五夜目 可愛い後輩の親友はそっち系でしたが、そんなのどうでも良くなるくらいの事件です。
現在6月9日11時46分
前回と引き続き、後輩(栞菜)の親友(瑠衣)に睨まれながら話をしたいと言われてます。
「栞菜はここで待ってて。」
凄い迫力で栞菜を睨む。怖い。それには栞菜もシュンとなり、黙って俯く。そしてチラッと私を見る。その目はごめんなさいと言っているようで、なんか可愛い。なんて能天気な事を考えていると
「渚さん。ついてきてください。」
瑠衣がギロリとこっちを睨んでくる。
「分かったわ。」
苦しい沈黙で、速足に歩いた先はちょっとした、空き部屋だった。その中は接着剤の匂いや、木の匂い、絵の具の匂いなど、何故か落ち着く匂いがした。
「渚さん、単刀直入に言います。」
「えぇ。」
「栞菜と別れてください。」
本当に単刀直入に言うのね。でもなによ、ムカつくわ。瑠衣にごちゃごちゃ言われる筋合いは無いのだけど。あんな良いのそう簡単に手放すわけが無いじゃない。笑えるわ。
「いいわよ。」
サラッとなんとも思ってないようにいう。
「っ!やっぱり栞菜のことは遊びだったのか…。
最低だなあんた!」
やっぱりって何よ。どこまでもムカつくわね。ていうかこの子もしかして…。
「悪いかしら。残念ね、最後までいきたかったのだけど。」
そう言って私は軽く笑う。
「…てめぇ!最後までって何だよ!」
バァァンッ!
胸ぐらを掴んでドアに叩きつけられる。痛いわ。
「あら、セックスまでってことよ。」
「こいつっ…!」
ギリッと瑠衣の歯ぎしりの音が聞こえてくる。そろそろ聞くか。単刀直入に。
「貴方、栞菜のことが好きなのね。友達としてじゃなくて。」
馬鹿にしたような笑みを作る。瑠衣は顔が赤くなる。栞菜ならあんなにも可愛いのに、こいつは気持ち悪くて吐き気がする。何でかしら。可愛い顔をしているのに。
「あぁ!好きだよ!私ならお前より栞菜を幸せに出来る!てめぇみたいなクズに栞菜は渡さない!」
あぁ、何で可愛くないのか分かったわ。私はこいつが嫌いなんだ。確かにこいつの言う通り私より栞菜を幸せに出来るかもしれない。私の実家はあんなんだしね。でも…。
「そうかもしれないわね。でもそう簡単に獲物を逃がしてやるほど私は優しく無いわ。」
「獲物…だと?ふざけたこと言ってんじゃ…!」
私は隙が出来たところで固め技で瑠衣の動きを止める。
「うるさいわね。ただのクソガキが。あまりギャアギャア騒がないでくれる?私はふざけてなんかいないわよ。栞菜は渡さないわ。特に貴方みたいな良い人なんかには。」
言い終えて、瑠衣を床に投げる。こんな居心地の悪い所から栞菜のいる居心地の良い所に早く戻りたい。ドアを開けて、ハイヒールがカツカツと速いテンポで音を鳴らしながら栞菜のとこに戻る。
「…渚!」
栞菜は顔が明るくなり、私に抱きついてくる。可愛い。本当に可愛い。
「ただいま、栞菜。」
嬉しくてついにやける。
「瑠衣は?」
「さあ?」
知らないわ。あんな奴。
「いるから。」
先程の不快な声が聞こえてくる。
「来なくて良かったのよ?空気読んでほしいわ。」
少々嫌味を言ってみる。
「見えないものは読めねぇし。」
嫌味に嫌味を返してくる。渚と瑠衣の間にパチパチと電気が流れる。
「まだデートの途中だし、早く行くわよ。」
「ちょっ!渚!」
「おい。栞菜を泣かせてみろ、私は死んでもお前を恨んでやる。」
ギロリと睨んでくる。ウザいわね。本当にうざいわ。そんな言葉を無視して栞菜の腕を引いて行く。
「ちょっと渚、どうしたんですか?」
「別に。それとその敬語、2人きりの時はやめて。」
「えっ、わ、分かりました。」
「ほら、分かったでしょ。」
「わ、分かった。」
顔が赤くなる。さっきの(瑠衣の)より一億倍可愛い。
「次はどこに行くの?恋人さん。」
ちょっと挑発的に笑ってみる。
「そうで…そうだね、渚はどこに行きたい?」
「栞菜とならどこでも良いわ。」
「わ、私もう考えてなくて、その…良ければ渚の
い、い、家っに、行っても良い…かな?」
真っ赤になりながら上目遣いで頼みますポーズをする。可愛いわー、まじ可愛いーわ。
…でもこんな可愛い子うちに来て私の理性我慢出来るかな…?