太陽
「は?何言ってるの?ここまで来ると、いくら日向でも許されないよ?」
「夜は、心底嫌いなやつと一緒にいられるほど大人じゃない」
「それは…」
「朝乃。夜は本気で朝乃のこと嫌いだったわけじゃないから。償うとか、しなくていいから」
「で、でも、夜の邪魔ばっかり…」
「そうよ!目を覚まして、日向!こいつが!」
「夕子。それ以上は、いくら夕子でも許さない。俺は夜を失った。朝乃まで失いたくない」
「日向…」
「わかったわよ。そのかわり、二度とその面見せないで」
夕子ちゃんは私を一睨みすると、颯爽とどこかに行ってしまった。
私はぼんやりとその姿を見ることしかできなかった。
「夕子ちゃん、大丈夫かな。夜の後を追ったりしないよね?」
「ほんと、朝乃はお人よしだよね。仮にも人殺し扱いされてたのに」
「それは…、本当のことだから」
「だから違うって。何なら、俺が殺したっていうほうがしっくりくる。間接的に振ったんだから」
「日向の件だけじゃない。横ちゃんの件も、夜のお母さんの件も…、私のせい」
「大丈夫だって。誰も朝乃のせいだなんて言わないよ。ほら、暗くなってきたし、帰ろう?」
日向が私を支えて、立ち上がった。
「だ、大丈夫、もう歩ける」
「うん」
そういいながらも、日向は私に肩を貸すようにしたままだ。
恥ずかしかったし、夜に対する罪悪感もあったけれど、精神的に助かった。
帰りの電車はちょうど部活帰りの高校生と被ってしまい、座れなかった。
立ちながら、私は日向の肩に頭をそっとのせた。
日向は夕方でもお日様の匂いがする。