やっと会えた。
そのまま逃げないでくれと祈るように自転車で駆け寄る。美玲はびっくりして動けないのか、待っていてくれるのか定かではなかったが、そのままそこにいてくれた。
「いつ帰ってきたの?」
明らかに驚いた表情をしている美玲に、開口一番に聞いた。
「ほんの半月ほど前よ。変わってないね。…合格おめでとう。」
こんな会話でもうれしい。昨日の今日だからな。
「あ。ありがとう。美玲も変わってないな。」
「そう?連絡しなくてごめんね。留学中は集中したかったから。」
「い、いいよ。そんなこと。」
言いながらふと夢で見たマークのことが頭をよぎった。で、出てきやしないだろうな。人をケダモノ呼ばわりしたアイツ。思わずキョロキョロしていると怪訝そうな顔をされた。
「どうしたの?」
「い、いや、別に。」
よかった。マークが潜んでいる気配はないようだ。
「ちょっと話せない?」
「まあ、いいけど。」
近くのマクドナルドを指さすと、しぶしぶとまではいかないが、なんとかといった感じで応じてくれた。外の、どこかのベンチのほうが静かに話せる気はしたが、この寒さでは外で話すのは申し訳ない。
「飲み物は暖かい紅茶でいい?ポテトでも食べる?」
「あ。うん。ありがと。」
入口でそれだけを聞いて、席を確保してもらうことにした。美玲は紅茶が好き。ポテトも好き。よく一緒に食べたよな。
ポテトと紅茶、俺の分のコーヒーを乗せたトレーを手に席に座ると美玲が言った。
「それだけ?珍しいね。」
俺がいつもチーズバーガーを食べることを覚えていてくれたんだ。
「今日はそんなに腹減ってないから。」
さきほどケーキをさんざん食べたあとなので、今日はポテトを数本つまむ程度で十分だ。
「よかった。会えて。」
紅茶のカップで手を温める美玲を見て思わず声が漏れた。
「昨日、返事しなくてごめん。」
「ああ。うん。どうかしたの?」
どうしよう。もう新しい彼がいるなんて言い出したら。
「どうしているのかは気になっていたんだけど、どう返事をして良いのか迷っていて。」
それって、やり直す気がないってこと?
「どう返事をしていいのかって、どういうこと?」
いきなり核心を突いてしまって良いのだろうか?やっぱりマークか?ドキドキしながら返事を待つ。
「やり直せそうかどうかってことよ。」
紅茶をフーフーとしながら言う美玲を見つめながら言葉を探す。
「それって…。」
「あ、別に新しい彼がいるとかってことじゃないのよ。」
「じゃあ、会ってくれないか?」
なんとか切り出した。受験の通知の封筒を開けるときよりも緊張している俺。




