第15話 『真相』
皆さんお久しぶりです、ライダー超信者です。
ギーツが惜しまれつつも終わり、ガッチャードが始まりましたね。なんというか、平成の雰囲気が漂ってますよねガッチャード。あれはなんなんでしょうか。
しかし何よりあの永徳さんが正真正銘初の主役アクター!!この朗報に家族で盛り上がってました。
蹴りのフォームが美しい!
9/26 誤表記を修正しました。
✕スピードも防御力も
○パワーも防御力も
どことも知れない異世界 時間:不明
「…………………………………………………………」
どこまでも広がる赤黒い空の下。朽ち果てたコンクリートの建物群を見下ろしながら最近のことを思い返していた。
(あいつ、なんでアタシと同じ力持ってんだよ………)
虚空蔵の奴、別人レベルでキャラ変わってて驚いたけどンなもん一瞬で吹っ飛んだわ。なんなんだよこんなクソみたいな偶然あり得んのか…………!!
(なんかあるとすりゃあの銀髪青目のヤツなのは間違いない……あいつエヴォリオルか?なら殺すか……いやその前にまず色々聞き出すか、紫のエヴォリオルについて何か知ってるかもしれんし)
「どうしたの恵里。最近そうやって悩んでいることが多いけど、何かあった?」
「! リーベリッヒ様……」
物思いに耽っていたウチは立ち上がって一礼する。
リーベリッヒ様は微笑むと、幼い子供を慈しむように優しく頬を、そして頭を撫でてくれる。
今まで虚空蔵達に会ったことは言ってなかったけど……このタイミングが話し時かもなぁ。
「………………リーベリッヒ様、ウチ、幼なじみに会ったんです。その、以前お話した……」
「七年前に生き別れたって言ってた子達?良かったじゃない」
「それが手放しじゃ喜べなくて…………その内の一人がウチと同じ力を持ってたんです、変身もしました」
「! そう……その子は、貴女が恵里だって分かっているの?」
「多分バレてます。ウチもちょっとボロ出しかけましたけど、瞳が余計なことして出張ったから」
「ならちゃんと会ってきたらいいのに。やっと会えた友達でしょう?」
「……………………………………………………今更、どの面下げて会えばいいんですかね…………」
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「はあぁぁぁっ!!」
遊覧船上、俺はこの前取り逃がしたオオカミウオのエヴォリオルと再び相対していた。
船上は血で一面真っ赤になっており、身体の一部、頭や喉を喰い千切られた死体があちこちに転がっている。
「ふんっ!!」
「ぐおぉ!?」
「主っ!!」
モカが滑り込むようにエヴォリオルの足を捉えて押し倒すのと同時に跳び、全体重を乗せたエルボードロップを喉に突き刺した。
喉が潰れて血を吐きながら這いずって逃げようとするエヴォリオルに蹴りと踏みつけで追撃し、蹴り上げると宙に浮かせ高速のラッシュを叩き込む。
エヴォリオルは道端に捨てられたひしゃげた空き缶のようにボコボコになり、フィッシュブローで殴り飛ばした。
「こんな……こんなこと、ありえるかっ……!!」
「モカ!」
「うん!!」
叩きのめされながらも立ち上がったエヴォリオルにトドメを刺すためオーブを押し込む。
モカが突撃してスライディングで滑り込み、懐に入った瞬間突き上げるようにキックを放つ。
「スペクターキィィィック!!」
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
打ち上げられたエヴォリオルに間髪入れずスペクターキックをぶちかまし、船上から叩き落とした。
頭から川に落ちたエヴォリオルは断末魔と共に爆散、大きな水柱が上がる。
「やったね主!」
「あぁ、おつかれ。船を陸に着けたらさっさと離れるぞ、そろそろ警察も来るだろ」
「分かった」
そうして船を引っ張って陸に着けると早々にその場を立ち去ったのだった。
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ーーーーー
「ただいまー」
「ただいまぁ、帰ったよ」
にぃにとモカが帰ってきた。怪我もなくて無事な二人……一人と一匹なのかな?の姿を見て優衣もお姉ちゃん達もホッとする。奈緒さんは満足そうな顔をしている。
「お帰りにぃに、モカ」
「よしよし、ちゃーんと無事に帰ってきたなぁ?」
「虚空蔵ちゃんもモカちゃんもお疲れ様、大丈夫だった?怪我はない?」
「ボクも主も大丈夫だよ、ねっ」
「あぁ、モカのサポートもあって結構楽だったよ」
にぃにはモカの頭を撫でる。気持ちよさそうにしているモカを羨ましく思っているとチャイムが鳴った。
「はーい……ん、美弥ちゃんママ」
「みんなやっほ~~はいこれ回覧板」
にぃには美弥ちゃん夢芽ちゃんママから回覧板を受け取る。
「ありがとうございます」
「いえいえ~、最近なにかと怖い事件が多いけどみんなは大丈夫?朝から晩まで未確認のニュースばっかりで嫌になっちゃうわねぇ……」
「ね~~参っちゃうよねぇ。お互い気をつけないとね」
「うん。あ、そういえば昨日のニュース見た?
第二号Bっていうのが出たって…………」
第二号B。この前優衣達も見た、にぃにが『ファントム』と呼んでいた人のことだ。にぃにが変身するスペクターに似ているからそんなお名前が付けられたんだって。
「見ましたよぉ、すごかったですね」
「優衣も、ビックリした……」
「あれは…………悪いものではない……んじゃないですかね。なんとなくですけど」
「そうねぇ、美弥ちゃんと夢芽ちゃんは『きっと悪い人じゃない』って言ってたけど…………」
多分悪い人じゃないことは直接ファントムさんを見た優衣達ならなんとなく分かる。けど、にぃにと奈緒さんから『スペクターとエヴォリオルに関することは関係者以外には他言無用』と言われているから話すことが出来ない。
「まー未確認と同じなら人助けたりしないで襲ってるだろうし、大丈夫なんじゃないかなー。ね、こっこ」
「なんで俺に振んの」
「ふふっ、そうだといいわねぇ。悪い人より良い人だって信じる方がずっといいもの」
「もし何かあっても俺が守りますよ。そのために鍛え上げてきたわけですから」
「まぁまぁ、頼もしくてカッコいいわぁ虚空蔵くん。いいこいいこ~」
「ウス……」
「カバディ、なんか増えてへん?」
「奈緒うるせぇ」
「それじゃあね~~」
「「「「またね~~」」」」
美弥ちゃん夢芽ちゃんママが帰ると、その場で直ぐに会議が始まった。犬の姿に戻っていたモカも人の姿になる。
「ねぇねぇ虚空蔵ちゃん、ファントムさんって良い人だよね?この前助けに来てくれたし」
「一昨日だったかも会ったんでしょ、どうだったのよ?」
「…………………………………………………………………………」
「にぃに……?」
「虚空蔵さん、なんかあったのは分かってるんでそろそろ話してくださいよ。そんなに言いづらいことなんですか?」
「……………………奈緒は分かんねぇだろうが……あいつの正体はお姉ちゃん達も知ってる奴だよ。
しかももうこの世にはいない筈の人間だ」
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「ぶえぇぇぇっっくしょおらぁ!!」
「びっくりしたぁ!?お姉ちゃん大丈夫?」
「んがー大丈夫。なーんか噂されてんなこれ」
「虚空蔵くん達かな?…………お姉ちゃん、虚空蔵くんと一緒にいた女の人って本当にエヴォリオルなの?」
「現状は『かもな』ってレベル。今のとこ虚空蔵に力を与えた可能性が一番高いのはあの銀髪だし、仮にエヴォリオルなら紫のエヴォリオルについて何か知ってるかもしれない。
詰めてみる価値は十分『アリ』よ」
「大丈夫かなぁ…………」
「ま、確かにこないだはちょっと油断して負けちゃったけどさ、今度は慢心0で行くから」
「そういう心配じゃないんだけどなぁ…………」
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「恵里ちゃんが………………」
「………………………………こんな形でまた名前を聞くことになるとはね…………」
「瞳ちゃん……生きてたんだ…………!」
ファントムの正体にお姉ちゃん達は驚愕、困惑する。俺だってまだ混乱してるし飲み込めたわけじゃないが少なくともこの目で瞳ちゃんを見たのは間違いない。
「虚空蔵さん達の幼馴染み…………数奇こともあるものですね………しかしどうやってスペクターと同じ力を手に入れたのか……大体、いなくなったってどういうことですか?私はまずそこからというか」
「…………………………………………」
話すのを躊躇っていた時、モカが急に明後日の方を向いた。
「モカ?」
「モカっちょどしたん?」
「この匂い……ファントム、来たかも」
モカを担いで外に飛び出るとバイクに飛び乗り、エンジン全開で走り出す。
「案内頼むぞ!!」
「任せて!」
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「あ、虚空蔵くんだ」
「ホントだ。モカ乗せてるってことは……」
「ファントムが出たみたいですよ」
「きゃっ!」
「うおぉぉ!?」
バイクに乗って走っていった虚空蔵くんを見送った瞬間、突然奈緒ちゃんが部屋に現れた。
確かに窓は開けてたけど……気配どころか物音もしなかったような…………?
「あ、すいませんすいません、ビックリさせちゃいましたね。ーーーファントム、出たみたいですよ」
「!」
「美弥姉ぇ行こう!」
「あーあーそんな急がないで大丈夫ですよ。私が送りますので」
そう言うと奈緒ちゃんは私と夢芽ちゃんを抱き寄せる。
「奈緒ちゃんえーっと……?」
「ちょっくらトびますので少々お待ちを。虚空蔵さんの持ってるオーブを追跡してるので、到着次第向こうにトびます」
「トぶってお前、それ要はテレポートとかワープだろ!?そんなことまで出来んのか!?」
「えぇまぁ。ビュッと言ってギュンですよ」
「すごーい」
「凄さが伝わる説明あったか?あぁもういいよ!とにかく頼むぞ、奈緒!!」
「了解!しっかり掴まっててくださいね!!」
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バイクを走らせて十五分ほど。そこにアイツはいた。
「! 虚空蔵お兄ちゃん!」
「お、来た来た……ってあの銀髪いないじゃん」
一般人は既に逃げた後のようであり、都合が良い。バイクをターンさせて停車させ、その勢いを利用してモカが一回転しながら飛び降りた。
「臭いの数は四つだね、ボク達以外はいないよ」
「分かった、ありがとな………………ファントム、てめえに聞きてぇことがある」
「奇遇だな、ウチもだよ」
睨み合ったまま、最重要かつ最優先で聞かなければいけないことを問いかけた。
「ーーーーーお前は、那智ヶ丘恵里……か?」
俺の問いにファントムは変身を解きーーー
「あぁ、そうだよ。アタシは間違いなく、アンタが知ってる那智ヶ丘恵里だ」
呆気ないほど、簡潔にそう答えた。
「……………………恵里……お前、今までどこで何してた…………生きてたんならそう言えよ!!!
俺達が、どれだけ心配したと思ってんだ…………!!」
「……色々あったんだよ。つーかそいつなに?あの銀髪はいないわけ?」
「お姉ちゃん!あの人、エヴォリオルだ……!」
瞳ちゃんがそう言った瞬間、恵里は鬼か悪魔かというような恐ろしい形相でモカを睨む。モカも危険を感じたようで反射的に身構えた。
「はい到着ー」
「あ!虚空蔵くんとモカちゃん!」
「すげぇ、マジで瞬間移動しちまった……」
「! 美弥ちゃん!夢芽!奈緒も何しに来た!!」
「何って、後を追ってワープしただけで…………」
奈緒は恵里の恐ろしい形相を見て色々と察したらしかった。俺に向き直ると一言だけ言った。
「これタイミングマズりましたね…………」
「タイミング悪ぃなオイ……!」
「ちょうどよかった……アンタには聞きたいことがあるんだーー付き合えよ」
『バルキリー!』
「モカ、三人を頼む。気は進まねぇが……力ずくで黙らせねぇと止まんねぇパターンだ」
『ソルジャー!』
「「変身」」
青と赤、二つの炎が爆発してせめぎ合う。互いに炎を纏ったまま突撃し、拳と拳が激突した衝撃で炎が消し飛んだ。
『I go my way!(do not regret)
PHANTOM PHA PHANTOM……!!』
『The Blue&Black Soldier
SPECTER is born!!』
炎の中から現れるスペクターとファントム。
逆の拳を俺は顔面、ファントムは脇腹へとほぼ同時に叩き込んだ。両者後ろに下がり、そこから数秒睨み合う。
先に動いたのは俺。腕を振り回すように大振りな打撃を繰り出し、躱させた隙をついて飛び掛かると頭上から叩き潰すように殴り付ける。振り落とされて蹴り飛ばされるが直ぐに体勢を立て直し、
「おらっ!!」
「はぁ!!」
同時に繰り出したヤクザ蹴りがお互いにクリーンヒットして吹っ飛んだ。
「………………!!ちぃっ……!!」
ファントムは起き上がると新たな白いオーブを取り出す。
『スマッシュ!』
「大変身っ……!」』
『Violense breaker!
CrusherFoam!!』
白い装甲を纏ったフォーム、〝クラッシャーフォーム〟へとチェンジしたファントムはベルトから武器を取り出し、鎌モードへと変形させる。
『リヴォルトブレイカー!』
『サイズ!』
「はぁぁぁ!!」
鎌型武器……リヴォルトブレイカーを振り回し、所構わずバラ撒かれる斬撃を躱しながらデストラクションオーブを取り出してベルトに装填する。
「超変身っ!!」
『Executioners of Immortal!
DistractionForm!!』
デストラクションフォームにチェンジしてベルトからブットブレイカーを引き抜き、デストラクションソードに変身させて振り下ろす。
「でっっ……かすぎんだよソレ……!!」
ファントムはDソードを防ぎながら悪態を吐く。鍔迫り合いによって火花を散らしながら俺は問いを投げかけた。
「奈緒を狙う理由はなんだ、モカに向けたあの尋常じゃねぇ殺意もそうだ…………何があった、恵里……!!」
「あの銀髪、エヴォリオルだろ。お前に力を与えたのはアイツか?」
「奈緒がエヴォリオルだぁ?あいつはむしろエヴォリオルの被害者だ、んなわけねぇだろ……!」
「この際アイツがエヴォリオルかどうかはどうでもいい、重要なのはアイツが紫のエヴォリオルを知ってるかどうかだ」
紫のエヴォリオル、確か前にテッポウウオの奴と戦った時にそんなこと言ってたな。そこから先は戦ってて聞いてる余裕なんざなかったが…………
「その紫の奴がどうした!」
「父さんと母さんの仇だ!七年前……私と瞳から全てを奪ったあいつを殺す!!
エヴォリオルは、全員ブッ殺してやる!!」
憎悪の言葉と共に力任せにDソードを押し退けるファントム。
「七年前のあの日、エヴォリオルに襲われたあたし達は全てを奪われたーー」
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ーーーーー
『すごい、お父さんお母さん夜景キレイだよ!』
『すごーい!』
『ここは昔からよく見えるからねぇ、ママともよく来てたよ』
あの日、あたし達は夜のドライブに出かけてた。
家族の楽しい思い出になる筈だったそれは、最悪な方向へと変わっていく。
『うわぁぁぁぁぁ!!!』
『きゃあぁぁぁぁぁ!!?』
突然目の前に現れた影が車を吹き飛ばした。横転した車の中から何とか這い出した時、その影の正体が分かった。
大きく裂けた口に鋭い耳、手足に刃物のような爪、黒い体には紫のラインが薄く光っている。
そいつは、まさに〝悪魔〟だった。
『お姉ちゃん怖ぃ…………』
『なんだよ、あれ…………』
『……この世界初の獲物としてはちとショボいな。
まぁいい』
『! 恵里!瞳!逃げろぉ!!』
父さんが叫ぶが当時十歳のあたしにまともに動けるわけもなかった。悪魔が直ぐそこまで迫ってきた時、父さんと母さんが悪魔に飛びかかる。
『二人とも逃げてぇっ!!』
『恵里!瞳!逃げろ、早く!!』
大怪我であちこちが血まみれになっている二人。
それでも尚動けなかったあたし達は、
『逃げろぉぉ!!!!』
父さんの叫びでようやく足が動くようになり、やっと逃げ出した。
『お姉ちゃん、パパとママは?』
『分かんない!分かんないけど逃げないと!』
『くだらんことで命を張ったな人間。あんなガキの二匹、直ぐ捕まえて殺してやる。お前達もな』
『させるか……あの子達に、手出しはさせない……!』
『くだらなくて結構よ……子供を持ってる親、舐めるんじゃないわよっ……!!』
『なら死ね、つまらん矜持に殉じるがいい』
『パパとママ、大丈夫かな…………』
『きっと大丈夫、直ぐにまた会えるよ』
瞳に、そして自分に言い聞かせながら逃げていた時。
遠くから二人の絶叫が響いた。
『お父さん……?』
『パパ!!ママ!!』
『瞳、逃げるよ!!』
瞳を手を取って走り出す。しかしいくら走っても悪魔との距離が縮まっている気がしなかった。向こうはゆっくりと歩いている筈なのに、すぐ後ろに張り付かれているような感覚が常にしている。
その異様な空気に堪えられなくなり、足がもつれて転ぶ。
『瞳!大丈夫!?』
『お姉ちゃ……!』
瞳が目を見開いたまま固まる。前を向くと、そこにはあの悪魔がいた。
『……………………!!』
『残念だったな、死ね』
悪魔の手が眼前まで伸び、鋭い爪に八つ裂きにされそうになった次の瞬間。
天から槍のような何かが降り注いだ。
『…………………………………………………………………………』
『なに、あれ…………』
『女神……様…………?』
夜空を見上げると、そこには月の光を背に宙に立つ一人の女性。
『…………………………ふん』
女性が降り立つと悪魔はつまらなそうに姿を消した。
何が何だか理解出来ないあたし達の下に女性にやって来る。
『大丈夫?怪我……は直ぐ治せるわね』
『お姉さん誰?女神様……?』
『あら、そう見えたの?ふふ、可愛い子』
くるぶしに触れるほどの長い黒髪、切れ長で涼やかだが優しさに満ちた金色の目、着ている黒いドレスは子供でも一目で超高価だと分かるほどの代物で、どこか喪服のようにも見える。だが何より、妖艶で美しい顔と雰囲気。
本当にこの世のものかと疑ってしまう、黒い女神がいた。
『…………!!そうだ、お父さんお母さん!!』
急いで来た道をがむしゃらに戻る。
二人の無事を信じて走る。走る。走る。そして五分ほど経った時、さっきの場所まで戻ってきた。
そこで見たのは、血溜まりの中で倒れて動かないお父さんとお母さんだった。
お父さんは胸を抉られたかのように切り裂かれ、お母さんは腹に空いた穴から内臓らしきものが見えていた。
『あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
絶叫。喉が裂けて血を吐いても尚叫び続ける。
今にして思い返せば、よく発狂するだけで壊れなかったものだと思う。廃人にならなかった……なれなかったのは、あたしには成すべきことがあるから。
あの化け物にありとあらゆる苦痛と絶望を与え、地獄すら生温い底の底に叩き落として殺す。そのためにあたしは生かされ、心も壊れなかった。それ以外に考えられなかった。
『お姉ちゃん、お姉ちゃん……?大、丈夫……?』
『目は開けちゃダメよ。まだ貴女には早いわ』
『…………殺してやる…………ぶっ殺してやる……!
あの化け物、絶対ぶっ殺してやるからなぁっ!!』
あたしは誓った、あの化け物を必ず見つけ出してこの手で地獄に送る。何年掛かろうが、どこまで堕ちようが関係ない。
それが、あたしがこれから生きる意味だ。
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ーーーーーーー
ーーーーー
「…………これが七年前に起きたことの顛末だ。
ウチらはその人に拾われて今まで別の世界で暮らしてた、この力はその人から貰った、この世界に戻ってきたのはマジの偶然、他に聞きたいことある?」
あまりに壮絶な真相に言葉が出なかった。
復讐心を糧にこの七年を生きてきた恵里の人生は、俺には想像がつかない。
「………………おじさん、おばさん…………二人は、連れていけたんだよな」
「あぁ、ウチらが今いる別世界で眠ってる。墓とは名前ばかりのモンだけどな」
「お前と瞳ちゃんを助けた女の人は、エヴォリオルか」
「…………あんなクソ以下と一緒にすんな。あの方は、魔皇石の力に適合した偉大な人間だ」
「瞳ちゃん、さっきモカがエヴォリオルだって見抜いてたな。あの子も俺達の同じ力を持ってるのか」
「流石にウチらとは違う。あの子は自分の意思で魔皇石を取り込んで力を得た。性格上戦いには向かないし戦わせる気もさらさらないけどな」
(…………直接的な表現は避けてるが、瞳ちゃんもエヴォリオルになってるのか…………)
「とにかく、お前と一緒にいたあの女は殺す。銀髪は捕まえる。エヴォリオルの肩ぁ持つならお前も潰す」
恵里は武器を向けながらそう告げた。それがハッタリや脅しでないのは一目瞭然だった。
「させねぇよ。モカは俺の家族で、奈緒は仲間だ。
誰だろうと手出しはさせねぇし、何より今のお前にんなことはさせられねぇだろ」
「ならお前を潰してあいつらを捕まえるだけだ」
会話はそこで終わった。
Dソードを構え、腰を落とす。
「「ーーーーーーーーーーーっっ!!」」
激突、火花が散る。衝撃が周囲を、空間をも震わせ、一瞬の沈黙から斬り合いが始まった。
息もつかせぬほど激しく斬り結び、力任せの一撃でファントムを吹き飛ばす。が、直ぐに体勢を立て直すとこちらの迎撃を躱して背後に回り込んできた。
繰り出された一撃を腕の装甲で防御し、撥ね除けると横薙ぎに斬撃を放つが上体反らしで避けられてしまい、装甲を薄く切るだけに終わった。
〝スピードや機動力は低いが鉄壁の防御力と高い攻撃力を以て重い一撃を叩き込む典型的パワータイプ〟のデストラクションフォームに対し、ファントムのクラッシャーフォームは純粋なパワーや防御力こそデストラクションフォームには及ばないが、その分〝スピードや機動力がある小回りの利きやすさ〟が利点のようだ。
言うなれば『一定の防御力が確保された装甲とスピードに身を任せて攻める突撃仕様』といったところだ。
(軽くだけど斬れたな、やっぱ見たまま装甲の硬さはそこまででもねぇって感じか。
パワーと防御はこっちが上だ、少なくともこの調子だと数回やそこらの攻撃でダメージらしいダメージを受けることはない。上手ぇこと誘い込んでカウンターを決めるのが理想か……)
力ずくで押し切ることは可能だろうが恵里も相当の手練れであることはとうに経験済み、おまけに一度俺に負けている反省からただただ真っ向から突っ込んできてぶった斬られるなんて醜態は晒さない筈だ。
それに、まだ何かを隠している可能性もある…………
というより、恵里は既にデストラクションフォームを見ているしパワータイプとしてはこっちの方が上であることは十分理解っているだろう。故に何かしらの隠し球や切り札があると考えるのが妥当だ。
「さて……どうするか」
「虚空蔵くん、恵里ちゃん…………なんで……」
「なんで二人が戦うんだよ……」
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「あっぶな、やっぱあのクソデカい剣厄介だな…………パワーと硬さも向こうの方が上だし」
さーてどうするか、あれだけ硬いと〝解放炸裂〟喰らわせるにも蓄積が足りないな…………スピードで撹乱しつつエネルギーを溜めて、喰らわせたところに必殺ブチ込むのがベターか。
ただ、虚空蔵もこっちに隠し球があるのは何となく察してはいるだろうな。パワーも防御力も自分が上で、とりま力ずくで押し切れるっぽいところを様子見して深追いしてこない辺り警戒してるのは間違いない。素人ならチャンスと思って突っ込んでくるとこだし。
(一見ただ荒っぽいだけに見えて戦闘センスや技術は本物、おまけに場数も相当踏んでる……この七年で何があったか知らんけど、人間として生きるには過剰戦力もいいとこだなこいつ)
まぁ、それはこっちも同じことか。
今のウチに勝てる人間はいない、格闘技世界チャンピオンだろうが歴戦の軍人だろうが武装した数百のチンピラだろうが全て等しく取るに足らない。
怪物を相手にする以上、人間相手に苦戦するようじゃそもそもやっていけない。
「………………ここでつまんねー足踏みしてるほど暇じゃないんだよ……!」
プランは固まった。後はその通りに動くだけ。
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「スペクター、それにファントムか…………忌々しいが、このデータはオーバーロードに利用出来そうだ」
閲覧ありがとうございました。今回は恵里ちゃんのプロフィールです。
ちなみに虚空蔵くんと恵里ちゃんの素の強さは刃牙の勇次郎を思い浮かべてもらえれば大体合ってます。
《那智ヶ丘恵里》
年齢:17歳
誕生日6月22日
身長166㎝
体重55㎏
血液型AB型
星座・蟹座
好きな食べ物:
辛い物、ラーメン(特に辛味噌ラーメン)、肉肉しい料理
嫌いな食べ物:
アボカド、パクチー
趣味
妹とツーリング、カッコいいことや名前を考える
好きな花
わかんない
座右の銘
復讐は当然の権利




