もちろん、虚空蔵を除いてだ。
「いいよ!虚空蔵くんが一緒でも大丈夫かな?」
「えっ。いやぁ~~それはちょっと…………」
「う~んそっかぁ……ごめんね、お誘いは嬉しいけど虚空蔵くんのことがあるから遠慮しようかな。
虚空蔵くん心配性だし、私も虚空蔵くんが一緒にいた方が楽しいから」
「え~でもさぁ…………」
「やめとけやめとけ、仮に誘えたとしてどのみち虚空蔵はおまけで付いてくんぞー」
「げ、マジかよ………」
「なら遠慮しとくわ~……」
「ごめんね、良かったらまた誘ってね~」
ギャルグループは残念そうに退散していった。
今まで口説こうとした奴らは全員こんな感じで玉砕している。ちなみにボディーガードの名目で虚空蔵が付いてくるのはマジだ。
美弥姉ぇも美弥姉ぇで虚空蔵がいるのが当たり前というか大前提になっているからどっちもどっちだが。
「美弥ちゃん夢芽ちゃん楽人くんにゃっほー」
そんな気の抜けた呼び掛けに振り向くとそこには楓先輩が…………何故かジョジョ立ちで立っていた。突然現れた生徒会長にクラスがざわめく。
「楓先輩どうしたんですか?つかなんで仗助……」
「いや、仙台市民のジョジョ立ちって言ったらやっぱりこれかキラークイーンかなって」
「何か御用ですか~?」
「うんうんそれそれ!今日さ…………」
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七ヶ浜家 PM15:51
「さぁやってまいりました楽しい楽しい自己紹介のお時間っっ!!テンション上げてこーみんなぁ!!」
俺の部屋。無駄にテンションの高い宣言と共にがに股ダブルピースという嬉しくもなんともないポーズを取る楓さんに項垂れてため息を吐いた。
姿形はみっともないのだがツラとスタイルの良さで謎に様になっているのが余計残念に思う。もっと活かし方あるだろその容姿。
「楓ちゃん、ちょっと……ちょっとだけ、はしたないと思う……」
「前々から思ってましたけど、常禅寺先輩ってこんなキャラだったんですね……なんか思ってたのと違う……」
「んあ~?そうなの?」
「で?自己紹介するんでしょう、誰からやるんですか」
話を振ってさっさと先に進める。結局言いだしっぺの法則ということでトップバッターは楓さんに決まった。
「改めまして、常禅寺楓です!誕生日は4月12日、血液型はB型、好きな物は特撮とヒーロー物!あと二次元三次元問わず可愛い女の子も好き!」
「女性の方が多い状況でそれ言うの、お前狙ってるぞって言ってるようなものでは」
「流石にそこまでじゃないよ!!確かに富美花ちゃんのおっぱい揉みしだいたことあったけどさ!!」
「楓ちゃんっ……!言わなくていいから……!」
「あ、ごめん…………えーっと、趣味は特撮番組観たりグッズ集めたり紅茶ブレンドしたりかな。読書もゲームもするし、体質上インドアな遊びがほとんどだね。
不思議な縁だけど、これからもよろしくね~」
楓さんが終わり、富美花さんに順番が移る。
「えっと、鈎取富美花、です…………誕生日は10月17日で、血液型はA型です…………好きな物は本です、祖母が書店を経営していて、その影響で昔から本を読むのが好きです……えっと、趣味は読書と書店巡りです……よろしくお願いします」
富美花さんはぺこりと頭を下げ、美弥ちゃんと夢芽にバトンタッチする。
「多賀城美弥です。誕生日は7月7日、血液型はAB型です。
好きなものはお友達と、みんなに笑顔になってもらうことかなぁ。誰かに笑顔になってもらうと自分も嬉しくなるから」
「善性の権化」
「メンタルが女神」
「かわいい」
「スリーサイズおせーて」
「 楓 さ ん 」
「あはは……趣味、というより好きなことは虚空蔵くんと夢芽ちゃんと遊んだり、こうやってみんなと一緒にいることです。誰かの力や助けになることも好きです。
みんなともっと仲良くなりたいので、これからもよろしくお願いします!」
「多賀城夢芽です。誕生日と血液型は姉の美弥と一緒で好きな物はスポーツと虚空蔵と楓先輩ほどじゃないけどヒーロー物、趣味は体動かすのとゲーセンかな。ちょくちょく女子運動部の助っ人もやってます。
姉共々よろしくお願いしまーす」
二人が終わって次は俺かと立ち上がろうとしたが、楽人に止められる。
「お前が先か?」
「虚空蔵殿は大トリでござるよ、次は小生が」
「ん、頑張れ」
「やぁやぁやぁ!小生、塩釜楽人と申す一般クソオタク!姓は塩釜、名は楽人!」
「分かってるよ。なんで二回名乗ったんだよ」
「誕生日は4月11日、血液型A型、好きな物はサブカルチャー全般!趣味はネットサーフィン!まぁ見ての通りのキモオタでござるな!!」
「なんで楽しそうなんだよ」
「まぁまぁまぁ!こんなサブカルクソオタクな小生でござるが、これからも何卒よろしくお願いするでござる!」
楓さんに負けず劣らずなテンションで無駄に勢いのある自己紹介する楽人に苦笑する。そうして順番は一年生二人に回る。
「名取泉でーす、誕生日は8月31日、血液型はABです。
趣味はネットとかSNSとかー、漫画読んだりアニメ見たりですかね。
好きなものはぁ……先輩です♡」
泉はわざわざ俺の目の前まで来ると顔を近付けてくる。
「あざいとなぁお前……」
「サマになってます?」
「…………なってるよ」
「泉ちゃん可愛いもんね~」
「えへへ、どうもで~す。これからも先輩達と仲良くしていければいいなぁって思ってます。よろしくお願いしまーす」
「南光台瑠夏です。誕生日は9月3日、血液型はA型です。
趣味はテニスで部活もテニス部に入ってます」
「あ~~瑠夏きゅんピッタリ~!今度テニスウェア姿見せてよぉ♡お金払うよ?◇」
「え、えぇ?」
「生徒会長が売春染みたことしないでください。瑠夏、気にしないで続けてくれ」
なんかヒソカっぽい楓さんを一蹴し、怯え気味な瑠夏を庇う。
「は、はい。えっと、好きなもの、憧れてるものは男らしくてカッコいいものです。
僕がこんな感じなので憧れがあって……虚空蔵先輩みたいに強くてカッコよくなりたいんですけどね……あはは」
「……それならもうなってるじゃねぇか」
俺の言葉にキョトンとする瑠夏。下手な女子より可愛いのすげぇなぁ……まだ脳がバグる。
「前にエヴォリオルの仲間割れに巻き込まれた時あったろ。あん時、瑠夏も泉も富美花さんを連れて逃げることに一切迷いがなかっただろ?
あれ見てすげぇなって思ったんだよ、あの状況でそうそう出来ることじゃねぇ。
俺よりよっぽど強いしカッコいいぜ、お前。もっと自信持っていい」
「…………!」
「先輩先輩、私もですか?」
「あぁ」
褒められて照れている後輩二人に何とも言えない可愛げを感じる。そしていよいよ俺の番になり、少し緊張しつつ立ち上がった。
「えー……緊張する」
「虚空蔵くん頑張れ~」
「意外と緊張しいだよなお前」
「恥ずい……七ヶ浜虚空蔵です、誕生日は7月7日、血液型はAB型です」
「えっ、虚空蔵くんと美弥ちゃん夢芽ちゃんって誕生日一緒なの!?」
「リアル織姫と彦星……」
「織姫二人か、随分贅沢だな」
「織姫って柄じゃないだろオレは」
「柄かどうかはともかく夢芽も相当可愛いからな。不足はないだろ」
「そ、そうか……ありがと」
夢芽は顔を赤くして視線を逸らした。
「好きなものは家族と多賀城家の人達、特撮含めてヒーロー物全般です。このグッズまみれの部屋見たら分かる通り、特に仮面ライダーが好きです。
趣味は特撮観賞、特撮グッズ収集、バイクいじり、料理……まぁ色々ですかね。
こんな俺ですがこれからも仲良くしてもらえると嬉しいです、よろしくお願いします」
こうして全員の自己紹介が終わった……と思った時、
「待てーい!もう二人いるぞ!!」
奈緒がデカい声で勢いよく入ってきた。その後ろにはモカもいる。
ひとまず奈緒にリストロックをかける。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「お前ぇうるせぇ、ドア壊れんだろアホ」
「もげるぅ!手首もげちゃうぅぅぅぅぅ!!」
「虚空蔵殿、それ以上いけない」
「虚空蔵くんストップストップ!
…………えーっと、モカちゃんと奈緒ちゃんも自己紹介する?」
美弥ちゃんの問いにモカは首を傾げた。
「じこしょーかいって美味しい?」
「美味しくはないかなぁ……自己紹介はね、周りの人に自分の色々なことを説明することなんだ。何が好きとかこういう趣味がありますとか、お互いをよく知るためのものだよ」
モカは少し考える。
「よく分からないけど、好きなものはこの家の人達とご飯だよ。これでいいの?」
「うんうん、バッチリ!」
「それに美弥ちゃんと夢芽ちゃんも好きだよ。いつも可愛がってくれるから」
「やったー!私もモカちゃんのこと大好きだよ!」
「ふふ、そっか。嬉しいなぁ。夢芽ちゃんはボクのこと好き?」
「うーわキラーパス……そりゃまぁ、好きだよ。うん」
「ボクも夢芽ちゃんのこと好きだよ。一緒だね」
「いやぁ~~美少女のイチャイチャは万病に効くでござるなぁ~~~~!!」
「挟まりてぇ~~~百合の間に挟まりてぇ~~~~」
「台無しだよ」
楽人と楓さんのおふざけに呆れ、手首を押さえてうずくまっている奈緒に声をかけた。
「おい、自己紹介すんのかしねぇのかどっちだ」
「しますぅ……あー痛ってぇ…………関節きまった以前にシンプルに馬鹿力で痛かったんですけど……」
ぶつくさ言いながら立ち上がった奈緒は咳払いを一つして自己紹介を始める。
「改めまして、仙台奈緒です。7月7日生まれのAB型です」
「お前誕生日一緒かよ」
「織姫が三人になったな……」
「いや私もびっくりしましたよ、おんなじ誕生日の人間がこんなに集まることあるんですねぇ………………も、もしかして私、虚空蔵さんのハーレムの一員ですかぁ!?いやんいやん♡」
「きっっっっっっっしょ」
「テメェこの野郎」
「まぁまぁ奈緒ちゃん、あんまり変なこと言わないであげて」
「美弥さ~んあのゴリライジめてくる~~!」
美弥ちゃんに泣きつく奈緒にため息が出る。
つーかさらっとゴリラ呼びしやがったなコイツ。
「奈緒ちゃん、趣味とか好きなものある?」
「あ、趣味は美味しいものを食べることです。
好きなものは平和と何気ない日常ですかね、元いた世界だと無縁のものになっちゃったので。まーまー今後ともよろしくお願いします」
こうして本当に自己紹介が終わった。
…………しかしこうして見ると美弥ちゃんと夢芽はともかく、本来なら知り合うことのなかったであろう面子ばかりだと改めて思う。我ながらよくこんなバラエティ豊かな知り合いが出来たものだ。内一人は人になったペットだしな。
「……………………俺達って友達、なんですかね」
「え、逆になんだと思ってたの?友達エーンド仲間でしょどう見ても」
「小生一年もいて友達にカウントされてなかったと?」
「こんな可愛い後輩二人侍らせてなんてこと言うんですか先輩!」
「あ、いや、悪ぃ……そういうわけじゃ……」
楓さん、楽人、泉に詰められる。
「虚空蔵ってオレと美弥姉ぇ以外に友達いなかった時期が三年くらいあったからな。もう友達の概念を忘れつつあるんだ、許してやってくれ」
「概念落っことしてきちゃったんですか」
「泉その言い方やめろ。俺がヤバい奴みたいだろ」
「単騎で暴走族潰せる人は十分ヤバい奴でしょう」
奈緒の言葉にぐうの音も出ない。それはそうだ。
「でもでも、虚空蔵くんにお友達が増えたのはとっても良いことだよ~」
「それはまぁ…………こんな奴ですけど、これからもよろしくお願いします」
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「どうだい伽怜良、エヴォリオルになった気分は」
「ははっ……ははは……!!いい気分だ…………何で も出来そうだぜ……!!」
「待っててくれ美弥ちゃん……必ず救い出してあげるからね…………!!」
閲覧ありがとうございました。
内容や流れはほぼほぼ決まってるから、次の話は早く出したいなぁ…………




