第18話 『旧友』
みなさんこんにちは、ライダー超信者です。
期間が空いてしまって申し訳ありません。
…………ファイズとギーツのVシネ、良かったですねぇ
どことも知れない異世界 時間:不明
「……………………なにが生きててよかっただよアホ」
あれから四日が経つ。虚空蔵の言葉がずっと頭を回っており、モヤモヤした気分が晴れない。
今更揺れ動くほどのモノなんて無いくせになんて調子のいいことか、と自分にウンザリする。
「決着、つけないとな…………」
呟いた言葉は赤い空に吸い上げられて消えた。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「………………んー」
心配そうにやってきた瞳になんとも言えない返事だけ返して黙る。瞳は何も言わずにアタシの隣に腰を下ろした。
「お姉ちゃん、虚空蔵くん達なら受け入れてくれると思うよ。きっとまた友達に戻れるよ」
「…………どしたん急に」
「心配なんでしょ?今の自分が、今更受け入れられるかって。前みたいに戻れるのかって」
「………………ははっ、瞳さんや、そーいうのは言わない方が美徳なんだよ」
「ふふっ、当たってた」
「でもまぁ、そうね……あいつらと会って思う所はあったよ正直。あいつらだって気付いた時にはぶっちゃけ泣きそうになったし。
でも今のアタシはさ、あいつらと復讐どっち取るかって言ったら迷いなく復讐なんだよね。二人の無念を晴らさずにのうのうと生きるなんて御免だわ」
アタシの言葉に瞳は何も言わず、寂しそうな顔をして黙り込んでしまった。
「だから決着……いや、決別か。きちんとあいつらへの未練を断ち切っておきたいんだよ。
今更ウチの居場所なんかないし、そういう甘えはきっちり殺しとかないと、さ」
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七ヶ浜家 AM9:05
「Tell me the truth 信じてた未来が~~崩れ去ろうと、してる~」
謹慎二日目の水曜日。みんなを見送った俺は歌を口ずさみながら掃除機をかけていた。
「…………なんかラジカセから森のくまさんでも流れそうなシチュエーションだな、これ」
「なにワケわかんない言ってるんですか」
掃除を手伝っていた奈緒にツッコまれるが無視して掃除機をかけていると風呂掃除をしていたモカが戻ってくる。
「主、お掃除終わったよ」
「ありがとな、助かる」
「虚空蔵さん私はー?」
「へーへー、ありがとよ」
「あ、普通に褒められた。『口より手ぇ動かせ』とか言われると思ったのに」
「なんだ、そっちの方が好みだったか?」
俺がからかい半分で笑いながら返すと、奈緒は頬を赤らめながら視線を逸らす。
「今のいい……」
「? どうした」
「あ、えっとその、今の余裕のあるちょっと意地悪っぽい感じいいなぁなんて……」
「なんだそりゃ、お前Mか?」
「ど、どうでしょう?」
「主、〝えむ〟ってなに?」
「ゲームが上手い研修医のことだ」
「ふーん?????」
首を傾げるモカは置いとき、掃除をさっさと終わらせて掃除機や奈緒の使っていたフローリングワイパーを片付ける。
「鍛えてくる、なんかあったら呼べ」
「了解です」
外に出てプレハブ小屋に入り、いつものように鍛え始める。
「ベンチもレッグプレスも重量増やすか……?あんま重さ感じなくなってきたな」
一ヶ月ほど前、楓さんからジムにあるようなかなり本格的なベンチプレス一式とレッグプレス一式を頂いた。曰く『知り合いであるトレーニング用品会社の社長さんがお遊びで作った試作品を貰った物』らしいが、バーベルは最大で1トン、レッグは2トンまで増やせる凄まじい代物だった。
プレハブと言いつつ、作りは普通の家とほぼ変わらない頑丈なこの小屋でも流石に床が抜けるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、ちゃんとプレート等の調節が出来ることに加えて心配なら外に器具を出してやればいいかと思い、ありがたく使わせてもらっている。
現在ベンチ250、レッグ700で鍛えていたが既に慣れてしまい、早くも増量するか検討していた時ドアがノックされた。
「ん」
「虚空蔵さん失礼しまひゅぅ」
入ってきた奈緒はドアを開けるや否や顔を真っ赤にして固まった。なんなんだ一体ぇ。
「どうしたお前」
「あっあっあっ、あっ、その、虚空蔵さん裸……」
「! あぁ、そういうことか。悪い」
あたふたしながら小さい声で伝えられ、ようやくトレーニングのために上を脱いでいたことが原因だと気が付く。ひとまずシャツだけ着て奈緒を落ち着かせる。
「はぁ、びっくりしたぁ…………」
「悪かった、見苦しいもん見せちまったな」
「いや見苦しくはないというか、むしろ惚れ惚れすると言いますか…………」
「で?何か用か?」
「あ、そうでした。これ、お水忘れてたから届けにきたんです」
奈緒はそう言うと持っていたペットボトルを俺に渡してきた。礼を言って一気に流し込む。
「ふぅー…………最近暑くなってきたな」
「もうそろそろ本格的に夏ですもんね。もう直ぐ夏休みでしょう?」
「あぁ。期末テストも何とか無事だったしな」
「数学と英語のギリギリ40点超えは無事って言うんですかね……」
「赤点回避できてりゃ無事だろ」
他愛ない会話をしていた時、美弥ちゃんから連絡が来た。見ると今日もみんなを連れて来ていいか、という連絡だった。了承し、スマホをしまう。
奈緒にもその旨を伝え、トレーニングに戻った。
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「イゴール、オーバーロードはどうだ」
ほの暗い不気味な雰囲気の研究室に訪れたアランはホログラムのコンソールらしきパネルを操作している男に声をかける。
黒いカンフー服に丸いサングラスというあからさまに怪しい格好をした男は、その見た目通りの怪しげな笑みを浮かべながら振り返った。
「おぉアラン。じき完成する……と言いたいところだが、最終調整用にもう少しスペクターやファントムのデータが欲しいというのが正直なところだな。
どっかの誰かさんが急に対スペクター用にカスタマイズしろ、なんて言うもんだからなぁ?」
アランに対して男……イゴールは笑いながら言う。
嫌味や文句の類いではなく、冗談を言ってからかっていることが表情や態度から分かる。アランもそれが分かっているようで静かな笑みを返すだけだった。
「それならカラーが連れてきたあの人間が使えるかもしれん。スペクターに随分と恨みがあるようだ、使いようによってはデータ採取の足しになるだろう」
「あの人間ねぇ、使い物になるのか?一応適合は出来たらしいが…………」
「使い物にならなければ処分すればいいだけだ、あの程度の矮小な輩はいくらでもいる」
「はっはっはっ!そりゃそうだ!」
「オーバーロードが完成すれば私の番だ…………今まで散っていったエヴォリオル達のために、この手で必ず奴らを葬る……!」
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七ヶ浜家 PM16:10
「まぁそんな感じで、未だに風間は見つかってないんだとよ。ほんとどこに行ったんだか」
夢芽は呆れたように肩を竦めた。風間は未だに見つかっていないようで、足取りはもちろん有力になり得る目撃情報や証言もないらしい。
「先日の一件以来、風間殿の評判は悪くなる一方。経緯が既に学校中に広まっている故、風間殿の味方をする人間はいないというのが現状でござるなぁ。
その上、逆上して家出した結果行方不明になって方々に迷惑をかけたとなると…………」
「マジで何がしたいんだよアイツは…………」
「因果応報ってあるんですね~~何でしたっけ、天網なんちゃらってヤツ」
「天網恢々疎にして漏らさず、だね………」
「僕達一年生の方でも話が広まってました。
『あの七ヶ浜先輩に喧嘩を売って返り討ちにされた人がいる』って」
「三年の方でもそればっかりだったね~。ていうか人間ってあんなに吹っ飛ぶもんなんだね」
正直ここまで来るとあのアホが再び学校に来られるのか疑問に思えてくるが、まぁ心配してやる義理もないだろう。あいつの図々しさ厚かましさがあれば、しれっと学校に来て何事も無かったかのように振る舞うのは雑作もないだろうしな。
ちなみに、夢芽や楓さんが言うには俺は俺で更に怖がられるようになったらしい。自業自得とはいえ面倒くせぇなぁ。
「伽怜良くん大丈夫かなぁ……私も探した方が……」
「探すったって方法がないんじゃあなぁ。警察が動いてるならそっちに任せた方がいいって」
「夢芽殿の言う通りでござる。ただでさえ今の宮城は人外魔境と揶揄される状況故、美弥殿のような可憐な乙女が迂闊に出歩くのは危険でござるよ」
「ネットでそんな呼ばれ方されてたなそういや……」
「か、可憐かぁ………えへへ」
照れる美弥ちゃんの可愛さに癒されていたその時、何かが屋根に降り立った。
「もっしもーし、おいこらいるかー」
「恵里っ……!?」
「恵里ちゃん!」」
「まさかのカチ込みですか…………」
「敵機襲来!敵機襲来ぃぃ!!!」
「塩釜先輩落ち着いて!」
「虚空蔵くん以外は後ろに下がって!美弥ちゃんと夢芽ちゃんも!」
突如現れた恵里に部屋はパニック状態となり、警戒しながらも鍵を外しゆっくりと窓を開ける。ひとまずこの間のような敵意はないらしく、手を軽く挙げて気さくな挨拶をかましてきた。
「お、やっぱいた。よっ」
「お前……何しに来た」
「家の場所変わってなくて安心したわ、見た目も全然変わってないから瞬で分かったし。あの花園ゾーンとかあそこの池の跡もマジで懐かしいわ、おじさんのプレハブもまだあんのな」
戸惑う俺を他所に懐かしむ恵里。憂いを帯びた笑顔はどこか儚さを含んでいた。一通り見回した恵里は俺に向き直る。
「虚空蔵、決着付けに来た」
短い一言。今までの穏やかさから一転し、その目には刃のような鋭く黒い光が宿っている。
「決着って…………」
「………………分かった。場所はどうすんだ」
「河原でいいでしょ。広いし、迷惑もそんなかかんないっしょ」
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場所を移した俺達は恵里と対峙する。恵里の後ろには瞳ちゃんもいて、心配そうな視線を向けている。
「お姉ちゃん、本当にやるの…………?」
「ここまで来たら、ね。危ないから下がってな」
「虚空蔵くん…………」
「大丈夫、みんなと下がってて」
互いに心配する人を下がらせ、前に出る。
「悪いね、こっちのワガママに付き合わせちゃって」
「気にすんな、俺とお前の仲だろ」
「ダッサいよな。命賭けて復讐を果たさなきゃいけないウチが、今更アンタらに未練持ってさ。
んな甘えが許されるわけないのに」
「…………………………………………」
「この前のさ、『生きててよかった』ってアンタの言葉、ずーっと頭ン中ぐるぐるぐるぐる回ってて消えてくれないんだよ。
仮にこのまま絆された挙げ句復讐心を忘れて腑抜けたなんてことになったらもう二度と二人に顔向けできねぇ。親の無念も晴らさずに生きるなんて死んでも御免だ。
だから決別する。お前を倒せば、迷いを断ち切れる気がするんだ……!!」
「上等だ…………かかってこい!!」
オーブをベルトにセット。
そしてポーズを取り━━━━
「変、身ッッ!!!」
「変身っ……!!!」
爆ぜる炎を破って走り出す。同時に繰り出された拳が互いの顎を打ち抜き、戦いの火蓋は切られた。
小細工一切抜きの真っ向からの殴り合いは、およそ生物を殴打しているとは思えない打撃音を周囲に響かせる。一歩も引かない打撃の応酬から放った中段回し蹴りが互いの脇腹に炸裂し、後退りして睨み合う。
「すげぇ…………」
「お互い変身しているとはいえ、あの虚空蔵殿と互角とは…………!」
「見てるこっちが吹っ飛びそうな迫力ね……衝撃がこっちまでビリビリ来る……!」
ファントムの首を掴んで弧を描くように地面に叩き付け、衝撃で川が割れる。拳を振り下ろして追撃するが十字固めのように足で腕を挟まれ、肘をへし折られながら投げ飛ばされた。
すぐに腕を治して向かってきたファントムと取っ組み合い、さっきよりも苛烈に殴り合う。
戦車すら容易くへし折りそうなハイキックを受け止め、クラッシャーを展開して思い切り噛み付く。絶叫を上げるファントムに尚も食らい付くが、力任せに顔面を蹴り飛ばされた。
そして殴り合いながら互いのベルトに手を突っ込み、そこにあった〝もの〟を掴む。
「同じこと考えんなよ……!」
「お互い様だろ……!」
ベルトから引き抜いた相手の武器で切り結び火花を散らす。戦いながらお互い馴染んだ自分の武器に持ち換え、攻防はより激しくなる。
リヴォルトブレイカーが振りかざされた瞬間にタックルで体勢を崩し、間髪入れずに追撃するがファントムは直ぐに体勢を立て直すと俺の追撃をいなして足を打った。
膝を突き、体勢を大きく崩した俺に強烈な蹴りが飛んでくるがギリギリで躱し、お返しにブットブレイカーでの突きを胴体に捩じ込む。
「ッ……アァッッ!!」
ファントムがベルトのオーブを押し込んで放った必殺キックを食らい、美弥ちゃん達の下まで吹き飛ばされる。
「虚空蔵くん大丈夫!?」
「先輩っ!」
「クソったれが本気で蹴りやがって…………!」
駆け寄ってきたみんなを下がらせ、物理的に重い腰を持ち上げながら立ち上がり、ベルトのオーブを押し込む。
「フウ゛ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!!」
沸き立つ力の高まりと共に目が青く発光し、右拳にエネルギーを集約させて飛ぶ。
「スペクタァァァァパァァァァァァァンチ!!!」
渾身の必殺パンチが炸裂し、豪快にふっ飛んでいくファントム。
これで互いに必殺技を一回ずつ食らい、既に満身創痍。全身がよく分からないレベルで痛い。
「いったいな畜生……仮にも乙女だぞこっちは本気で殴りやがって……!!」
「お互い様だろうがボケ……!」
短いやり取りと少しの静寂。全く同じタイミングで俺達はオーブを押し込んだ。
みんなもその意味を理解したのだろう、息を呑むのが聞こえた。
「これで、最後だ…………!!」
「奇遇だな同意見だよ……!!」
限界まで高めたエネルギーは青と赤のオーラとなって迸り、目が激しく光る。
走り、飛ぶ。雄叫びと共に右足を突き出した。
「スペクタァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
キィィィィィィィィィィィィィィィッック!!!!」
「マタンサ・デル・ディアブロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
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スペクターとファントムの必殺キックが空中で激突、爆風と衝撃が辺りを薙ぎ払う。
「皆さん大丈夫ですか!!」
「…………!瞳、ちゃん……?」
「バリヤーかこれ……!?」
ファントムの妹……瞳さんの展開したバリヤーによって私達は守られていた。バリヤーの外は土煙で一寸先も見えず、どちらが勝ったのか分からない状態に皆さんは不安を隠せないでいる。
「あーもう煙邪魔っ!!先輩が勝ったか分かんないじゃん!!」
「虚空蔵殿が負けるとは思えないでござるが……」
ようやく邪魔な土煙が晴れた時、そこには変身が解除されてボロボロになっても尚殴り合っている二人の姿があった。
「恵里ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「虚空蔵ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
唖然とする私達を他所に虚空蔵さんと恵里さんはがむしゃらな殴り合いを続ける。血反吐を吐き、フラフラになりながらも戦う二人の迫力に誰も動けない。
「恵里てめぇスカしてんじゃねぇぞ…………未練だの決着だの好き勝手言いやがって…………一方的過ぎんだよボケェ!!」
虚空蔵さんが恵里さんを殴る。
「復讐の邪魔になるモンなんていらねぇんだよ……!!お前らと仲良しこよしするために来たんじゃない………今のウチには、復讐が全てだ!!」
恵里さんが虚空蔵さんを殴り返す。
「一方的なのは百も承知!!でもしょうがないだろ!あれからもう七年も経ってる!色々ありすぎたんだ!お前らの知ってるウチはもういない!
今更昔みたいな関係に戻れるわけないだろ!!
もうここに、ウチの居場所なんてない……!」
悲痛な顔でぶちまけながら虚空蔵さんを打ちのめす恵里さんだったが、最後の悲しみを堪えるような言葉を聞いた瞬間虚空蔵さんが動いた。
ほとんどノーガードで攻撃を受けていたにもかかわらず、どこにそんな力が残っていたのかと驚愕するほどの早さで恵里さんに組み付き押し倒す。
「居場所なら俺がなってやるよ……どんなお前だろうが全部受け入れてやる……!
何年経ってようが、お前がどう変わっていようが関係ねぇ。お前は俺の、俺達の友達だ」
「…………………ウチは…………」
「復讐も俺が手伝ってやる…………だから戻ってこい、恵里……!!」
そう言って虚空蔵さんは力尽きたように倒れる。
「虚空蔵くんっ!!」
「虚空蔵!!」
「お姉ちゃん!」
急いで駆け寄り、ボロボロになった虚空蔵さんを美弥さんと夢芽さんとで三人がかりで起こす。
「虚空蔵くん、無茶したね……」
「まぁ、ね」
「まず怪我だろ怪我!虚空蔵お前大丈夫だろうな!?死ぬんじゃねーぞ!!」
「治すから、大人しくしといてくださいね」
生み出した治癒回復エネルギーを結界のように展開して虚空蔵さんを包み、怪我を治していく。
恵里さんの持つ力が並のエヴォリオルより遥かに強いことや受けたダメージが今までとは比べ物にならないほど大きいことから治すのに苦労する。
もっともそれは恵里さんも同じで、瞳さんが回復エネルギーをインプットして手当てをしていた。と、恵里さんは完全回復を待たずに立ち上がりおもむろに歩き出す。
「お姉ちゃん!まだ治り切ってないよ!」
「帰りながら治せばいいっしょ……行くよ」
「……恵里っ!」
まだおぼつかない足取りで歩き出す恵里さんを夢芽さんが呼び止める。
「もうなんか色々ありすぎてワケわかんねーけどよ!
恵里も瞳ちゃんも、二人が生きててくれてオレ達マジで嬉しいんだ!戸惑ったし今でも飲み込み切れてないけど、それでもやっぱ嬉しかったんだよ!!」
「…………夢芽」
「なぁ、戻ってこれねーかなぁ!?
折角会えたのにこれでおしまいはないだろ……!!頼むよ!恵里っ!!」
虚空蔵さんと美弥さん曰く、恵里さんと特に仲が良かったのが夢芽さんだったらしい。
その夢芽さんからの叫びに恵里さんは複雑な顔で固まる。虚空蔵さんは横になったまま恵里さんを真っ直ぐ見つめて話し出す。
「恵里……俺もお前と同じだ」
「……何の話だ」
「お前がいなくなって少しした後、俺の親も事故で死んだ。もう二人はいないんだ」
恵里さんは目を大きく見開く。
「おじさんとおばさん、死んだのか……?」
虚空蔵さんは黙って頷く。
「だからお前の気持ちは分かるつもりだ。
もし二人の死因が事故じゃなくて悪意のあるものだったとしたら……自分でもどうなるか分からん」
「おじさんと、おばさんが……」
「全部ではないけど、お前の復讐心も分かる。だから俺に手伝わせろ。お前の復讐が終わるまで、お前が復讐から解放されるまで何度でも付き合ってやる……!」
虚空蔵さんの力強い言葉に恵里さんは俯き、無言のまま前を向く。
「………………考えさせて」
小さく一言だけ残し、瞳さんに支えられながら立ち去っていく。姿が見えなくなってもしばらくは誰も口を開くことが出来なかった。
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「恵里、大丈夫?」
「はい……とは言えませんね……すみません」
「いいのよ、悩みなさい。たくさん悩んで出した答えならそれが貴女にとっての正解よ。
復讐を成し遂げたいのも本音、友達とまた一緒になりたいのも本音。どちらか、あるいどちらもを取るか…………後悔だけはしないようにしなさい」
リーベリッヒ様に優しく包まれながら、どうするべきか、どうしたいのかを自問自答し続ける。
自分の心が思っていたより弱かったことに驚きながら虚空蔵達のことを考えるのだった。
閲覧ありがとうございました。
今回はクラッシャーフォームのスペックです。
《クラッシャーフォーム》
パンチ力:60ton
キック力:105ton
ジャンプ力:153m
走力:100mを1.8秒
必殺技
Santa Muerte:380ton




