29夜目 依存と熱と彼女の言葉
前回感想クレクレ後書き残したらまじでいっぱい感想くれて滅茶苦茶喜んでる猫又です☆
だんだん暗くなってきましたけど、どうします?(は?)
「じゃあそろそろ帰るね…。明日は休んでね。」
栞菜が私の頭を優しく撫でる。
「ん……。」
嫌だな。帰って欲しくない。離れたくない。
「渚?どうしたの。」
「…もう少しだけ、ここにいて。」
「……ふふ」
「なによ…。」
「渚かわいーね。今日泊まっていい?」
ベッドに腰掛けてまたそんな事を言いながら私の頭を撫でるものだから、また胸がきゅぅ、と締まった。
「えぇ…いつでも泊まっていいから。」
さっきから子供みたいなことを言っている自分に恥ずかしくなって俯いて呟くと愛おしそうに栞菜は笑った。
「うん。合鍵もあるし、たまにはご飯作って待ってるね。」
帰ったら栞菜がご飯作って待ってる…何それ最高じゃない?
「…私より仕事早く終わらせてから言いなさい。」
今日は甘え過ぎた反動で無愛想な言葉しか出せない。こんな所も子供臭くて嫌だけれど。
「確かに…渚の方が仕事終わるの早いもんね。」
ほら、ちょっと声のトーン低くなったじゃない。
「でも…帰ったら栞菜がいるのは、凄く嬉しいわ。」
頭を撫でる手を取り、頬に擦る。冷たくて気持ちいい。
「ンッ……かゎ…。」
「…何?」
急に奇声を上げるものだからビックリしてしまった。
「いや…何でもないよ…そういえばご飯食べた?」
「あ…食べてないわね。」
意識しだすと少し食欲が湧いてきた。
「おうどんでいいかな。作るね。」
そう言って台所へ向かう栞菜がとても愛おしかった。
「ありがとう……。」
ずっと栞菜に触れていたい。ずっと一緒にいたい。触れられると安心するし、触れるとドキドキする。…興奮もする。
どうしようもなく好きで、好きが余って行き場が無いことにイライラする。前まではそんな事無かったのに。感情を調節出来たのに今はしにくい。
栞菜と離れて、触れられなくて、目を見れなくて、自分が感じる間もなく体が異常をきたした。病気だ。依存してる。綾乃さんももういい。あの人が浮気して離れたんだから。栞菜だけでいい。閉じ込めてしまいたい。
「栞菜……。」
「びっ……くりした〜。どうしたの、なぎ……さ。」
栞菜は私の顔を見たとたん、ぎょっとした目で私を見つめた。
「栞菜、好きすぎて辛いのよ…どんどん、思考が変になるの……怖い。」
感情が渦巻いて胸が苦しい。栞菜に対する感情が好きを越えてどんどん暗いものになっていく。監禁したい、誰の目にも触れさせたくない、誰にも触らせたくない、何処にも行かないで欲しい。そんな考えで、終いの果てには殺してしまいそう。
「泣かないで…。どうしたの?熱凄いから辛いんだよきっと…。でも、嬉しいよ。私もたまに渚を私の家に閉じ込めたくなるもん。渚、モテるから…女の子が渚と話してる時に、嬉しそうに笑うの。すごく嫌。」
眉間に皺を寄せて私を見上げるとゆっくりとキスをした。
風邪うつるわよ、なんて言えないくらいには私も栞菜もキスに夢中だった。
好き。好き。大好きよ、私だけの栞菜。
「ちょっと火通し過ぎたね....。うどんふにゃふにゃだ。」
栞菜は、そう言いながら困ったように笑う。
散々キスしたせいでうどんを火にかけていたことを忘れて、溢れた時に気付いた。確かにうどんはコシが全く無かったけれど、胃腸には優しいと思う...。
「...美味しいからいいの。ありがと栞菜。」
「うん、体調大丈夫?」
「ちょっとマシかも。まだ頭が重苦しいけれど。
」
首で支えるのがだるいくらいには頭が重たい。出来れば早く寝たいけれど、栞菜ともう少し食卓にいたい。
「確かにさっきよりは顔色良いね。食べたらベッド戻ってね。」
そう言って私の前に水の入ったコップと風邪薬を置いた。
「ありがとう。ごめんなさい、看病してもらって。」
多分、さっきのキスといい、長いこと一緒にいるせいで栞菜にも風邪がうつっていると思う。
「謝らないでよ、私が勝手に来ただけだし。それに、仲直りも出来て嬉しいの...。渚の本音も聞けたしね?可愛かったなー泣いてるなぎ...」
「やめなさい。」
ニヤニヤとこちらを見ながら言うのはどうかと思う。あぁ、思い出しただけでも恥ずかしい。
「ふふ...私の事を変になるくらい好きになってくれてるんだよね?私は渚の事が好きな時からずっと変だよ。」
今日の栞菜はなんだか積極的で扱いづらい。不覚にもその言葉にきゅんとしてしまった自分がいる。
顔が良いのだからやめてほしいわね。
「...もう、離さないわよ。」
「こっちのセリフだよ。...矢杉さんになんて渡さない。」
栞菜は本当に綾乃さんを警戒しているようで、その話題になるとすぐに暗い顔になる。
「大丈夫よ、もう栞菜以外に興味なんて無いわ。」
栞菜しか要らない。他を全部捨ててでも栞菜だけは離すつもりは無い。どうして前の私は栞菜と綾乃さんで悩んでいたのだろう。
『ーーーーーー。』
今日、帰りに引き止められた時に綾乃さんに耳元で言われた言葉を思い出した。
嫌な予感がするけれど、振り払うように栞菜を見つめた。
「...栞菜、何があっても離さないで。私も離さないから。」
「どうしたの...?離さないよ。約束する。」
私がもう綾乃さんに揺れることは無いだろうけれど、彼女の目を見ると怖くなってしまった。あの人は魔女みたいな人だった。昔は魅力的で官能的な魔女。いつも掌の上で転がされていた。
でも今は違う。孤独な魔女だ。目が純粋なのにとても濁って見えた。
「...っ。」
あの、私を真っ直ぐ見つめる目を思い出すと体に何かが纏わり着くような感覚を覚える。あの人は未だによく分からない。
「渚。もう矢杉さんの事なんて考えないで。私だけ見てよ。」
栞菜は怒ったように私を見つめた。
「あ...ごめんなさい。少し、不安になったの。」
「...私よりも矢杉さんの方が好きだから矢杉さんのこと選んじゃうかもって...?」
そう言うと栞菜はうるうると目に涙をためて俯く。
「え...違うわよ、私は栞菜以外要らないわよ。ただ、今の綾乃さんは少し変だから...心配しちゃっただけ...。」
失礼かもしれないけれど、正直今の綾乃さんは何をするか分からない。
「...む。」
ものっっっすごく嫌な顔をしてる。凄い...頬がお餅みたいだわ...。やだ、可愛い...。
つん...。
「...ふふふ、可愛い。すごく可愛い。」
触れた途端ふにゅ、と指が沈むのが狂おしいほど可愛くてつい笑みがこぼれる。物凄く可愛い。
「その顔...好き...。目じわ好き...。」
あ、する時の顔...。
「...キスしたから一緒よ。」
「...へ?」
「風邪うつしてもいい?」
そう言って栞菜の頬を撫でる。
栞菜の目に熱がこもった。
「うん...。」
2人でゆっくりと夜の月明かりに沈んでいく。
栞菜の事ばかり考えた。火照る体を慰めるように擦り付けていく。好き、好き、寝室にはその言葉がとめどなく響く。
『言うたやろ、なぎは私のモノなんよ...
...一条さん、渚の事大人しくくれるやろうか。』
熱がこもった頭の隅には綾乃さんの言葉と含み笑いが響いていた。
感想ありがとうございます...めっちゃ嬉しくて10回ぐらい繰り返して見ました。なんかめっちゃすげぇ小説書きさんからも感想頂けましたし、続き待ってるで、って感想も頂けましたし、ヒロインへの同情感想も頂けました。自己顕示欲爆上げでテンション爆上げです。良かったらもっとあげてやって下さい笑
今、諸事情で、馬鹿ほど体調悪くて最後らへんは元気100倍アンパンマンって感じなんですけど、最初から途中、なぜか高熱にうなされながらも書いたんで、何この文っていうのあったら誤字報告で教えて下さい。お願いします。(一応熱が下がってきた時に確認はしました)
しんどい時に体動かしてまうんよな。おかげでお部屋めっちゃ綺麗。フローリング神。なにしてんねん