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53.招待

 いつしか広がる夕闇の中をレイドは歩いていた。ここ数日の間、夕方から明け方にかけて場所を移っている。理由は悪魔狩り。悪魔は夜を好む。それだけだ。


 しかし、妙なことが起こっている。悪魔の現れる場所がどうも、北に集中しているように思えるのだ。おそらくそこに本拠地なるものがあるのだろう。全く、もう少し散らばるということを考えないのだろうか? 


 などと考えながら、森の中で北に足を進めている。森は虫の音、風でざわつく葉の音ぐらいしかしない。至って平和な森である。しかし、森の深い場所では光がほとんど届かない。


 ここでいつも首にかけている十字架のネックレスを手に取った。軽く掲げる。それだけで、十字架のネックレスは自ら光を放つ。これぐらいの魔法なら呪文はいらない。


 十字架で、森を照らしながら、歩み続けることは危険だ。悪魔に見つかるからだ。しかし狩りは、えさを使った方が便利だ。


 こうして何時間も歩いていると、さっそく気配がした。後ろの方にいる。この感覚は慣れでしか分からない。空気が冷えるような、重くなるような感覚。だがそれは悪魔によってまちまちなので、普通の人間には分からないだろう。


 (今日で三十人目か)

 後ろに向いて話しかける。

 「そこにいるのは分かってる。出てこい」


 十数本先の木のところに一人いると分かった。だいたいこれで、悪魔は焦って飛びかかってくる。しかし今日の相手はそうではなかった。じっと黙ったまま返答もない。

 (隠し通せるとでも思ってるのか?)


 意地でも出てこないつもりらしい。俺は冷笑した。

 「お前らは正々堂々と勝負できないんだったな」


 出てこないなら引きずり出すまでだ。一歩ずつ近づく。いつでも戦えるように十字架のネックレスをはずす。しかし歩みを止めた。首に針のように鋭い感触が触れた。


 後ろから黒い爪が抱え込み交差する形で首にかけられていた。その悪魔の白く長い髪が俺の肩に垂れ下がっている。


 「お前悪魔祓い師だよな。へー。まだ子供なのに」


 それは人のことを言えないだろう。この悪魔もまだ少年ではないか。しかも、いつあの場所から移動したのか気づけなかった。それに背後を悪魔に取られたことなど今までない。


 少年は舌を出して笑っているので少々頭にきれ言い返した。


 「お前もガキだろ」

 すると少年悪魔はおかしくてたまらない様子で、声を出して笑う。

 「ガキねぇ。確かにそうだ。みんなガキなんだなぁ。最近めざわりな悪魔祓い師も」

 「一体何のようだ?」


 すぐに殺さない悪魔ほど、ややこしいものはないのだ。こいつはそれでいて新手だ。

 「みんなでパーティーをやるんだけど、お前も一緒にどうだ?」


 「悪魔のパーティーなんてろくなことがない。死んでもごめんだ」と即答する。

 「コステットを探してるんだろ?」


 これには戸惑った。確かに探している。しかし元をたどれば、悪魔が探していたからであって。

 「どういうことだ? お前も探しているのか?」

 少年の口が裂けんばかりにつりあがった。


 「パーティーに来ると思うぜ」

 全く状況が分からないが、その言葉に引きつけられた。しかしどこからか、白いコウモリが目の前を通り過ぎると同時に、少年が風のように消えた。


 「会場は北の塔。一人で来れるんなら来い」

 そうやって笑い声だけが残った。


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