登場人物・用語 ※ネタバレなし
こちらは登場人物と用語の紹介です。誰だったかな? なんだったかな? と思いましたら、ご参考にされてください。
登場人物紹介は前編・中編・後編でだいたい名前が出てくる順に並べています。ネタバレは含んでおりません。一部裏設定も乗っていますが、ネタバレではありません。
用語の説明には本編に含まれない裏設定などがあります。
——登場人物——
▼前編:1章〜
◯メリヤナ・グレスヴィー
ドール公の嫡子。ゆるやかな長い金髪に空色の瞳。11月生まれ。
かつて、ルデルのことが好きすぎてつきまとい、嫌悪された結果、婚約破棄された。
◯ルデルアン
フリーダ王国の王太子。金髪碧眼。9月生まれ。
メリヤナと同い年で、生まれた頃から婚約関係にあったが、かつてメリヤナに婚約破棄を言い渡した。
◯フィルク・ローマン
レッセル辺境侯の養子。白金色の髪に青紫の瞳。12月生まれ。
エストヴァン出身だが、8歳の時に社会勉強の体裁を取って母親の実家の親戚筋を辿り、養子に出される。
◯カナン
メリヤナの私室女中。真面目で言葉数が少ない。
かつてはどこかに嫁いでいなくなっていた。
◯スリヤナ夫人
ドール公位家の女主人。メリヤナの母。夫のドール公ファッセルが大好き。
かつては、メリヤナの売国罪を聞いて夫ともに自害した。
◯ドール公ファッセル。
入婿として位家を継いだ。スリヤナと相思相愛。
◯サレーネ・リデュル
一等位貴族の庶子の娘。黒髪の蒼い目。
一度目の生では、ルデルに近づき、メリヤナの婚約破棄に影響を及ぼす。
◯台所女中オリガ
頭の回転が早い。気立てがよくはきはきと喋る。カナンの仲良し。
◯洗濯女中リリア
ドール家の洗濯女中。おしゃべり。カナンの仲良し。
◯アズム親方
王都の朴訥な石鹸職人。
◯馬丁見習いサンデル
馬好きな青年。ドールの領地で馬の世話をしていた。のちに馬丁になる。
◯ウルリーカ・ローマン
レッセル辺境侯夫人。フィルクの義母。
◯サール公夫人アリエス・ハルヴィス
老婦人。ルデルとマイラの祖母で、王妃の母。神話や礼儀作法に詳しい。
◯マイラーラ・ハルヴィス
サール公の孫娘令嬢。そばかすがあった。ルデルアンの従姉妹。
◯王太子近衛長ヴァルト・エッセン
伯位貴族の次男。ルデルから信頼されている。
◯フリーダ国王
豪放磊落な性格だが、王家や位家の〈高貴なる責務〉を大事にする。
◯王妃ルーリエ
サール公位家の出身でルデルの母。模範的な王妃言われる。マイラーラの叔母でアリエスの娘。
◯ルノワ宮中伯
司法府長官。かつて冤罪でメリヤナを死に追いやった。
▼中編:7章〜
◯ケイウス・ローマン
フィルクの義兄。フィルクより三つ年上。未婚。愛想のないフィルクに対して反発している。
◯キリカ・ローマン
フィルクの義姉。フィルクより二つ年上。ルノワ宮中伯の家に嫁ぐ。
◯ファルナ伯令嬢エオラ・ルッツェ
13歳の頃からフィルクのことを慕う令嬢。刺繍が趣味。
◯コルト伯令嬢ヨーチェ・ミリアン
等位貴族から商いの成功で位家に昇格した家の令嬢。ミリアン商会を営む。
◯フォート方伯令嬢ミリー
ルッサムの白い花と言われるようなふわふわ系女子。野次馬気質だが本人に悪気はない。
◯ルース辺境伯エイヨン
エストヴァンに隣接する国境領主の長子。体つきはしっかりしているが、ゆるふわ系男子。
◯国務府外交局長マブロン
フィルクの上司。愛娘を溺愛。
◯王太子補佐官クルス
シェイド方伯位の三男。ルデルの補佐官。
◯イアン・タルノー
平民出身。フィルクの同僚。アルー=サラルに詳しい。
◯セラス宮中伯
国務府長官。使えない。
◯バロンヌ宮中伯
軍警府長官。血気盛んな親父。
◯皇太子ユステル
エストヴァン皇位継承者。誰とでも分け隔てなく関わる飄々とした人物。酒好き。
◯皇太子妃イーリス
ユステルの〈唯一〉。ユステルよりひとつ上。
槍術の使い手で〈エストヴァンの妃将軍〉。
◯巡察使ユニル
アルー=サラルの地方巡察官。左頬に入れ墨がある。次期大帝候補と目される。
◯ソルア夫人
ユニルの愛妻。乾燥肌。馬頭琴の名手。黒髪黒目の美声を持つ美人。
◯第一王女リアーチェ
ルデルアンの妹姫。口がよく回る。
◯侍女シェーラ
メリヤナのかつての侍女。等位貴族の娘。
▼後編:14章〜
◯今上皇王
エストヴァンの現在の皇王。即位と共に名前を失ったが、ユストスという名がある。
◯今上皇妃テルーシア
現皇王の〈唯一〉。彫りの美しい儚い美人。愛称はシア。
◯第二皇子アステル
ユステルの三つ下の弟。病弱。
◯第三皇子
今上皇王の側妃から生まれた。最近まで皇都エストリラから出ていたが、戻ってきた。
◯側妃フィーユ・マルムス
第三皇子が6歳の時に憤死。
◯シンシア
側妃フィーユの侍女だが、フィーユに代わって第三皇子を世話していた。四児の母。
◯トリヤナ皇女
メリヤナの高祖母。ユステルたちの高祖父である三代前の皇王と異母兄弟。当時の側妃の娘。
◯ノクセン公
エストヴァンの三大忠公のひとり。第三皇子が叔父と呼ぶ人。
◯グラン・ノクセン
第三皇子の補佐官兼、近衛。〈守手〉。ノクセン公の養子。
◯オルウェン公
エストヴァンの三大忠公のひとり。クシュエという娘がいる。守備に強い家門。
◯クシュエ・オルウェン
オルウェン公の娘。メリヤナに温室に咲くルッサムと称される可憐な令嬢。
▼残り火の物語『エストヴァンの妃将軍』
◯ヴァンセン公
エストヴァンの三大忠公のひとり。ヴァンス火山を抱く領主で攻勢に強い家門。イーリスの叔父。
◯皇太子補佐官ヨルム
神官のような貫頭衣を来た長髪男子。ユステルの筆頭補佐官。
◯レイラ
ユステルの元彼女。
◯ゲイン・アルバーグ
イーリスの槍の師匠。ヴァンセン州フェルゼン県の槍術師範。
◯マイアス・フェルゼン
イーリスの兄。次期フェルゼン当主。
——用語——
▼フリーダ王国
〈緑の湖畔〉王都フリーダ。山稜に囲まれている王都。地中海性気候。
湖に浮かぶようにして建つ王城が美しい。春には扁桃の花(桜にそっくり)やミモザの花が咲き乱れる。
王都の湖は澄んでいて、コモナという淡水魚が捕れる。コモナの内蔵を取り、香草入りの塩漬けにしたものが王都の名物。
橄欖の栽培や、檸檬や甘橙などの柑橘系、葡萄の栽培で盛ん。羊や牛の農耕もある。
主神に運命の女神フリーダを祀る。毎年火祭りがある。王都の湖で灯火を浮かべる、灯火占いがある。ムルジアンが建国。
◯身分制度
王族・位家・下位家・平民からなる。
位家は、宮公>公>辺境侯>侯>宮中伯>辺境伯>方伯>伯の貴族位からなる。
等位貴族(下位家)は、一等位・二等位からなる。二等位は世襲を許されない。
王族と位家には、〈高貴なる責務〉が伴う。
◯行政制度
国王直属の六府からなる。
司法府(司法と治安)・国務府(外交・教育・儀礼)・財政府(戸籍・土地管理・俸給管理など)・工木府(土木事業・工芸)・人事府(補佐室・女官や侍従、侍医、厨房官など侍従職も人事府扱い)、軍警府(軍事と警察を司る)からなる。六府とは別に国王直属の監査室がある。
六府の長は宮宰(宮公)で、各長官は宮中伯が世襲している。
◯ドール公領
海岸線に位置する領土。沖諸島の島々との交易や、魚などの収穫で栄えている。
ドール最大の街アーレンは、カラフルな漆喰で家々が建っている。
◯炎の洗礼
14歳になると、平民から貴族の子女が各地の神殿に集って行われる儀式。炎陣(実際の炎ではなく術式で見せている火)の上で行う。
大昔はフリーダの炎が舞い、司祭からの言葉を受けて、葡萄酒を飲む儀式だった。
▼エストヴァン国
皇都エストリラ。皇都は〈双極の塔〉と通称される二つの塔の建築。
西岸海洋性気候。葡萄農家が多いが、フリーダ王国側は橄欖栽培が盛ん。良い穀倉地帯がある。沿岸部はフリーダと同様に木栓樫や柊樫の森となっている。
領土が広大で、マールス回廊という回廊地帯の先に、フリーダの北部に位置する西エストヴァンまでを領土としている。
建国の折に女神エストと人間の男(太祖リアタール)が番うことで、戦国の世を平らげた。平定後に神の国へ還ったとされる。
皇族はエストの血を引いているため、人生で唯一ただひとりを愛する権能〈唯一愛〉の影響を受ける。
神の血を絶えさせないために、皇王はこれまでに幾度か側妃を持つことがあった。
皇族は手ずから茶を淹れる習慣がある。
東側には温泉があるので入浴文化が盛ん。香りの良い葉で擦って垢を取る。
◯エストヴァンの〈唯一愛〉と〈唯一〉
人生で唯一の人を愛する、という愛と戦の女神エストの権能。エストヴァン皇族には女神エストの血が流れている。メリヤナの高祖母がエストヴァン皇族だったため、メリヤナにも皇族の血が流れている。
◯エストヴァンに伝わる秘術?
・好意は素直に伝えるべし(視線や仕草で)
・相手の好きなものを把握しろ
・押して押して引け
・いい匂いをさせよ
・視線を合わせて二人きりで話せ
・教養を身につけてひけらかすことなかれ
▼遊牧国家アルー=サラル
北西から侵攻してくる新興の遊牧騎馬民族国家。
褐色の肌が基本で人によって薄い濃いがある。瞳は黒や茶、稀に緋色などがある。サラル語。
呪術師である大帝を頂点に、〈血の盃〉による血の契約で、臣下を従える。
隊商都市群を足がかりにしながら、じりじりとエストヴァンやフリーダ王国に詰め寄っている。
馬頭琴や馬乳酒、馬乾酪など、生活の隅々まで馬が馴染んでいる。
馬乳で作った食べものを、白い食べもの、と言う。
〈包〉という移動式家屋に住んで暮らしている。王宮は、〈包ノ宮廷〉と称される。
〈馬と草の神〉を信仰する。〈ラ・ファダ〉は馬神。
▼トゥーミラ自治都市郡
共和都市群。商神トゥーミル神を信仰する。職人都市。トゥーミラ語を話す。
フリーダやエストヴァンと同じく金髪の人種だが、瞳は碧眼ではなく、緑が多い。
サルフェルロ市国、モロンド市国などいくつもある。市壁が周りを囲んでいる。
▼隊商都市群
交易で収益を得る都市群。異国の文化や血が混ざっている。
フリーダとエストヴァンの輸出品は木材、橄欖油、葡萄酒、毛皮、毛織物、染織品、蜜蝋など。トゥーミラ自治都市群は、装飾工芸品、陶磁器など西の文化も入ってきている。
▼エスカテ教
フリーダ、エストヴァン、トゥーミラで信仰されている多神教。
七柱の神々からなり、神々は橄欖の葉に象徴される。
神殿に仕える者はすべて、聖神術を用いる。
◯フリーダ神
炎と運命の神。フリーダ王国の主神。〈運命の盤〉〈浄火〉の権能を持つ。
実は筋肉むきむきの男神だが、女神と言われている。
◯エスト神
愛と戦いの女神。エストヴァン国の主神。
一人のみを深く愛するという〈唯一愛〉の権能を持つ。
◯ヴァンニテ神
冥界と怒りと炎の女神。エストヴァン国の第二神。
エスト神の妹。
◯ボルフェス神
海と時を司る神。凪と悠久を抱くため、穏やかな神。
◯ファブラ神
空と星と風を司る神。
◯トゥーミル神
商業と水の神。トゥーミラ自治都市群で信仰されている。
◯地母神エフリューネ
大地を司り、悲しみと喜びと闇を抱く。六柱の母女神。
▼〈盟約の証となる報せ〉
フリーダの王族、エストヴァンの皇族間で、直に情報を交わせる装置。
二国の祖ムルジアンとリアタールの絆として古い聖神術で作られた石盤に刻まれた装置。
現代では再構築は難しいと言われている。
通信の記録は壁に刻まれ続けている。壁が埋まれば限界となる。