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ただ今10時ぴったり可愛い後輩にキスをされました。  作者: 猫又二丁目
矢杉 綾乃との過去
24/38

終わりを告げる灯り

なんかすっごい楽しい展開になってりゅぅぅ…。

※シリアスです

綾乃さんと付き合って、明日でもう2年だ。私はもう高校3年生になった。部活では、引退試合で皆気合が入っていて、勉強と両立させるには少しだけ苦しくなってきた。

「……であるからで、〜はこの分から読み取れるように〜……。」

つまらない古文の話を聞き流しながら、窓を眺めた。


「じゃあ……佐藤。」


早く綾乃さんに会いたい。もう明日か。綾乃さんのアパートでいっぱい美味しいものを食べて、いっぱいセックスして、いっぱい好きって言いたい。あぁ、今からドキドキしてきた。サプライズも用意してるし、バイト頑張った甲斐があった。どんな反応するかな。泣くかな?いや、綾乃さんのことだから嬉しそうに私の髪の毛クシャって……あ、そう言えば付き合ってから髪の毛クシャってしなくなったな。なんでだろう。

大人になったから、エッチに撫でてくれるようになったのかな。そうだったら嬉し……


「さ・と・う!!!」

「え?」

古文の担当の禿げたおっさん教師が私の名前を大声で叫ぶ。周りはクスクスと笑っていた。

「受験生なのに随分余裕やなぁ?あん?お前みたいなんがおるから周りが充分に勉強できへんねやろ。やからこのクラスの平均点は低いんや。やっぱ一人アホがおったらクラス全体が頭沸いてくんねんなぁ?」

皆、最後のセリフを聞いて一気に笑みを消した。ほら、アホなこと言うから空気悪なった。


勉強が充分って、そんじゃあほかのやつ当てろよ。

てか勉強してて点数低いやつなんかおらへんやろ。私も悪かったけど、この1分程が勉強不足にまで陥るとは思えない。

「はぁ、すみません。この例文の日本語訳ですよね?えっと、『どれほど気掛かりに思ってらっしゃるのであろうか。と言って、部屋の前を通り過ぎられたのを。』この場合部屋じゃなくて几帳の方が良かったですか?」

「…いや、その訳し方で合ってる。次からは気をつけるように。」

狼狽えた様子で黒板に向き直るハゲオヤジ。こいつ生徒にセクハラばっかしてんだよな…変態ハゲオヤジ。

「はい。あと先生。」

「なんや。」

クルリと向き直る変態ハゲオヤジ。

「このクラスの古文のクラス平均は学年で1番でした。」

「……っお前みたいなんがおるから1番下かと思ってたわ!ははっ!」

どこまでも腹立つ言い方やな。ちょっとゆすったろ。

「はは。せんせドジっ子ですもんね。校内で噂されてるんですよ。よく躓いて生徒にラッキースケベしてるって。羨ましいです。」

そう言ってははっ!と真顔で言ってやると、真っ赤な顔をして怒りだした。

「何を言って……ふざけるな!!」

顔真っ赤にしちゃって。この前凛子と遊びで集めたセクハラ写真集だってあるのに。

「冗談じゃないですか。私その写真友達と集めてたんです。ふっ、あんまり生徒下に見ない方がいいですよ。今回は私が悪かったですけど、毎回暴言が目立ちすぎます。皆傷つくのでやめてください。さっきのも、もしかしたら誰かが盗聴してるかも。」

そう言ってクスクスと笑ってやると、クラス全体がクスクスと笑いだした。皆も性格悪いな。ノリがいいとも言うけど、これじゃあ先生怖くなって学校やめちゃうよ。

「…い、言い過ぎたみたいやな。すまん、授業続けよう。」

次は真っ青。ちょっとでしゃばりすぎたかな。本当にやめちゃいそう。


休み時間を知らせるチャイムがなって、先生が出ていった途端に皆が私に集まってきた。

「ナイス渚!!めっちゃかっこよかった!」

「スッキリしたわ!ありがと!」

「ほんまかっこよかったわ!惚れた!」


次々に歓声が湧き上がってきて、少し照れる。

「…ありがと。皆も最後ノリに乗ってくれてありがとうな。」

「いえいえ〜!最後のあいつの顔笑えたわ!」

そう言ってクラス全体が楽しそうな雰囲気になる。


あと1時間の授業が終わったら着替えて直ぐに綾乃さんと待ち合わせ。嬉しい。

「ふ…。」

綾乃さんのことを思っていると、皆が笑うのをやめて私の顔を凝視する。

「……え、何。」

「いや……やっぱかっこいいなお前。」

「ほんとに。笑顔が王子。さすが女子校の王子なぎ。」

皆真顔でブツブツと話し出した。


「えっ……こわい。」



6時間目は担当の先生か息子の急病で早退したので、自習になった。終わったらそのまま解散、という予定だったので、抜けてやろうか。とおもったけれど、そんなに急ぐことじゃないなと思い直し、真面目に次のテストに向けて世界史を勉強していた。


「……。」

みんな、黙々と喋らずに勉強する。あのおっさんが言ってたのは完全なお門違いだ。みんな勉強をコツコツと頑張ってしているからこそ、このクラスは学年で1番の平均点を3年生始まって、ずっと維持できているのだ。自慢になるけど、私もそこそこ勉強ができる。


クラス中にペラペラと教科書やノートをめくる音が目立つ中、大きな音でチャイムが鳴った。


「うっ……し!終わったぁ〜。」

「のむ、おつかれ。」

隣の席の野村 関(のむら かん)、通称のむが私の背中をばしばし叩きながら伸びをする。

「んぅ。この後モール行かへん?凛とかもつれて。」

凛、とは凛子のことだ。

「悪いけど、予定あるから無理や。」

「そっか…。最近付き合い悪いな渚。ファミレスドタキャン事件から。」

そう言えば、綾乃さんと出会ったファミレスで待ち合わせしていた友達というのが、のむだ。

「あー。いやぁごめんごめん。また今度埋め合わせするわ。」

そう言ってのむのサラサラの長い黒髪を撫でてから私は綾乃さんに会うために早足で帰った。


「ただいま。」

「「「「「おかえりなさいませ、渚様。」」」」」

「ん。」


あぁやばい。ほんまに楽しみすぎてやばい。

私は軽い足取りで部屋に向かい、きがえた。



「行ってきます。」

「「「「「行ってらっしゃいませ。」」」」」

ぺこりと丁寧にお辞儀をするスーツの男達をよそに私はルンルン気分で待ち合わせ場所へ行った。


「まだ来てない……か。」

近くのレンガを積み上げた大きな植木鉢に少し手で汚れを払ってから腰を下ろした。


「渚〜ごめん遅れた〜。」

小走りでやってくる綾乃さんを見て、胸がきゅうっと締め付けられた。

「おつかれ。綾乃さん。」

頬に軽くキスをすると、綾乃さんは嬉しそうに笑ってくれた。

「うん。待たせてごめんな。」

綾乃さんはお返しと言わんばかりに首筋にキスをした。可愛い。好き。


「何食べる?」

手を繋ぎながら、近くのデパ地下に歩いていく。

「そうやな、私はロブスターとか久々食べてみたい。」

「あのエビちょっと生臭いよな。でも味噌が美味しい。」

「分かる!味噌推し!」

そんな馬鹿みたいな会話に2人でクスクスと笑っていた。



いっぱい美味しいものを買って、綾乃さんの家に向かった。


「おじゃましまーす。」

「違うで渚。」

綾乃さんが私を家に入れてくれない。なんでや。

「なにがや。」

「おじゃましますじゃなくて、ただいま。やろ。」

は?え?何それ可愛い。

「ただいま……。」

「ふっ……くく。なぎ顔真っ赤!おかえり。なぎ。」

「っ!あほ!綾乃さんもほら!言うてや!」

胸ぐらを掴んでフリフリと揺する。

「……お、おぉ。ただいま!」

「おかえり…なさい。」

「あぁもう可愛い!新婚さんみたいやな。」

だらしなく笑いながら、私にキスをする。

「ほら、ご飯食べよ。」

そう言って私の手を引いて、自分の部屋の中へ誘導する。



「「いただきます。」」

机の上にはたくさんの食べ物。中にはきちんとロブスターもある。

「……んっふ。おいひ。」

綾乃さんはロブスターを口にして、幸せそうな顔をした。

「ん…おいしいな。」

私はローストビーフにタレを軽くかけたやつを口にいれた。美味しい。


終始和気あいあいとしながら、食べ終えた。

「ふぅ、お腹いっぱい。」

「セックスはもうちょいあとにしとこ。」

皿などを洗って、机の上を綺麗にしたところで、2人でくっつきながら、ベッドにもたれかかった。

「そういや綾乃さん。」

「ん?」

「これやねんけどさ、綾乃さんが私くらいの歳の時どうやって決めた?」

昨日配られた進路希望調査を机の上に出す。

「進路希望か。私は保育士目指してたから、保育専門の大学受けようと思ってた。」

今、綾乃さんは保育士として働いている。

「……私将来の夢がない。」

「…んー、渚は頭いいやん。選択肢は色々あるし、高校もいい所通ってる。これからゆっくりお父さんと話し合って決めてみたら?まだ3年生なったばっかりやん。ゆっくり焦らずやで。焦ら過ぎひんかったらあかんけど、無理についた仕事って続かんらしいから。」

説得力あるな。

「…ん。ゆっくり決めてみる。」

「うんうん。困ったらいつでも言って。今度オープンキャンパス一緒に行こっか。」

そう言って綾乃さんは私の頭を優しく撫でた。

「うん。ありがとう。」


テレビではかの有名な秋の風物詩の魚の名前をした司会者が、ワニのようなものを先端につけた棒を机にぶっ叩きながらひっひっひっと笑っていた。

「ぶはっ…この人の笑い声つられるわ。」

隣では綾乃さんも一緒になってケラケラと笑っている。

「私この人の顔好き。」

司会者とむきあう形で様々な芸能人達が座っていた。なかに、私が好きな女優がいた。

「……ふぅん。私より?」

そう言って、綾乃さんはベッドを壁に、私に壁ドンをした。

「…へ…え?あ…いや。綾乃さん……のが好き。」

そりゃこんな美人。なんで芸能人じゃないのか訳が分からないほどの美貌の持ち主が、そこそこ有名な女優に負けるわけがない。

「…かわい。しよっか、なぎ。」

そう言って、わたしのうでを引き、ベッドに押し倒した。

「っ……んっふぁ…んん…はぁ、好きぃ……。」

ぬるぬると口の中で動き回る舌を捕まえようと必死に舌を動かす。

「ん……なぎ……んんっ…ひぅ…。」

びくびくする綾乃さんが可愛くて、私はころりところがり、態勢を逆にした。結果、私が押し倒す絵図になった。

「舐めていい?」

そう言って、パンツの上から、コリ、と爪で硬い所を弾いた。

「…あっ!んん…いいけど…お風呂…。」

「今したいの。」

「っ…汚いからいや……っ。」

「……む。いいよ。無理矢理するし。」

私は綾乃さんの太ももの間にすっぽりと顔をのぞかせ、ゆっくりとパンツをずらした。

「あかんって…渚…っ!もぉっ!」

舌を軽く這わすと、ヒクッと可愛く動いた。

「可愛い、綾乃さん。」

立て続けにぬるぬると舐めると、何度目かで腰が大きく揺れ動いた。

「〜〜〜っ!!ぁっぃく……!」

コプ……と液体が溢れ出てきた。

「…可愛いな、綾乃さん。」

そう言って軽く液体を舌で舐め取りながら、クスクスと笑うと綾乃さんは涙目になりながら小さく、あほ……といった。



「ふぅ。満足!」

隣でぐったりしている綾乃さんをよそに、私は随分とスッキリしていた。

「最高に気持ちよかったけど最低に恥ずかしかった。」

「またしよな。舐めるやつ。」

そう言ってにこっと笑うと恥ずかしそうにモゾモゾと掛け布団に潜って行った。

「あんな所舐められたん初めてや。…もぅ。」

可愛い。帰る時間になるまで、ずっと綾乃さんに抱きついたり、キスしたりした。


帰る時間になって、玄関でキスをした。さて帰ろう、と思った時、綾乃さんが緊張した顔で私に声をかけた。

「なぎ。またいつでもおいで。ほら。」

そう言って、綾乃さんは私に鍵を渡した。

「…これ合鍵?」

「うん。」

「もらってええの?」

「当たり前やろ。」

嬉しすぎて泣きそう。てか泣いちゃう。

「っ……ぅ。」

「ええ!?なんで泣くの!?」

「綾乃さん好きぃぃ。」

そう言ってぽすっと抱きつく。いい匂い。

「あーもう!可愛いなおい!」

久しぶりにぐしゃぐしゃに髪を撫でられた。

「っへへ…好きぃ。」

ほんとに大好き。

少し背伸びをして、キスをすると、綾乃さんはねっとりと舌を絡めてきた。

「んっ……はぁ。ほら、そろそろ暗くなるから帰り。」

「……ん。ありがと。楽しかった。」

「こちらこそ。」


名残惜しいけど、帰らな。私はドアを閉めて、まだ肌寒い外の空気に寂しさを感じながら、帰った。

途中まで来たところで忘れ物に気がついた。


「……やっば、進路希望調査……!」

走って綾乃さんの家に戻る。なんで忘れるかなぁ?!

「もぉぉ……!」

綾乃さんのアパートが見えてきたところで少し異変に気付いて、足を止めた。

「誰かいる……?」

男…?誰だろ。

アパートの光が2人の姿を影のように写した。

「もうちょっと待った方がいいかな。」

じっと見てると、綾乃さんが男に抱きついたように見えた。いや。抱きついていた。

「……。」

信じられない。

男の影は綾乃さんを壁に追い詰める形に、女の影は男の首に腕をまわすような形に。そしてゆっくりと二つの影は顔を近づけた。


ちょうど、わたしの横に車が通った。二人の顔がくっきりと、鮮明に見えた。信じたくなかった。影だったから。綾乃さんだって分からないからって誰に言うわけでもない言い訳を頭で連呼していたのに。なのになんで。この時、車のライトを死ぬほど恨んだ。先程まであんなに私に向けていた明るい笑顔が、今ではあの男に向けられている。通り過ぎた頃、静かに二人の顔は影に戻った。


「なんで……ぁ……ゃのさん……。」


キスをしていた。


男はキスをしてから、綾乃さんと2分ほど話して、消えていった。綾乃さんが部屋に戻った頃、カバンにあったハンカチでつい20分前ほどに貰った合鍵をつつんで、綾乃さんのポストに投下した。


この時に決心したのだ。ここを、綾乃さんが居るこの場所を離れよう、と。



私も頭良くなりたい…。う゛ぅ゛……(血涙)

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