28夜目 愛の重さは自覚がない人ほど重いみたいです。
ちょっと完結しかけなんつら。
えーー完結...せんとってー。まぁガチレズの方に取り掛からんといけんからさっさと完結目指します( ᐛ )و
「...はぁ、終わった。」
Enterキーを押して文字を確定する。
集中といえばいいのか、他に気を回さなかったからか、随分とはやく仕事が終わった。出来ればこのまま帰りたい。栞菜、綾乃さん、八神がいるこの空間は息が詰まる。
帰ることを決心した私は課長の席へ向かった。
「終わったので今日は失礼します。」
「え?あー、うーん。ちょっとだけ手伝っ...」
「...ごめんなさい。」
「そうよね〜佐藤ちゃんも忙しいよね〜いつも手伝ってくれてありがとね〜。お疲れ様、明日も頑張ろーね!」
眉を八の字にしてニコニコと柔らかい笑みを浮かべる課長。なんか、あー癒される。失礼だけどおばあちゃんの空気感というか、優しい...。
「はい、ありがとうございます。失礼します。」
軽く会釈して廊下に出るドアに向かう。
「な...佐藤先輩。ちょっといいです?」
横から小走りで綾乃さんが向かってきた。ちょっと、と指を指す方は私が向かおうとしていた廊下だ。
「...はい。」
今、栞菜はどんな顔をしてるんだろう。見ようにも、見れない。
「...なぎ、なんか避けてるよな?」
綾乃さんは、廊下に出るや否や腕を組んで威圧的な態度になる。それが年下だろうが先輩に向ける態度か。
「別に避けてない。」
あくまでしらを切る。
「避けてる。」
「避けてない。」
...なんだこの子供の口喧嘩みたいなのは。
「...私なぎになんかした?」
ため息を吐きながら地面を見ていると不意に泣きそうな声で綾乃さんはそう言った。
「してない...。」
顔が見れない。綾乃さんは悪くない。悪くないのに私が罪責感で避けただけで。ほんまに最低やろ...。
「...なぎぃ、なんで...目見ぃへんのぉ?」
ダメだ、泣いてる。
綾乃さんの声質で焦った私は勢いよく綾乃さんの顔を見た。
「...え。」
「泣いてると思った?やっと目見た。ずるいわ、何も言わず離れて行くとか。もう、どこにも行かせへんから。」
泣いて...無かった。多分声だけ震わせて、泣いてると思った私が目を見ると分かっていてこんな事をしたんだろう。
くそ、まんまとハマった。
「...離れてなんか」
「ほら、そうやってすぐ逃げる。」
馬鹿にしたように私を見つめる瞳に酷く腹が立つ。
「逃げてない。それが綾乃さんが私を当て馬にした時の事も含めてるんやったら綾乃さんの事軽蔑する。」
まさか自分が浮気した事をなんとも思ってないわけじゃないだろうな、私はまだ許してないし忘れない。
「違う、あれは私が悪い...含めてないから...。ただ、なぎは昔っから自分のしてることから逃げる癖あるやろ。それがずるいしそういう所が1番嫌い。」
ツキと心臓が軋んだ。
嫌いって言わないで。綾乃さんにまで離れられたら私は...。
「...」
「...そんな顔せんといてや。彼女となんかあったん?私の事彼女知ってんの?」
昔から綾乃さんは人の感情の起伏とか異変とかに異常に鋭かった。まさか、こんな完璧に言い当てられるとは思わなくて少し居心地が悪い。
「...綾乃さんには関係ないやろ。もう、帰るから。」
綾乃さんの言葉を突っぱねて、私はエレベーターの方へ向かう。
「ふーん、また逃げんの?」
綾乃さんは煽るようにそう言って鼻ではんと笑う。
「...っさっきからまじでええ加減に...!」
「じゃあ逃げんなよ。前から言うてるやん。なぎが私を突き放しても私はなぎのこと大好きやし諦めへんし彼女から奪うつもりやし、なぎが私を欲しがったらもう絶対離さへんし逃がさへん。なぎは初めっから私のやねん...あぁ、可愛い。私のなぎや、私やったらなぎにこんな顔させへんのに、私にすればええのに。」
やっぱり変わった。綾乃さんは人に執着するような人じゃなかった。力では勝てると分かっていてもこの人の重すぎる愛に足がすくむ。
そうしている内に私の手首を壁に押し当てて耳元で囁いた。
息が、止まりそうになった。
現在午後10時28分
「...。」
ジャーとシンクの水を流しっぱなしにしたままコップの水を飲む。
今日一日で脱力感が凄い。なんか、疲れ過ぎて食事も喉を通らない。
人間関係が、複雑すぎて面倒くさくなってきた。
私の好きな人は、誰なのか。自分でもよく分からなくて頭が痛くなる。体がだるい。しんどい。なんか暑いし。目がチカチカしてきたし...
「...ぇ?」
最後の景色は家の地面だった。
久しぶりに、母の夢を見た。
「渚は優しい子やな。」
確かこの時は妹の優香がお客様用の高いコップを割り、母に見つかった際に私がやったと優香を庇った時のはずだ。
優香の前でひとしきり怒られてから六畳の部屋に呼び出された。
もっと怒られるかとビクビクしていたら母は私の頭を撫でてそう言った。
あんなに厳しかった母が私の頭を撫でた時は私は随分と間抜けな顔をしていたと思う。
「あれ、優香が割ったんやろ?妹庇って凄いなぁほんま。立派やよ。」
最初、何かの嫌味かと思って怖がっていたが、母の顔を見るとそうじゃないと分かり力が抜けた。
「...ぅぇえぇお母さん〜」
初めて自分から母に抱き着いた時だった。その日だけ、母は私の頭を撫でていい子、と囁いてくれた。
一気に緊張がほぐれたせいでか、その次の日にはすごい熱が出た。微睡みの中でハッキリとは断言できないが、母が渚、愛してると言いながら私の頭を撫でてくれていた気がする。
ふわ...とくすぐったいような気持ちいいような感覚が頭にあった。
そう、こんな感じで母も私の頭を撫でていた。
「おか...ぁさ...。」
「...うん。ごめんね、1人にしてごめん...。」
謝らないで。私はお母さんのこと大好きだから...悲しい声で謝らないで。
「...ん...。」
重たい体幹を持ち上げて瞼を開ける。
「うわ、頭いた...へぁ...しんろぃ。」
頭が掻き回されるような嫌な感覚が私を襲った。
気持ち悪い...。
「...ん?」
グラグラとした視界の端にというか、ベッドの端に伏せて寝ている何者かがいた。
「かん...な...。」
掠れた声でそう呼ぶと栞菜はもぞりと起き上がった。
「なぎ...さ。おはょ、体調どー?」
寝惚けた声で私にそう言う。まともに目を見れない私とは違い、栞菜は潤んだ瞳を私に真っ直ぐに向けた。
「え...あ、うん、ちょっとやばい、かも。」
「...お水持ってくるね。」
そう言って栞菜はキッチンへ消えた。
「...なんでいんの?え?あっ痛い。いや、でも...」
ほっとした。というか、安心?するというか。めちゃくちゃにしんどいけど息が楽になるというか...
「傍に...いてくれて嬉しかった...。」
熱のせいか、言葉が濁流のように頭を流れてその一部が口から出てしまった。
「...へ?」
開けたままのドアから間抜けな声が聞こえた。目をやると栞菜がコップを両手で持ちながら突っ立っていた。
「あ...栞菜...いやちが、その、...。」
うわうわうわ、子供みたいじゃない私!!恥ずかしい...。恥ずかしすぎて私はベッドの上で頭を抱えた。
「あの...ね。渚、今日私に一度も目合わせてくれなかったでしょ。」
それは、怖かったから。栞菜に目をそらされるのが嫌だったから。
「それが...辛くてっ...ぐすっ...私嫌われたのかなって...もしかしたら...矢杉さんと付き合っちゃ...うんじゃ...って...気がついたら渚の家に来てて...」
泣かないで。私が、私の方が嫌われたと思ってた。私が栞菜を嫌うわけないのに。自分でも綾乃さんの事をどう思ってるのか分からない。
「...インターホン押したらっ...出てくれなくて、うっ...ムキになって合鍵使ったら...渚倒れててびっくり...して、それで」
綾乃さんの事を好きかもしれない。その疑問は消えないけど。でも、
こんなに胸が苦しくなるのは栞菜だけだから。
「なぎっ...!?」
「泣かんでよ...栞菜、好き、愛してる。私を欲しがって。私も離れへんから。絶対手、離さんとって。」
「どうしたの、なぎ...」
「どこにも行かんとって!」
いつの間にか、私はベッドから出て、栞菜に縋り付くように抱き着いていた。私は、栞菜がいなくなるのが一番辛い。栞菜が私の元から消えるって考えただけで栞菜を殺して、私も死にたくなる。綾乃さんに愛が重いと言ったけれど、
愛が重いのは、私もだ。
「渚っ...泣かないで。辛い声出さないでよ...どこにも行かないよ。渚、私も愛してる。1人にしてごめんなさい。渚もどこにも行かないで。目、見てよ。」
「かんっな...ぁ...。ごめ...ごめんなさ...」
泣きすぎて息がしにくい。しゃくりあげて泣いてしまう。辛くて、苦しくて。
「...渚子供みたい...可愛い。泣かないの。...いい子、いい子。」
私の頭を撫でる手が優しくて、胸がきゅーっとする。
好き、栞菜の事が好き。依存するくらいに愛してる。
ほんの一日会話しなかっただけでこんなにも苦しくなるって異常じゃない?
「...好き...大好き。」
いや、私史上間違いなく最高に異常だわ。
めちゃくちゃ暗いというかドロドロというか、そんな展開なってきてますけど最後までお付き合い下さい。
感想ちょだい!!!ちょだいよ!!最近半年ぐらい感想ないの!!辛いよ!うんこって一言だけでもいいから!!交流くれよぅ...Twitterもやってるよぅ...猫又二丁目で検索してくれよぅ...(; ;)いや私情ばっかり呟いてるからちょっとおすすめせんわ。でもDMちょうだい絡むから!!ガンガン絡むから!!




