宝物
読んで頂けると嬉しいです。
凉とは、お母さん同士が友達で、家も近くて、同級生。
だから、赤ちゃんの時からずっと、友達だ。
でもさ、凉は病気なんだ。
入院して、少し学校に来たかと思ったら、すぐに入院する。繰り返しだ。
その日は、いつもより長い入院の後でさ、退院のお祝いって言って、凉のお母さん、おまけシール付きのお菓子をいっぱい買ってくれたんだって。
そのおまけシールは、僕達の中でめちゃくちゃ流行ってて、皆、珍しいやつが欲しくて、争って買うんだ。
僕もお小遣いで何個も買ったけど、ありきたりなシールばかりしか出ていない。
そのいっぱいのお菓子を、一緒に開けようって言われて、凉の部屋までやって来た。
2人で夢中で開けてたら、なんと出たんだ。
いっちばん、いいやつ。
キラキラのラメも入っててすごくカッコいい。
「いーなぁ! いーなぁ!」
僕はものすごく、羨ましくて、何度も何度も言った。
「へへ。やった。」
凉は嬉しそうにして、すぐに机の中に入れてしまった。
「もっと見せてよ。」
「今度なー。」
凉はもったいぶって見せてくれなかった。
ちぇっ。ケチだな。
そして、何日かして、やっぱり凉はまた入院した。
僕は、お母さんに聞いた。
凉は、手術をしないといけないんだって。
その頃、クラスでタイムカプセルを埋めようって話があったんだ。
先生は、クラス全員で埋めたいからって、凉の体調のいい日に実施した。
入れるものは皆それぞれで、僕は、大人の僕への手紙にした。
その後、凉の手術の日程が決まった。
「待ってるから、ちゃんと帰ってこいよ。」
「、、、うん。」
手術が成功するかどうか、分からないって、お母さんが言っていた。
凉も、ちゃんと知ってるんだ。
「凉さぁ、前、すっげぇシール当たっただろ?
だからさ、絶対大丈夫だと思う。
ほら、あのシールさ、ずっと握ってたら絶対大丈夫だ。」
何がどう大丈夫なのか。
自分でも、変なこと言ってるって分かってた。
けど、何か理由を付けてでも、大丈夫だと思いたかった。
「うん、ありがとう。
でも、あれ、なくしちゃってさ、探してもないんだ。」
少し困った様に笑って、
「でも、一回当たったんだから、大丈夫だと思う。ありがとう。」
それから、僕らは大人になり、あの時のタイムカプセルを開けるため、皆で集まっていた。
久しぶりに会う、懐かしい顔の中に、凉を見つけた。
近づくと凉もこっちに気付き、少し、照れたように言った
「久しぶり。
俺さ、子供の時さ、もう、駄目なんだと思ってて、、、だから、手紙読んでも、笑うなよ?」
タイムカプセルの中に、その手紙は、あの時のシールと一緒に封筒に入っていた。
20年後のしょうごへ
いつも遊んでくれてありがとう。
僕の宝物をあげる。
凉
読んで下さってありがとうございます。