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26.マジックショー

 「何者なんだろう悪魔祓い師って」

 おそらく彼は魔法使いだ。僕の本能が持つ好奇心がそう伝えている。

 「直接聞こうぜ」


 グッデが怒り肩で人混みに入っていく。僕も後をついていった。

 「悪魔っているのか? 昨日の光は何なんだ?」

 少年の口は堅い。


 「何だね君は?」

 町長が怪訝そうな顔をする。

 「おれの質問じゃ答えられないのか?」


 少年はあきれ顔で去っていく。グッデが殴ろうするので慌てて止めた。すぐ手が出るのはグッデの悪いくせだ。

 「誰かに似てる」


 グッデは分からないようだ。僕も誰に似ているか分からないが、一度ちゃんと話をしてみたい。小走りで少年を追いかけたが、少年は見当たらない。ついに町を出てしまい、草原が広がる。遠く彼方に、黒い点が見える。あれか。僕達は駆け出した。


 「ちょっと待って」

 少年が振り返る。僕らの顔を見るなりため息だ。

 「何だお前らか」


 「おまえらかって何だよ! おまえが全然話を聞かないから追いかけて来たんだぞ!」

 少年の愛想のない態度は変わらない。

 「ついてくるな」


 再び歩き出す少年。

 「聞きたいことがあるんだ」

 続いてグッデが早口に続ける。


 「昨日のあれ、魔法だろ? どうやってバレを助けた。あの町の夜に伸びる木はどうして収まった? 悪魔祓いって何だ?」

 怪訝そうに顔をしかめる少年には不愉快な質問らしい。

 「頼みがあるんだけど」


 僕が彼に頼み事をしようとしたことで、グッデがあり得ないような目つきで僕を見ている。

 「僕の手品見てくれる?」

 「興味ない」

 「死なない人間。知ってる?」


 少年の黒髪が振り向くと同時に揺れる。不安を覚えながらもグッデと目くばせし、笑みをこぼしてしまう。危険な行為だと承知しながら僕達は芸当を披露する旅芸人になりきる。

 「これからお見せしますのは、バレ・シューベルトによる奇妙な流血マジックショー」


 グッデが本気で調子に乗り出したので、苦笑いしてしまう。少年が眉を吊り上げて、グッデを睨む。

 「名前は聞いてない。早く始めろ」


 少年とグッデは馬が合わないようだ。グッデが僕に、一発見せてやれと言いそうになって口をつぐんだ。決して人に自慢できるようなことではないと後で気づいたようだ。グッデがすまなさそうに僕を見つめている。やめようと耳打ちされそうだ。


 言われる前に僕は目をつぶった。僕自身が知りたいことだ。手首に軽くナイフを押し当てる。いたたまれなくなった、グッデが目を反らしている。一方の少年の見開いた目は、鬼のような形相だ。


 「お前は何者だ?」

 「人間に決まってるだろ馬鹿」

 少年を一発怒鳴ったグッデ。これでグッデの一勝。いや、負けたのは少年ではない。僕は何も言い出せなくなる。自分が何者であるか分からないことほど、辛いことはない。


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