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41.ゴーストタウン

 もう二週間も眠れなかった。悪い意味で新記録だ。不思議と眠くない。しかもまだ寝なくても大丈夫そうだ。こうなってくると、悪魔が探していることや、透明人間に何を飲まされたとかっていう問題が、恐ろしいのが原因ではない気がする。


 日に日に、人間からかけ離れていくのかもしれない。死なない。痛くない。眠くない。次は何だ? 透明人間の言葉も気になる。悪魔だけのゲーム。優勝すれば魔王の地位。ルールは、コステット、つまり、僕を殺すこと。


 やはりグッデには何も言えない。でも、言わないでよかったと思う時がある。二人ではしゃぎ回ると楽しい。それを一人の悩みごとでつぶすのはもったいないと思う。


 グッデにいつも心配かけるのは悪い。遊ぶ時は遊んだ。その方が自分も吹っ切れる。だからときどき思う。こんな楽しい日が永遠に続くといいのにと。


 青いレンガの外壁で囲まれた町。夜の闇に溶け込む神秘的な深みを持っている。町に灯りは一つも見えない。月光が灰色の家々を浮かび上がらせているだけで、風の音しかしない。


 町の入り口に着いた。水色のアーチがかかっている。ペンキだと思うが、ようこそと赤い字が滲んでいた。


 「変な町だな」

 町全体は青い道と灰色の建物で陰うつだ。人が一人も見当たらない。

 「誰もいないみたいだ」


 この町はよくない感じがする。戦争の跡があるわけではないが、何の傷跡も残さず、人が姿をくらますとは思えない。しかし、野宿はあまりしたくないので、誰もいない民家にお邪魔した。鍵はかかっていない。その代わり水も、食料もない。あるのはクモの巣のかかった家具とランプぐらいだ。何もないよりはいいかと思ってランプは使わせてもらった。


 「ここ気味悪いね」

 「たぶん、出ていったんじゃねぇのか?」

 「町の人みんな? そんなことってあるの?」

 何かありそうだが、考えても分からない。

 「もう寝る?」


 何もないと思うためにそう言った。もちろん自分は眠れない。

 「だな」


 幸いベッドは二つある。大量のほこりが困るが、横になれないことはない。布団に入っておやすみを言った。それからすぐに、グッデはいびきをかくほどぐっすり寝た。やはり眠れないのは僕だけだ。壁に掛かった十時を示す時計を見ながら、いつになったら眠れるかとぼんやり考えていた。


 魔法の赤い薬はもうやめた。グッデは毎日飲んでいたので、もうすぐ薬がなくなることを心配している。グッデにあげようか? 自分には合わないのかもしれない。


 薬のことを思い返してみると、変に口が渇いてくる。無償に母親が恋しいというように、手足がのたうち回る。とてつもない衝動が胸を喚起する。何でもいいから、赤い物が見たい。真っ赤できれいな物。僕の中で、ほんわりとした温もりが舞い上がる。


 ふらふらとベッドから抜け出すと、体が赤い物はないかと部屋の中を探し始める。見あたらないので、夢のような気分で赤い物を連想する。


 すると喉が狂おしく鳴いた。あるじゃないか魔法の薬が。引っ張り出したかばんに手を入れて、矛盾に気づいた。飲みたくないのに、なぜ手に取った? 何を探していた? 赤い物って?

 その先を考えたくないので、急いで薬をポケットに入れた。


 なぜポケット? ポケットでは、また変な考えが起こる。焦ってポケットから薬をどこかにやってしまおうとしたら、大きな音がして飛び上がった。生き物が羽ばたく音。コウモリだ。家の中にコウモリがいる。

 「何! 何?」グッデが騒ぎに目を覚ます。


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