四夜目 可愛い後輩と休日デートでしたがなんか修羅場な模様です。
どうも、猫又です。
午前授業はええですなぁ、いっぱい寝れてラッキーです。てことで今回は4話目、渚達の雲行きが怪しいです。
ピピピピッピピピ…カチッ
重い瞼を開けてカーテンの隙間から見える太陽の光から、目をそらす。
現在6月9日午前8時30分
前回の後輩(一条 栞菜)からのメールでデートに行くことになった。
「ふぁぁぁ…。」
だらし無く、大きな口を開けてあくびをする。
あと2時間後に、駅で、待ち合わせだ。
ピロンッ
呑気にベッドの上に伸びていたら、メールが来た。一条、いや栞菜からだ。
『おはようございます。10時に待ってますね!楽しみです! 栞菜より』
はぁ…。メールまでもが可愛い。
すかさず私も返事を送る。
『おはよう。私も楽しみだわ。今日は楽しませてね。渚より』
さぁて、シャワーでも浴びて用意しますか。
現在8時52分
朝食は焼いたトーストに、ペースト状のバターを塗ったものと、トマトと卵のサラダ、コーンクリームスープである。私は、20歳の時から一人暮らしを始めていて、実家では、ある人達に家事全般を叩き込まれていた。なので家事全般得意である。まぁ、こんな料理で得意です、と言われてもパッとしないだろうけど。
ーーー今日の天気は晴れです。そろそろ季節の変わり目で、だんだん気温はあったかくなって来ています。今日は半袖でも…。ーーー
テレビから女性の声が聞こえる。
「半袖…か。」
少し考えてから、また朝食に視線を戻す。
◇一条 栞菜目線
「あぁーーー。早く先輩に会いたいなぁ。時間経つの遅いなぁ。」
外は、まだ6月だと言うのにすごく暑い。あぁ、まだ9時12分かぁ。私、一条 栞菜は、佐藤 渚という会社の先輩と秘密で付き合っている。その先輩は私と同じ性別で、とても綺麗な人だ。彼女自身は、気づいていないけど芸能人だって言っても良いくらいのスタイルで、顔も綺麗だ。勿論男の人にモテる。だけど彼女はそれだけじゃない。ショートカットで、つり目で誘惑的だけどどこか男っぽさもあって、何より行動が女性を、軽くエスコートしてしまうから女の人にも、モテてしまう。ほぼ全員がこんな人と付き合いたいなぁって思うはず!確かに凄く嬉しい優しいし、真っ直ぐで浮気なんてしそうにない。でも、でもですね!こっちだってあんなにモテる人が恋人だったら、気が気じゃないんです!それに彼女はかなりの鈍感なんです!
「本当に、誰かに取られちゃいそうで怖いんだよねぇ。」
はぁ…と大きなため息をつく。でもまぁ、
「誰にも取らせないけど。」
こんな独り言をつぶやいて自分の言葉に恥ずかしくなり、ベッドの枕に顔をうずくめる。
「ぷはっ!…何してんだ、私。」
整えた髪の毛が台無しじゃないか。まったく。あの先輩には振り回されるなぁ。
………まぁ、自分が、勝手に振り回されてるだけだけど。
◇佐藤 渚目線
時計の針は9時35分を指す。用意も出来た。
「よし、そろそろ行くか。」
ーーさぁ!可愛い後輩との初デートに行こうじゃないか!
駅に着いたのは9時53分。先に着いた栞菜がチャラそうな男に囲まれておどおどしている。あいつら、栞菜にベタベタ触りやがって!
「っ!だから恋人を待ってるんですよ!離してください!」
栞菜は彼氏じゃなくて、わざと恋人と言った。あぁもう、どこまでも可愛いなぁ。
「えぇー。彼氏こないじゃーん。良いじゃん来ない彼氏なんてほっといて、俺らと遊ぼー!」
ほんっっっとむかつくな。私は高いハイヒールで、かつかつと栞菜に歩み寄って行く。
「お待たせ。栞菜。この人達は何?」
挑発的な目でその男達を見る。
「せっ、先輩!ただのナンパですよ!」
「そう。私の栞菜に軽々触るなんて良い度胸してるじゃない。こんな奴らに取られる時間は1秒たりとも無いわ。早く楽しませてちょうだい、栞菜。」
「はっ、はい!」
するっと栞菜の手に私の手をくっつけて指を絡めていく。それに栞菜は、真っ赤な顔をして反応する。〜〜〜っ!可愛いなぁぁっ!もう!ナンパ男達はポカーンとした顔で私達の足取りを見送る。
ざまあみろ!栞菜に触った仕返しだ!
「栞菜。どこに行くの?」
一応行き先は聞いておく。
「その、先輩はあまり好きじゃ無いかもしれませんけど良かったら、アクセサリーの店に行きませんか?」
私の顔を覗き込んで、上目遣いで心配そうに見つめてくる。それはずるいわ。でも、アクセサリーとかは、好きだ。ピアスとかは特に。私は耳にピアスの穴が結構な量空いている。右4個左4個計8個である。
「えぇ。私は好きよ。」
微笑むと、彼女は安心したように幼い子供のような笑顔を私に向ける。ベッドの上でめちゃくちゃにしたいわ。って、何考えてんだ。しばらく歩いている間に栞菜が口を開く。
「そういえばよく考えたら、会社の人に見られたらやばいですよね…。」
確かに。腕を組んでる上に指を絡めて手を繋いでいる。でも、こんな時にそんなこと考えないで良いじゃないか。
「まぁいいじゃない。デートだし気にせず思いっきり楽しみたいわ。」
「…そうですよね。すみません。私は今のままでも先輩と一緒だったら楽しいんですけどね。ふふっ」
楽しそうに笑う彼女は、今まで会ってきたどんな人よりも可愛い。
「そんなの私もよ、栞菜とならどんな事をしていても楽しいわ。あと、先輩じゃなくて、渚でしょ。駅でも思ってたけど私は名前で呼んでいるのに貴方だけよんで無いじゃない。」
ちょっと拗ねて言うと栞菜は少し焦る。
「えっあっす、すみません!でも先輩がそんな風に拗ねるのって初めて知ったのでなんか嬉しいです。」
この子はたまにさらっと恥ずかしい事言うわね…。まぁ嬉しいんだけど。
「先輩じゃなくて渚よ。」
「は、はい!な、渚。」
顔を赤くしているけど、私の方を真っ直ぐに見て名前を呼んでくれる。
「ふふっ。はい栞菜。」
顔を見合わせる。そして2人で恥ずかしそうに笑った。アクセサリー屋に行く間色々話した。好きな食べ物や今度一緒に飲みに行こうなど。
「先輩!着きました。」
後輩は小さな建物を指差す。その建物は、壁はタイルでダークブラウンに塗られており、そのタイルの間を白色で線を引いてある。店の入り口には、ガラスの風鈴のような、中が空洞になっている丸いガラスが吊ってある。店の手前らへんには、大きな桜の木が植えてあった。そこは、私が好きな雰囲気で、風の音や木々が揺れた音や葉同士で擦れあったサワサワと言う音など、自然を感じさせるが入ってはいけない秘密の場所に居るような気分にもさせてくれる。
「先輩、入りましょう。」
栞菜は私の腕を引いて入口へと誘導する。
「え、えぇ。」
返事して入ると、そこにはキラキラしたもの達が勢揃いに並んでいた。
「いらっしゃいませ。」
店員さんは礼儀よく、頭を下げてくれる。
「瑠衣、来たよ。」
「栞菜!」
仲が良さそうに名前を呼びあう栞菜と店員。
「えっと、栞菜の、知り合いかしら?」
「あ、すみません。紹介しますね。中学から親友の篠宮 瑠衣です。瑠衣、こっちの人は私の会社の先輩で佐藤 渚さん。」
「そう、篠宮さん。よろしくね。私のことは好きに呼んでくれていいわ。」
私は微笑んで握手を求める。
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。では、渚さんと呼ばせてもらいます。こちらも、瑠衣でいいですよ。」
彼女も微笑んで私の手を握ってくれる。
「そ、それでね…、瑠衣には話しておかないとって思ってたんだけど……。」
栞菜は気まずそうに下を向いて頰を赤らめながら話し出す。
「ん?なにさ。」
それに軽く応える瑠衣。
「その…渚はね、」
その言葉に瑠衣はピクッっと体を疼かせる。そしてボソッと言う。
「…渚?」
「私と今付き合ってるの!」
「…は?」
瑠衣の顔は一気に険しくなる。
「だから、恋人なの。」
目を背けて恥ずかしそうに応える。
「何言ってんの?相手女だよ?頭おかしいんじゃないの?」
瑠衣は嫌悪というわけではなく、泣きそうな顔をしている。おいおい、雲行きが怪しいぞ…。
「共感なんてえられるとおもってないよ。それでも、瑠衣には知っていて欲しかった。」
少し悲しそうだが、真剣に栞菜は瑠衣を真っ直ぐに見つめる。
「渚さん、2人で話をしたいんですけどこっちきてもらって良いですか?」
ギロリと私を睨んで瑠衣は速足に歩く。
あぁ、面倒くさいな。
現在6月9日11時46分
なんかよくわからないけど修羅場な模様です。