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夜の黒  作者: 音羽
7/10

裏垢


その日一日、クラスの人は日向以外、よそよそしかった。

「あの子、発狂してたらしいよ」

「うわぁ、キチガイじゃん?」

「こわぁ・・・」


クラスの女子がヒソヒソ話しているのも聞こえた。

ほらね、私はあくまで夜のオマケだったんだ。

私に人間的な魅力なんてない。



最後の授業のチャイムが鳴ると同時に、私はサッと教室を出た。

今日はやらなきゃいけないことがある。


「ねぇ!朝乃!!どこ行くの?」


昇降口で靴を履き替えたあたりで日向が走ってきた。

もう、夜はいないんだから、クラスで浮いている私なんかに話しかけなければいいのに。


「ちょっと、用事。日向、部活でしょ?遅れるよ?」


「あの…、さ」


そう切り出した日向は、俯いたまま続きを言おうとしない。


「私、急いでいるから」


サッと踵を返して学校を出た。

早くしないと、間に合わなくなっちゃうかも。

ユウちゃんが、夕子ちゃんが下校する前に捕まえなきゃ。



電車で自分の学校の最寄り駅から2駅離れたところに、松商の最寄り駅があった。

「松原商業高校前」なんていう、親切な駅だ。


駅を出てすぐ、正面に高校が見えた。


校門のところにある、高校名を確認して校門の前に立つ。

松商生と思われる生徒が、こちらをちらちら見ながら下校していく。


夕子ちゃんは帰宅部なのか、それとも何かしら入部しているのか…、だめだ、圧倒的に情報が少ない。

私は臆病なくせに考えなしで行動するところがある。

今更ながら、自分の性格を恨んだ。


そもそも、昨日の今日で学校どころではなかったかもしれない…。

家に行ったほうが会う確立は高いはずだ。


時間にして、30~40分が経った。

やっぱり、日を改めるか、ちゃんと調べて確実に会えるところで待ち伏せよう。

そう思って、歩き出したところだった。


「なんであんた、ここにいるわけ?」


嫌悪感を全開にした声が聞こえた。


「あ、夕子ちゃん」


「気安く呼ばないでよ」


低い声で呻るように言われた。

私を睨み付ける目は、やはり腫れていて、痛々しかった。


「あの、私、夜のこと、全然知らなくて、だから、夕子ちゃんがなんで夜が死んだか知ってたら教えて欲しくて…」


「いいよ、じゃあ教えてあげる。夜がツイッターしてたの、知ってる?」


「え?うん、私もフォローしてるよ?」


「それが本アカってやつ。夜のアカウント、1個だけじゃないんだよ」


「え?」


「裏アカ。これは私とか中学のときの友達しか知らない」


「ひ、日向は?」


「日向も知らない」


「そ、その裏アカがどうしたの?」


「あんたのこと、たーくさん書いてたよ。見せてあげる」



夕子ちゃんは携帯の小さな画面を私に差し出した。



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