第10話 『射手』
お久しぶりですライダー超信者です。
皆さんは元気ですか?私は毎日暑くて死にそうですが元気です。仕事中に気が遠くなるような感覚に2、3回襲われましたが元気ったら元気です。
それはさておき皆さんのおかげで記念すべき第10話です。本当にありがとうございます、これからもよろしくお願いします。
2/17 少し編集しました。
12/4 自分的に拙いと思ったところを編集しました。
「スペ、クター……?」
「うん。それが、未確認異形生命体第二号の本当の名前なんだ」
スペクターのことが、家族にバレた。
状況が状況故に仕方なかったが、変身するところを見られていたため最早隠し通すことは出来ないと判断し正直に明かす。
「本当に、本当にこっこが?」
「にぃに…………?」
「あぁ、その…………大丈夫だよ、俺は間違いなく人間だしスペクターと未確認は取り敢えず別物だ。当然人も襲ってない」
「今まで未確認と戦っていたのも……」
「俺だよ」
「どうしてそんな危ないことを…………」
「…………今世間で未確認異形生命体と呼ばれている怪人の本当の名前はエヴォリオル。
人間をターゲットに、どれだけ多く殺せるかをゲーム感覚で競うイカれた怪物だ。そのエヴォリオルを唯一倒せるのが、俺が持つスペクターの力なんだ」
「エヴォリオル……」
「じゃ、じゃあ、やっぱりテレビでやってたみたいに人の攻撃は効かないの?」
「うん、魔皇石っていう石の力がない限りあいつらには何をしても全く効かないんだ。それこそ日本が消し飛ぼうが地球が無くなろうがね。だから俺が戦ってる」
三人は不安と困惑の入り交じった顔で黙ってしまう。
「なんで、どうやってそんな力を……?」
「…………それに関しては私からお話しします」
「! 奈緒」
実にタイミング良く現れた奈緒は俺の隣に腰を降ろす。
「話していいのか?」
「はい。私のせいで虚空蔵さん達の間に溝ができるようなことは避けなければいけません。もうスペクターへの変身も見られちゃいましたし致し方ないです。
菜月さん、杏さん、優衣さん、今まで隠していてすみませんでした。以前お話しした私の身の上話、あれは嘘なんです」
「う、嘘?」
「どうして…………」
「全部が全部嘘ではない……というより天涯孤独云々は本当ですけどね。帰る場所どころか帰る世界すらありませんから。
………………私は、この世界とは異なる次元、別世界の人間です。私の元いた世界は世間で未確認異形生命体と呼ばれる怪人達に滅ぼされ、既に滅亡しています。そして奴らはこの世界を次のターゲットにし、何の罪もない人達をゲームと称して襲っています。断じてそんな蛮行は許せません。
だから虚空蔵さんにスペクターの力を「ちょちょちょ待って待って!!何!?どういうこと!?」
奈緒の突然の告白を月姉が遮った。当然ながら完全にキャパオーバーになっていて頭を抱えている。
「虚空蔵ちゃん、奈緒ちゃんの言ってることって……」
「本当らしいよ。少なくとも、こいつにそんな嘘をついて得するようなことはないからね………………黙っててごめん。心配とか迷惑かけたくなくて……」
「……っ!心配するに決まってるでしょバカ!!そんな大事なことなんで黙ってたの!!」
「お姉ちゃん落ち着いて!ねっ?」
「…………ごめん。みんなのこと、巻き込みたくなかったんだ。俺の大切な、大好きな家族だから…………。
俺がやらなきゃいけないんだ。エヴォリオルを倒せるのはスペクターに変身できる俺だけ。俺が戦わなけりゃ今の比じゃない犠牲が出る。誰かがやらなきゃいけない、その誰かが俺なんだ」
今まで見たことがないほどの月姉の剣幕に内心ビビり上がるが、それでもその目を真っ直ぐに見てそう言い切る。
「にぃに……」
「虚空蔵ちゃん……」
「…………他にさ、このこと知ってる人はいるの?」
「美弥ちゃんと夢芽、楽人……後は最近友達になった楓さんって人は知ってる」
「なのに私家族は除け者にするんだ。それはちょっとヒドいんじゃない?」
「除け者とかそういうわけじゃ……」
「……こっこ、一つ勘違いしてるから言っとくね。スペクターでもなんでも、こっこがしてることを心配はしても迷惑だなんて思わないわけないじゃん。
むしろスゴいと思うよ、そんなヒーローみたいなことしちゃってさ。世のため人のために命懸けてるわけでしょ?そんな弟を迷惑に思う姉なんていると思う?」
俺はただただ圧倒される。月姉から目を離せず、
釘付けになりながら黙って話を聞く。
「問題なのは今までそれを隠したことで却って心配させたってことだよ。心配させないようにした結果余計心配させたら本末転倒じゃん。
そりゃ内容が内容だからどのみち心配はしたけどさ、それならちゃんと私達にも話してほしかったよ。
私達家族でしょ?変に気を遣って抱え込んでないで、ちゃんと私達も巻き込んでよ……それとも私達ってそんなに信頼ないの?ショックだなぁ……」
「そんなわけあるかっ!!」
「でしょ?ならこれからはちゃんと私達にも話して。何も知らないままなんて私は嫌だからね…………っていうかさ、私達に何かあっても、こっこが守ってくれるんでしょ?」
「!」
月姉は笑う。いつもと変わらない、どこか悪戯っぽい笑顔で。
「…………分かった、約束する。これからはコソコソしない。ちゃんと話す。それに、みんなは必ず俺が護る」
俺が告げると、その言葉に満足したように月姉は頷く。
「うん♪︎んー!わらわは満足じゃ~。あずーとゆいゆいは?この際言いたいこと言っちゃえ言っちゃえ」
「えぇっ?う~ん……虚空蔵ちゃん、強くて優しいのは虚空蔵ちゃんの良いところだけど、今回はそれが少し行きすぎちゃったのかなって思ったの。強くて優しいからこそ、今回抱え込めちゃったのかなぁって。
お姉ちゃんも言ってたけど抱え込む必要はないんだよ。虚空蔵ちゃんは一人じゃないんだから、何かあったら私達を頼って。ね?」
「うん、分かった。ありがとうお姉ちゃん」
「優衣は……えーっと、何だろう……にぃにすごいねぇ、えらいねぇ、これからは優衣達もいるから大丈夫だよ。えへへ」
「°゛”゛。゛°゛」
「こっこそれどうやって発音したの」
みんなからの温かい言葉に胸を打たれ、考えを改めると同時に覚悟を決め直す。
何があっても、俺の大切な人達は俺が護る。
「あの~~……私は……?」
「? いてもいいよぉ?ね、お姉ちゃん」
「…………正直まだ飲み込めてないし半信半疑だけど……だからといって追い出すのも忍びないし。ただし、うちのかわいい弟を巻き込んだ以上ちゃんとサポートはすること。いいね?」
「は、はいっ!!」
とりあえず奈緒のことも何とかなったな…………内心胸を撫で下ろす。
「……! モカ……」
と、モカが寄り添うように膝の上に乗ってくる。この状況を理解し、「自分もいる」と言っているのだろうか。
頭を撫でるとモカは俺を一瞥し、気持ち良さそうに膝上で寛ぐ。
「ありがとなモカ」
「モカちゃんも心配してるんだね」
「そりゃモカっちょも家族だからね、この子賢いし」
「…………みんな、本当にありがとう。これからはちゃんと巻き込むから、よろしく」
俺の言葉に三人は頷いてくれた。やっぱり、家族っていいな。
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申し訳ありません虚空蔵さん、私のせいで…………でも無事家族の皆さんと和解出来たようで良かった。家族……私にはもう存在しないものですから。
何より……家族の皆さんにこそこそ隠さなくてもよくなったのは大きいですね。
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「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃあのクソ共がぁぁぁ!エヴォリオルの俺にこんな傷を……!!」
「派手にやられたなおい?同じエヴォリオルとして恥ずかしいぞ」
「ほーんと、いっそあのまま死んでくればよかったのに。そっちの方が潔いわよ」
「うぅぅるせぇぇえぇっ!!スペクターもファントムも俺がブチ殺してやる!ぶっ殺してやるぞあのクソ人間共がぁ!!」
「ははは、やる気十分だねアルクス。傷が治ったらまた頑張っておいで」
「…………テオス様、俺も行ってきていいですか?」
「ブリッツ……!てめぇ邪魔する気か!?」
「いいだろぉ?〝同じ能力を持った〟仲じゃねぇか」
「行っておいで、私は構わないさ」
「……!邪魔したら殺すからな……!」
「はっ、分かってるよ」
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『えっ!?バレちゃったの!?』
『そ、それで大丈夫だったでござるか!?』
お姉ちゃん達にスペクターであることがバレたと、直ぐに美弥ちゃん達に話した。美弥ちゃん、夢芽、奈緒は直接俺の部屋に、楽人と楓さんはLINEのグループチャットで会話する。
「三人には受け入れてもらえたから大丈夫だ。現状問題はねーよ」
『そうでござるか……いやいや、良かったでござる』
『でも家族の方を理解者に出来たのは大きいと思うよ~格段に動きやすくなったんじゃない?』
「俺もそう思います。これで後ろめたさは無くなったかなと」
「つーか菜月ちゃんや杏ちゃんが虚空蔵を拒絶するって考えられないしなー。むしろ虚空蔵があの三人に拒絶されるって何やればいいんだ?」
「思いつかないね~」
美弥ちゃんと夢芽の言う通りだ。全てはお姉ちゃん達への信用や信頼が足りなかった、信じきれていなかった俺の落ち度。
だが今はもう違う。信じてもらった以上、俺も死んでも信じる。それは美弥ちゃん達にも変わらない。
『あ、そう言えばさー虚空蔵くん。なんか二つ用事があるって言ってたけど、もう一つって何?』
「はい。楽人でも楓さんでもいいんですけど、モデルガンとかエアガンって持ってますか?」
『?? モデルガン?』
『またどうして?』
「それに関しては私から。スペクターブラストフォームはその能力の特性上、射撃をメインに戦います。
しかし如何にスペクターとは言え、まだ無から武器を生み出すことは出来ません」
「いずれ出来るようになるって口振りだな」
「でもってですね、現段階では形状が近いものやそれっぽいものを変化させて調達する必要があるわけなんですよ。例えば木材を剣にするとかですね」
「「「「へぇ~~」」」」
奈緒の説明に電話の向こうの二人だけでなく、美弥ちゃんと夢芽も頷く。
「俺も美弥ちゃんも夢芽もミリタリー趣味はなくて、二人を頼れないかと思いまして……」
『なるほどね…………っていうかサラッと言ったけどスペクター新フォームになったの!?色は形は必殺技は!?ほっほーゾクゾクするねぇ!!』
「それは置いといて!どうにかなりませんか?」
『じゃあ小生のエアガンを使うでござるか?』
『えぇ~~楽人くんズールーいー!私もモデルガン持ってるもん!一条さんみたいに渡したい~~!!サポートしたい~~!!』
「どんなゴネ方ですかそれ……まぁ貸せる時に貸せる方が、でいいんじゃないですか。あと今からブラストフォームの練習に行くんですけど『行くっっっ』……了解です」
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所変わって俺達は城東学園の屋上にいた。
休日かつもう部活の練習もない時間帯であること、ここなら人目に着かず、下からはまず見えないこと等の理由からわざわざ楓さんが開放してくれたのだ。
「ここなら練習に丁度いいんじゃない?ささっ、変身しちゃってしちゃって!」
楓さんに促され、俺はスペクターに変身する。が。
「…………! やっぱり変身できねぇ……!」
やはり、ブラストフォームの変身以降スペクターへの変身が出来なくなっていた。ブラストオーブは使用不可能と言わんばかりにくすんだ色に変わっており、何度スイッチを押しても起動しない。
一体何が起きてるんだ?
「…………! あの、虚空蔵さん?」
「あぁ?」
「もしかして、ブラストフォームに変身して一分以上経過しましたか…………?」
「一分だぁ?多分過ぎてたがそれが何だよ」
「………………………………」
奈緒はまるで石像の如く固まる。〝やってしまった〟という顔で。
今度は何やらかしたんだよこいつ………………
「おい、聞いてっか?」
「………………ブラストフォームは、超感覚の形態だって説明しましたよね?」
「あぁ聞いた。それがどうした?」
「ブラストフォームは感覚が超鋭敏化している影響で精神への負担が大きくて、体力の消耗も著しいんです…………」
「おう」
「だから変身出来るのは〝一分まで〟で、それを超えると三時間変身が出来なくなるんですぅ……」
「へぇぇぇぇぇ………………?」
美弥ちゃん達がギョッとした顔でこちらを見るが、そんなもんは今はどうでもいい。
「奈ぁぁぁぁぁぁぁ緒ぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うぴょおぉぉぉぉぉぉ!!??」
とっ捕まえた奈緒の頭に拳を押し付け、万力のように締め付ける。ミシミシと鈍い音が奈緒の頭から聞こえてくる。
「おごごごごごごごぉ!!!???」
「てめえ大事なことはちゃんと最初に言えっつってんだろーがボケェ!!んなとんでもねぇデメリット伝えないバカどごにいんだこのぉっ!!」
「痛゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!潰れる!潰れるぅ!」
「虚空蔵ストップストップ!お前の力でそれはシャレになんねぇって!?」
「虚空蔵殿冷静に!屋上がジェノサイバーの病院のシーンみたいになるでござる!!」
「あのクッソグロいやつね!見たくはないわ!!」
「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃ!!素で忘れていたんですぅぅ!!」
「余計に悪いわごらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うぅ……イタいよぉ、イタいよぉ…………」
「よしよし。イタいのイタいの飛んでけー」
頭を押さえて倒れている奈緒を美弥ちゃんが慰める。とりあえず奈緒のバカは美弥ちゃんに任せることにした。
変身出来るまで三十分近くあるというのにこのバカタレは………
「じゃあ暇潰しにお喋りしよっか。虚空蔵くんってさ、好きなアギトライダーって誰?」
「また難しい質問ですね…………みんな魅力的ですけど、小さい時から好きなのはギルスですね。
次点でG4……アナザーアギトも捨てがたいなぁ」
「分かる分かる!ギルスの野性味溢れるワイルドなアクションいいよねぇ~~押川さんであれだけ荒々しい動きをする役も珍しいよね」
「押川さんってライダーだと銃使いのイメージですけど、ギルスとか戦隊での格闘戦もカッコいいんですよね。背ぇ高いしスタイルも良いですし。
芦原さんもカッコよくて、六話と二十八話はよく見返しますね」
「私は氷川さんも込みでG3かな。弱くても逃げずにアンノウンに向かっていく様とか、人間の意地とか、魅力的な所が多いよね~。特にヘルメットが装着されるシーンはたまらないよね……」
「装着シーンは散々真似したなぁ……俺はXよりノーマル派ですね」
楓さんとのお喋りはすっかり熱い語り合いになり、ライダーに限らずいろいろな作品について語り合う。
「楓さんってハカイダーの映画観たことありますか?」
「あるよー!なんならコンプリートDVD持ってるし、東映プレミアムシリーズのガレージキットもあるよー」
「レインボー造形のヤツですよね、うわぁ見たいな……スタチューだった頃のSICなら四人衆全員持ってるんですけどね」
「虚空蔵くんのお気に入りなシーンってどこ?」
「捕まってた人達を助けるところ、リョウとカオルが寄り添うところ、ミカエルとの一連のシーンとやり取り、最後にカオルの形見の鈴を鳴らして走り出すところですね」
「あぁ~一緒~~!!」
「最初に観たのが多分幼稚園の年長か小学校低学年の頃だったんですけど、よりにもよって父親が借りてきてくれたのがディレクターズカット版の方だったんですよね」
「キッッッツ。その年齢であの内容はなかなかハードじゃない?」
「えぇトラウマになりました、ロボトミーとかミカエルが部下殺すとことか。まぁそれでも観ちゃうぐらい好きな作品ですけどね。ハカイダー然りネオライダー然り怖くてビビりながら観ていたのも今となっては良い思い出ですよ」
「分かる、分かりみが深い」
そうしてしばらく話していると漸く三時間が経過し、試しにオーブを起動させる。
『ソルジャー!』
「よし、イケるな」
「楓さん楽人くん、下がって下がって!」
「了解!」
「ほいほーい」
「変身」
『The Blue&Black Soldier
SPECTER is born!!』
「おぉ……おぉ……!本当に変身した……!!」
「あぁ、そう言えば楓さんって変身するとこ初めて見ましたっけ」
「初めて初めて!うはははっいやースゴい……!!」
変身した俺を舐めるように全身隅々まで見てくる楓さんの視線に、無性に体がむず痒くなってくる。
楓さんってこんな人だったっけか…………?
「さぁさぁさぁ!例のブラストフォームとやらにフォームチェンジしちゃってよ!」
「は、はい。美弥ちゃん時間計るのよろしくね。
十秒前くらいになったら声かけて」
「うん!」
「虚空蔵さん、視覚と聴覚は音量や範囲を調整出来るのでそれをイメージしながら変身してみてください……そうすれば範囲を絞れます……」
「分かった……ほんとそれ最初に言っとけ」
『スナイパー!』
ベルトからオーブを取り外し、ブラストオーブを装填する。
『チェンジ!ブラスト!!』
『With Soul blow!
Blast Form!!』
緑のスペクター、ブラストフォームへと変身する。しかし奈緒の言う通り視覚や聴覚をだいぶ絞ったおかげでさっきのように膨大な情報が流れ込んでくることはなく、見えるものも聞こえるものも普段通りだ。
「そこから少しずつ範囲を拡げいきましょう。イメージ的にはラジカセのボリュームのつまみを回す感じですね。あと、一分経つ前に変身を解くか別フォームに変身するかすれば変身は続行出来るので」
「ん………………」
言われた通り少しずつ聴覚の範囲を拡げていく。
聞こえてくる情報が次第に増えてくるが音量、情報量を適宜調整する。視覚も同様だ。
「…………………………よし……よし……」
「虚空蔵くん、十秒前だよっ」
「! 分かった」
一旦変身を解除し、呼吸を整える。そしてもう一度変身し、引き続き感覚の調整訓練を行っていく。
「おぉ、飛んでる飛行機が間近に見える……波の音も聞こえるな…………」
「すごーい」
「ペ○サスフォームだね」
「楓さんそれ伏せ字意味ないです」
そうして二十回ほど訓練を繰り返した頃、流石に疲労が蓄積したのか変身解除と共に思わず膝を突いてしまい、慌ててみんなが駆け寄ってきた。
「虚空蔵くん!」
「おい大丈夫か!?」
「大丈夫……少し疲れただけだ」
「今日はここまでにしておきましょう。そろそろ精神への負担が限界です」
「何時エヴォリオルが出るか分かんねぇだろ、まだやれる」
「だからって無理はダメだよ、少し休もう?」
「美弥殿の言う通りでござるぞ虚空蔵殿!しっかりと休息を取るのも戦士の務めでござる!」
「それにほら、それだけヘトヘトだと仮にエヴォリオルが現れても上手く対処出来ないんじゃない?病は気からって言うし、まずは疲れ切った精神を回復させて万全の状態で迎え撃てるようにしないと」
楓さんの言葉は一理ある。
確かに精神的疲労が蓄積された今のコンディションでエヴォリオルと戦うことは賢い選択とは言えない。消耗の激しいブラストフォームになるなら尚更だ。俺は頷き、今日はこれで訓練を終了することにした。
「じゃあ帰るか…………はぁ、どっと疲れたな……」
「虚空蔵くんお疲れさま。マッサージしよっか?」
「お願いしようかな……」
「美少女からのマッサージ!?虚空蔵殿それは流石にギルティが過ぎるのでわぁっ!!?」
「うるっさ……」
「そーよそーよ!美弥ちゃん私にもお願い!全身揉みほぐしで!」
「楓先輩はなんかやましい念が見えるのは気のせいですかね?」
しょーもない話をしながら、俺達は騒々しく学校を後にしたのだった。
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翌日
「今日のニチアサも良かったな…………やっぱり特撮は最光だ……」
スーパーヒーロータイムを観終え、うんうんと頷く。
「すごいでしょ最高でしょ天才でしょってなぁまさにこのことだな。ライダーも戦隊もウルトラマンもあと百年続け」
「はいはい、愛を爆発させるのはいいけどお茶碗片付けなよー」
ニチアサを観ている間放置していた朝飯のどんぶりや箸を台所の水を張った桶にチャポンと入れる。ちょうど洗面所から洗濯の終わりを告げる機械音が聞こえたので、洗濯物をカゴに入れてベランダに向かう。
「Timeシャワーに射たれて~……時の雨にさらされて~……」
名曲を口ずさみながらベランダに出て、暖かな陽の光に目を細めながら洗濯物を干していると隣のベランダから美弥ちゃんが出てきた。お互い笑顔で手を振りあう。
「虚空蔵くんおはよう、よく眠れた?」
「ぼちぼちだね、昨日夜中に抜け出してまたブラストフォームの訓練してたから」
「それは偉いけど、また無理してない?大丈夫だった?」
「してないしてない。俺一人だったからね、下手すりゃ帰れなくなる可能性もあるのに無理はしないさ」
「そっか、よかった」
花のような笑顔にドキッとする。それを顔に出さないように振る舞いつつ、洗濯物を物干しに掛けていく。
「そ、そういえば夢芽は?」
「まだ寝てるよ。ふふっ、寝顔可愛いんだー」
「そりゃ美弥ちゃんが可愛いからねぇ」
「ほぇ?」
「あ゛!いや、その、美弥ちゃんと夢芽は双子だし!美弥ちゃんが可愛いんだから夢芽もそりゃ可愛いだろって話で!」
うん全く隠せてねぇよバカ。顔に出てなくても態度に丸出しじゃねーか。つーか言い訳になってねぇ。
「え、えへへ、褒められちゃった……」
「ん゛ん゛」
はにかむ美弥ちゃんの頬はほんのりと赤くなっており、その可愛さに思わず気持ち悪さが漏れ出る。そうして悶えていると、もう一人洗濯物カゴを持ってベランダに出てきた人物がいた。
〝美弥ちゃんママ〟こと美嘉さんだ。
「美弥ちゃん朝ごはんだよ~……ってあら虚空蔵くん!おはよ~~」
「美弥ちゃんママおはよう」
この呼び方は物心がついた時からの美嘉さんの呼び方であり、俺に限らずお姉ちゃん達や優衣もこう呼ぶことが多い。今でも身内と多賀城家の前ではこの呼び方で呼んでいて、美嘉さんとしても年季の入り方故か美弥ちゃんママの方がしっくり来るらしい。
そんなこともあって現在でも人前以外ではこの呼び方で通している。
「虚空蔵くん毎日偉いわ~~今日はいいお天気だから洗濯物もよく乾くわね~」
「ありがとうございます。でもあと二週間もすれば梅雨入りしちゃうんですよね……はぁ……また除湿機出さなきゃな…………」
「そうねぇ、ウチもそろそろ出さないと……」
「またお部屋の中洗濯物だらけになっちゃいそうだね」
二人と世間話をしながら洗濯物を干し終え、挨拶を交わして家の中に戻る。
この後はエヴォリオルのせいで破壊された車の窓を直しに行く予定だ。幸いか否か窓ガラスが割れただけであるため走行に問題はなく、このまま修理する場所まで行くことになっている。
「…………あのエヴォリオル、次出てきたら絶対ぇぶっ潰す」
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杜都町 某所 PM9:49
「………………」
「どしたん、そんなガン萎えして。お姉ちゃんに話してみ?」
「……お姉ちゃん、虚空蔵くん達に話さなくていいの?」
「あーそれかー…………正直ウチもびっくりしててさ、どーしたもんかと思ってるんだよね。心の整理がついてない的な?」
「でも、せっかくまた会えたんだよ?」
「そりゃあーね~。でも話したからって受け入れられるとも限んないし、ぶっちゃけ怖いんだよね」
「でもさっ…………」
「はいはいそんな顔しない。これから考えれば……!」
「お姉ちゃん?」
「乗りなっ、あいつら出やがった!!」
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杜都町 PM9:58
「窓全開だね~~」
月姉は運転しながら呑気に言う。ガラスのない窓から入ってくる風が心地よい…………ガラスが壊れてなければもっと心地よいのは言うまでもないだろうが。
「運転して大丈夫かなぁ?」
「完全に割れててかつ高速走らない限りは大丈夫じゃないっけ。まぁ状況が状況だし警察も見逃してくれるんじゃないかな。つーか余計な出費させやがって……」
お姉ちゃんと話していると突然スマホが鳴る。何事かと電話に出ると、相手は楓さんだった。
『虚空蔵くん!?私だけど!!』
「楓さん、どうしたんですか?」
『今警察の無線を傍受してたんだけど、またエヴォリオルが出たみたい!しかも二体!!』
「はぁっ!?てか傍受って……」
『似た姿の二体の未確認がいたって通報があったんだって!今向かえるっ?』
「了解、直ぐに向かいます!」
楓さんから場所を聞き、電話を切る。
「にぃにもしかして……」
「あぁ、エヴォリオルがまた出た。月姉、適当なところで降ろしてくれ」
「何言ってんの、近場まで乗っけてくから場所教えて!」
「駄目だ、危険すぎる。場所はここから近いわけじゃないけど念のため家に帰ってくれ」
「直ぐ逃げれば問題なしっ!!ちゃんとこの目でこっこが戦ってるところを見たいの!ちゃんと見て、こっこなら大丈夫だって信じ切りたいの!これがお別れになりました、なんて絶っっっ対嫌だからね!!ちゃんと巻き込むって約束したでしょ!!」
「でも……」
「虚空蔵ちゃん、私もお姉ちゃんと同じ気持ちだよ。もしかしたら、もうこれで虚空蔵ちゃんと会えなくなっちゃうんじゃないかって心配なの…………昨日ね、お姉ちゃんと話したんだ。お父さんとお母さんみたいに、今度は虚空蔵ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかって……」
「………………………………」
「にぃに、お願い……お邪魔にはならないから……」
「虚空蔵さん私が側にいます。菜月さん達のことはご心配なく」
「…………言ったな、なら責任持って死んでも守れ!いいな!」
車は目的地へと走り出す。間に合えよくそっ……!
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杜都町 名取川
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「ぎゃあっ!!」
「死ねっ死ねっ死ねっ死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「なんだよ、ケーサツ以外人間いない「があぁ!!」……じゃん。とりあえずこれで二十一人か」
「っ!いたっ!」
「皆さんはなるべく見ないでくださいね、警察の人達結構死んでるんで」
血液や臓物らしきもので真っ赤になった河川敷にはあちこち穴だらけになった警察官の遺体が転がり、昨日のエヴォリオル、そして楓さんからの情報通りよく似た姿のエヴォリオルがもう一体。
姿形はほぼ同じだが昨日の個体が銀色に対して新しい方は銅色の体色をしており、前腕には大型化した胸ビレのような生体装甲を持っていた。
「変身!!」
『Jump Over Rise!
Stream Form!!』
車から飛び出すとストリームフォームに変身し、高速移動で警察二人を助け出す。
「だ、第二号……!?」
「ひっ…………!」
「早く逃げろ!早くっっ!!」
ただ二人の生き残りだった警察官達は俺に吼えられて慌てて逃げ出していった。部外者がいなくなったところで通常フォームにフォームチェンジし、エヴォリオル達に向かっていく。
二体を同時に相手取り、片方をあしらいながらもう片方を攻撃。銀色個体をぶん殴って蹴り飛ばし、頭を鷲掴みにして頭突きと膝蹴りのコンボを見舞うと背後から襲いかかってきた銅色個体に投げつけて巻き込む。
ひっくり返った二体を力ずくで叩き起こして殴り倒し、銅色個体が繰り出してきた攻撃をバク宙で躱すと起き上がろうとしていた銀色個体の脳天にサマーソルトの要領で回転の勢いが乗ったつま先蹴りを炸裂させる。そのまま頭部を踏みつけて跳び、銅色個体にパンチを叩き込んだ。
複数対一の戦いは喧嘩でとうの昔に慣れており、同時にこられようと俺にとっては大した問題ではない。
逆にエヴォリオルは連携の〝れ〟の字もなく、ただ数が多いだけの連中との喧嘩は腐るほど経験している。故に、実力と経験の差で戦いは俺の有利に進む。
「がぁぁぁぁ人間風情がぁぁ!!」
「このスペクターちょっと強すぎねぇか……!?」
「知るかクソがぁ!!絶対ぶっ殺してやるっ!!」
「ならヒスってねぇで来いよ魚面。卸すぞ」
啖呵を切ってベルトからブットブレイカーを取り出し突撃。ヒステリックな叫びを上げながら向かってきた銀色個体を容赦なく叩き潰す。
激情に支配されてただただ我武者羅に突っ込んでくるだけの敵は実に対処がしやすく、殴られてぶっ倒れたエヴォリオルを滅多打ちにする。
「うわ絵面が悪役ぅ…………」
「! 虚空蔵ちゃん後ろ!」
「!」
お姉ちゃんの声で銅色個体が放った高圧水流を咄嗟にブットブレイカーで防ぐ。
「くそっ……!うがぁっ!?」
銅色個体から火花と血飛沫が飛んだ。見ると、武器を構えたファントムがこっちに走ってくる。
「スペクター!片っぽ寄越せ!」
「あぁ好きにしろ!!」
俺が返事をするのと同時にファントムは武器を変形させて銅色個体を殴り飛ばし、橋脚に叩き付けた。
「くそっ、くそっくそっくそぉぉぉぉ!!人間なんぞがぁぁ……!!」
「おら余所見してんじゃねぇぞボケが!!」
悔しさの余り完全に隙だらけだった銀色個体をかち上げるようにブットブレイカーでぶっ飛ばし、ファントムと距離を取った。
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「さーてと。あんたさ、紫のエヴォリオルって知ってる?」
ウチの問いにエヴォリオルは怪訝そうにする。
「紫の……?いや、知らねーな。知ってどうする」
「復讐だ。七年前、〝ウチの両親を殺したエヴォリオル〟を探してる。何か知ってるなら隠さないで吐け」
「知らねぇし教える義理もない。生憎薄情な人間と違って、俺達はほいほいと喋ったりしないんだよ」
「……あっそ。ならもう用ないしとりま死んどけ」
『シューター!』
それだけ吐き捨て、起動させたオーブを腰のベルト『ファントムライザー』に装填する。
「大変身」
『The stern!Intense bullet!
Shootingform!!』
濃いマゼンタカラーの姿へと変わり、持っていた武器『リヴォルトブレイカー』を変形させる。
『ショットガン!』
「あいつもフォームチェンジ出来るのか……!」
「ほらいくぞー」
驚くスペクターを横目にリヴォルトブレイカー・ガンモードを構え、ぶっぱなす。
放たれた弾丸は広範囲に拡散し、エヴォリオルをぶち抜いた。絶叫と共にふっ飛ぶエヴォリオルから銃口を逸らさずにトリガーを引く。
絶え間なく、容赦せず、一方的に攻撃する。
「ちっ、シャアッッ!!」
エヴォリオルの水鉄砲を躱してお返しに連射、連射、連射。弾丸は全弾命中し、エヴォリオルは力尽きたように膝から崩れ落ちた。
歩み寄りながらファントムライザーから外したオーブをリヴォルトブレイカーに装填し、必殺待機状態に移行する。
『Set&Charge Ready For delete!』
「bala.decepción(絶望へ誘う弾丸)」
かっこよく技名を発し、トリガーを引く。
銃口から大量の弾丸が発射され地獄から伸びる亡者の手の如くエヴォリオルへ襲いかかる。弾丸はエヴォリオルを飲み込むように包み込み、
「ぎ、ぐ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
一瞬大きく膨張した後、エヴォリオル諸共爆ぜた。
「こいつもハズレか…………ま、後はスペクターのお手並み拝見かな」
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爆発音に振り向くとファントムがエヴォリオルを始末したところだった。しかしまさかファントムもフォームチェンジ出来るとは…………いや、俺しか出来ないという考えがそもそも間違ってるな。ファントムがスペクターと同じ存在なら出来るのがむしろ当たり前なんだ。
「ちぃっ!あの口先だけが……!!」
「! 待てっ!!」
隙を突いて川に飛び込むエヴォリオル。既に姿は見えず、気配も遠ざかっていく。
「虚空蔵さん、あいつ逃げるつもりです!逃がさないでください!!」
「分かってる!!ブラストフォームの出番だな!」
ブラストオーブを起動させようと思ったその時。
「虚空蔵くぅぅぅぅん!」
「虚空蔵殿ぉぉぉぉぉ!!」
「楓さん!?楽人!?」
「オレ達もいるぜー!」
「みんな早いよー!」
「夢芽に美弥ちゃんまで!?」
なんとみんながこっちに向かって全力疾走してきたのだ。驚いているのもつかの間、楓さんが手に持っていた銃を渡してくる。
「これって……」
「私のモデルガンコレクションの一つ!CAWコルトM1911A1だよ!楽人くんとじゃんけんして勝ったの!これでガツンとやっちゃって!」
「ありがとうございます。お借りします」
「負けたとは言え、やっぱり小生が渡したかったでござるなぁ…………不甲斐ない……」
「何言ってんだ、楽人のはここ一番って時に借りんだよ。さぁ、やるか」
「虚空蔵ちゃん頑張って!」
「にぃに……!」
「キバっていきなよー!」
みんなに見守られながらオーブを起動し、ベルトに装填する。
『スナイパー!』
『チェンジ!ブラスト!!』
「………………超変身」
青から緑に、姿が変わる。
『With Soul blow!
Blast Form!!』
緑のスペクター、ブラストフォームへと変身。そして受け取ったモデルガンも連動して変身する。
ストックを装着したクロスボウを思わせるその武器に、俺は命名する。
「〝ブラストボウガン〟、だな……!」
『ブラストボウガン!!』
「どゅっっはぁぁぁカッコいい~~!!」
「虚空蔵くん、頑張ってっ!」
「応っ!!」
ガッシャン、とレバーを引いて弓部分を絞るとエネルギーが集約され、一本の矢が生成、装填される。そしてベルトから取り外したブラストオーブをボウガン上部のスロットにセットした。
『Set&Charge Ready For Penetrate!』
「…………………………………………………………」
深呼吸を一つしてブラストボウガンを構える。周囲の一切の音が消え、感覚が研ぎ澄まされていく。
「……………………!」
捉えたのは、水中からの音。
超視覚で川の中を見通すと、水中深くを泳いで逃げようとしているヤツの姿がはっきりと見えた。
しっかりと狙いを付けて引き金を引き、必殺の矢を放つ。
『SPECTER! OVER BLAST!!』
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(ちぃっ、まさかこんな…………!……だがまぁいい、狩りはこの場は逃げて別の場所ですればいいんだ。スペクターやファントムを殺すのはスコアを稼いでからでも遅くはないっ!!所詮は人間、俺の敵ではないんだ……!!)
「必ず殺してやるからな……スペエ゛ッッ」
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爆発音と共に川に巨大な水柱が立つ。周囲に雨の如く水が降り注ぎ、綺麗な虹がかかった。
「…………スペクター、ゲイルストライク」
放たれた矢はエヴォリオルを貫き、両断。俺の目はその瞬間を鮮明に捉えていた。
今回も何とか一件落着だ。
「虚空蔵くん!」
「お疲れ!キマってたぜ!」
「うわぁぁぁぁぁぁスッゴい!!私のモデルガンがこんなイカした…………!」
「楓さん、堪能してるところ悪いんですけど変身解いていいですか?」
「あぁー!待って待って!最後にこれ持たせて!」
ブラストボウガンを渡すと楓さんは新しい玩具を買ってもらった子供のように大はしゃぎしながら構えたり眺めたりしている。おもしれー人だなほんと…………まぁ気持ちは分かるが。
「虚空蔵さんそろそろ……」
「もう一分か、分かった」
ブラストボウガンに装填しっぱなしだったオーブを外すと変身が解除され元の俺に戻った。ボウガンも元のモデルガンに戻り、楓さんは(´・ω・)のような顔でモデルガンを見つめているが気にしないことにする。
ふと、ファントムがこの場を立ち去ろうとするのを見て咄嗟に呼び止める。
「ファントム!!」
「………………………………どしたんデカい声出して」
「ここ最近、アンタに助けられてばっかりだった。だから改めて礼を言いたかったんだ……ありがとう」
「いや真面目か。めっちゃ律儀ムーブかますじゃん」
「悪かったな顔に似合わんで。そっちこそ直ぐいなくなっから言いたくても言えなかったんだよ」
「ま、あんたって〝昔から〟そうだったよね。まさかこんな不良染みたオラオラ系になってるとは思わなかったけど」
「…………はぁ?」
「あ、ヤバ」
昔から…………?俺がファントムと会ってからまだ一ヶ月も経ってないぞ。何を古い知り合いのように…………
「ごめん用事思い出したじゃねばいばいご機嫌よう」
ファントムは動揺を隠しきれない様子で急いで撤退してまう。呼び止める間も発言の真意を聞く暇もなくあっという間にファントムは姿を消してしまった。
「なんだったんだ…………」
「にぃ……お兄ちゃん、あの人お知り合い?」
「一応は、かな。ただアイツと初めて会ってからまだ一ヶ月も経ってない、昔からってどういうことだ……?」
「虚空蔵ちゃんの昔の知り合いの子、とか?」
「まさか……仮にそうだとしても全然絞れないよ」
「まさにダリナンダアンタイッタイ、ね…………」
「締まんねぇなぁ……」
新たなファントムの謎を胸に、俺達は河川敷を後にしたのだった。
「あれ?この石なんだろう…………綺麗だなぁ」
「優衣ーどうしたー?早くおいでー」
「! はーいっ」
第10話閲覧ありがとうございました。
今回はブラストフォームとシューティングフォームのスペックです。
《ブラストフォーム》
パンチ力:30ton
キック力:54ton
ジャンプ力:一跳びで140m
走力:100mを3秒
必殺技
スペクターゲイルストライク:235ton
《シューティングフォーム》
パンチ力:28ton
キック力:60ton
ジャンプ力:一跳びで138m
走力:100mを4秒
必殺技
bala.decepción:252ton




