表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ今10時ぴったり可愛い後輩にキスをされました。  作者: 猫又二丁目
一条 栞菜との日常
3/38

三夜目 可愛い後輩は会社では真面目です。

おはようございます。佐藤渚です。

昨日は非現実的な事が次々とおこったので、私、朝には、夢か…なんて思っていた。だが、そんな考えは私の後輩、一条 栞菜私が今お付き合いさせてもらっている人からのメールによって打ち砕かれた。メールの内容はこうだ。

『先輩〜❤︎おはようございます。朝早くからすみません!本題なのですが、明日の休み2人でデートしませんか。連絡待ってます! 一条より』

私のところ今すぐに連絡したいところだが、会社で返事をすれば良いのではないか。と思うわけである。(ただ単に会いたいだけだが)




6月8日午前8時35分 佐藤 渚 出社




ガヤガヤと会社では人の喋り声が聞こえる。昨日の夜はあんなに静かだったのに。

「はぁ…。」

大きなため息をつくと

「渚ぁぁぁぁっ!!」

ギュゥゥッ

首の上に短くまとめた髪を揺らしながら、私に抱きついてくるのは、会社の同僚であり、なおかつ高校の時同級生だった、上山うえやま 凛子りんこ

「おっせーよ!先輩にいびられて泣きそうなのにぃ!」

なんて半泣きで言う。凛子の言う先輩とは、麻木あさぎ先輩のことだろう。この人も、高校の時の先輩だ。

「何したのよあんた。」

「ちょっとからかっただけだよー!」

「また背のこと言ったんでしょう。学ばない馬鹿はいつか痛い目に合うわよ。」

背のこととは、なんとなく想像はつくと思うが、麻木先輩は背が低い。26歳でありながら、146センチの低身長だ。何度も怒られているのにこの馬鹿は学ばない。本来なら背のことを話題に出さなかったら、おとしやかで、優しい先輩なのに。

「だってぇぇー!」

口を膨らませて言う。一条だったら可愛いけどお前がやると気持ち悪い。

「その頰膨らませるのやめなさい。可愛くないわ。」

そういえば一条はっと…。


ジィィィー


びっくりしたっ!一条がこっちをじっと見てるじゃないか!

「ごめん。ちょっと用事思い出した。」

「えっ!ちょっと待てよぉ!」

後ろから聞こえるブーイングの声を無視して一条に声をかける。

「一条。ちょっと良いかしら。」

一条の目の前に立って一条に呼びかける。

「はい。良いですけど。」

怒ってる?何故か分からないが不機嫌に見える。

資料室に入っていく。

「一条怒ってる?何でよ。」

やっぱり本題に入る前に気になったので聞く。

「怒ってません。」

いやいや、怒ってるでしょ。先程凛子がやったように頬を膨らませる。…可愛い。ほんと可愛い。

「怒ってるでしょう?何故か吐きなさい。」

資料がぎっしりの本棚で一条に壁ドンしてみる。

「ひゃっ」

一条は本棚に軽く当たって可愛い声を出す。

顔が紅くて可愛い。

「何で?」

顔を近づけてみる。みるみる真っ赤に染まっていく一条の顔をまじまじと見つめてみる。

「そっ、それは、先輩が上山先輩と…!」

そこまで言って口を紡ぐ。

「凛子と何よ。」

何故凛子の話題が出てくるのよ?

「何で呼び捨てにしてるんですか…。私のことは一度も名前で呼んだことないくせに。」

じわぁっと一条の目に涙が溜まる。えー…。じゃあ遠慮なく。

「栞菜。」

「…っ!先輩ずるいです。」

「ほら、栞菜も呼んでよ。」

「な、なぎ、…っ!」

一条の顔がみるみるの赤に染まっていく。可愛い。

「ほら。ちゃんと言って?」

上目遣いで、顔をもっと近づけてみる。

「な、ぎさ…。」

「よくきこえないわ。」

悪戯心の明かりが付く。

「渚…。渚!」

真っ赤な顔で目を瞑って吐き捨てるように私の名前を口にする。

チュッ

可愛くて、ついキスをしてしまった。まぁ一条の事だから受け入れるんだろう。そうおもっていたら、意外な反応が返って来た。

「っん!だっ、ダメです。」

恥ずかしそうに私を引き離して、目を伏せる。

…嫌われた?

「嫌?嫌いになっちゃった?」

泣きそう。拒否されたことがとても胸に刺さって、痛い。

「そんなわけ無いじゃないですか!!」

大きな声でそう言い張る。そんな大きな声出したらバレるでしょーが!!

「しーっしーっ!」

「あ、ごめんなさい。」

コソコソと小さな声で言う。でも、良かった。嫌われたと思ったら怖くて。

「嫌いになる訳無いですから!でもキスはダメです。ここ会社ですし…。」

「は?昨日会社でしたじゃんか。」

何言ってるんだこの子。

「あ、あの時は!人が居ませんでしたし…。」

「今も、ここに人はいないよ?」

「だっだめです。」

真面目だなぁ。そういえば、

「ねぇ、メールのことなんだけど。良いよ。デートしようか。詳細は帰ったらまた送るね。」

「えっ!あ、はい!待ってます!」

一条は急に背をシャキッとして可愛い。

「ふふっ、待ってて。」

一つ分かったことがある。一条は、会社のオフィスに人が居たら、そういうことが、出来ない。いや、多分本当はしたいんだろうけど。

はぁ…。会社ではキスできないのかぁ…。

可愛い後輩は会社では真面目なようだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ