本当の気持ちと初めての愛し合い。
少し急すぎる展開もあると思いますが許してください。
「渚...?どしたん?」
少し眠たげな目をぱちくりと私に向ける。
「...っあ...いゃ...なんでもない...。」
そりゃ好きな人の部屋きたらこうなるだろぉぉおぉ!!!???
一昨日ご飯行かへん?ぐらいの軽いノリで家に誘われて今に至る。学校が終わって直ぐにここに来たけど、めちゃくちゃドキドキする。
多分今の私の顔は真っ赤だと思う。ドキドキしてるしまぶたも熱い。
「ふ...きんちょーしてんの?なぁ...なぎ?」
そう言って綾乃さんはだんだんと私に近付いてきた。
「...っべつ...に。てか...なぎって呼ぶな...っ。」
ぶんっ!と綾乃さんを見ないように首だけ横に向く。
見たらもっと顔赤くなるもん。
「なぁ...どしたん?くっふふ...顔真っ赤...クソ可愛い。」
ニヤニヤと笑いながら、がしりと私の両手を綾乃さんの手でホールドする。
手首にじんわりと人の体温が侵してきて、ゾワゾワする。
「っぅ...やめろ!ばかっ!はなせっ!うぅぅ!!」
手をブンブンと振るも、私の力が抜けてしまいろくに振り解けない。
もう嫌だ。泣きたい。恥ずかしいし熱いしドキドキするし、穴があったらスライディングで入りたい。
「...なぁ、渚。」
「もうなんだよ!!」
甘い声で呼ぶな。ドキドキするやろ。あーもう死にそう。体温上がりすぎて死にそう。
「私の事好きなん?」
片方の口角だけクイッと上げて上目遣いで私を見てきた。
...馬鹿にしてるのか?これ、どういう意図?分からへん。なんやこれ。無性に腹立つ。
「...何それ。」
低い声が出た。喉の奥からどっとなにか溢れてきそうで怖い。でもきっと出したらすっきりするんだろうな。
「え...いや...。」
狼狽えた様子で私の手首を握っていた手の力を抜く。
それを感じた私は綾乃さんの手を強く振り払った。
「...馬鹿にしてんの?女好きになって?叶わへん恋して?自分に好意寄せてきてるけどどうせ叶わへんねんぞーってそう言うやつ?」
あぁ...いっぱい出てくる。気持ち悪い。
言ってる途中で涙もボロボロ出てきた。
「そんなん違う...そんなん思ってへん。」
凄い悲しい顔をしながら綾乃さんは私に手を伸ばす。
「やっぱり答えてや!私と付き合ってくれんのか、付き合わへんのんか!訳分からんくなってくる。綾乃さんは私の事好きなんかどう思ってんのかわからんくてもどかしいしそれ以上にしんどいねん...。全然振ってもいいから...振るんやったらはよ振って...。」
最低だ。最低の最悪だな自分。勝手に好きになって勝手にあたって。自分から答えんでええって言うたのに。コロッと答えろって。クズすぎる。恥ずかしい。
少なからず自分には余裕あるって思ってた。全然余裕ないやん。勝手なことで子供みたいに泣きわめいて。こんなん振られるに決まってるやろ。
「渚...ごめん...。」
ほら。呆気な。ふられたし、もうちょっと仲良くなってたらもしかして付き合えてたかもしれへんのに。
「分かった。ありがとう。帰るわ。」
涙が馬鹿みたいに出てくる。このまま脱水症状でも起こしてしまうんじゃないかと思うくらいに。
「待って。まだ、答えてないやん...。」
私が綾乃さんから踵を返した所で服の袖を掴まれた。
「え...ごめんって...。」
意味のわからない言葉に頭の中がハテナだらけになる。
「それは...ずっと不安にさせてたことに対するごめん。私は渚のことほんまに好きか分からへん。もちろん友達とかそっちの方では好きやけど...。でも自分で女同士やからって線引いてたんかもしれへん...。」
「...。」
「私は多分...いや、絶対渚の事を渚と同じ意味で好きやと思う。女同士って不安やし、周りからどう思われてんのか分からんし怖いし不安やけど、それでも渚を振りたくない。私は、渚と付き合いたい...なって...思い...まし...た。はい...。」
だんだん顔を赤くして袖を掴んでいた手を離して手の甲を口にあてた。
思いもしなかった答えに私は声も出なかった。それでも先ほどと変わらず涙はとめどなく溢れた。
「...っ...ぅ...う...。」
「渚...んな泣かんとって...。大好き。ごめんな。不安にさせててごめん。大人やのにこんな余裕なくてごめん...。」
そう言いながら私の両頬を両手で挟んでゆっくりと頭の後方へ撫でていく。綾乃さんの指に絡まった髪の毛が私の耳に引っかかる。
「ぇ...綾乃さ.....んぅっ...!?」
それでキスされた。甘ったるくてねっとりしてて唇と唇がとろけて一体化しそうなくらいに柔らかかった。
恥ずかしかったけどそれ以上に死ぬほど気持ち良かった。
「ん...は...ぁ...なぎ...。」
綾乃さんは瞳を潤ませて私を見つめた。
エロくて妖美で余裕無いなんて嘘だってくらいに優しくてゆっくりだった。私だったら、いや、余裕無かったらきっと乱暴に自分のものにするために貪るようにキスしてしまう。
「綾乃さ...ぁん...。」
唇を触れ合うだけのキスのはずなのに、とろけてしまいそうだ。
「っ...なぎ...私余裕ないって言うたやろ...。そんな顔されたら...シたくなる...。」
目頭をぐっとしわ寄せて顔を真っ赤にしていた。
それでも私の頬を触る手はゆっくりと優しく撫でていて、余裕ないなんて嘘だと思った。
「余裕たっぷりのくせに...あほ...。」
頬を撫でていた手があまりにも気持ちよくて、手に頬ずりしてしまった。
そこから綾乃さんの目つきが変わった。
「...私忠告したから。もうするから。」
「はぇ!?え!?!?」
するりと私の服の裾から手を入れてくびれをなぞるように撫でた。
「逃げんな。」
肉食獣のような目つきで私を睨み、後方に下がる私の腰をぐい、と綾乃さんの方へ引き寄せた。
「ふっぁぅ...っ!っ...!?恥ずか...しっ..ぃ....。」
胸の横をぬるりと触られ自分でも聞いたことの無いような声が出た。
「可愛い...なぎ、ベッド行こ。声、あんまりだしたらあかんで。ここアパートやから、壁薄いの分かるやろ?」
今分かった。綾乃さんのこの、片方の口角だけ上がる笑顔は私をいじめる時の顔だ。
綾乃さんは私の腰を抱いてベットに押し倒した。
首筋に顔を埋め、ぬるっと舌で腱にそって舐めた。
「っはぁ...ぁやのさ...ぁ。」
「...渚...大好き。」
優しく笑ってから、綾乃さんは私を獣のように激しく抱いた。
「腰いたい...。」
二人だとぎゅうぎゅうのシングルベットにうつ伏せで寝ながらゆっくりと腰をさする。
「...いやぁ...ごめん。渚エロすぎて...。女の子は初めてやったからどうやればいいんか分からんかったけどちゃんと気持ち良かった?」
恥ずかしげもなく聞いてきた。普通聞くかそれ。
「...うるさい。別に、良くなかったわけじゃない。やけど普通付き合って10秒も経たへんうちにヤるか普通。なんか呆気ない...。」
こんな言い方だけど、めちゃくちゃ気持ち良かった。でもやっぱ雰囲気とかそういうのがないって言うかなんというか...。
「私は死ぬほど幸せだったけどな...。渚は幸せじゃなかったの?」
試すようにそう言って、私の背中に胸を押し当てた。
「っ...幸せやった...。」
こういう恥ずかしいこと言わせるの好きやなこの人。
「渚。大好き。」
甘い声で呟いてから私の首の後ろにキスをした。
「渚。もうそろそろ記念日じゃない?」
付き合って2年ぐらいたった頃、裸のままシーツに包まれていた私を後ろから抱きしめてそう言った。
「明明後日...やっけ。」
「うん、そーそ。どうしたい?デートする?」
もそもそと足を動かして私の肩に額を擦り付ける。
「んっ...しょ...いい感じのデートしてからセックスしたい。」
ころんと寝返りをうって、綾乃さんに向き合いながらそう言った。
もうそろそろ長い関係なんだから、最初のような初心さはもうほぼない。
「いい感じのデート、ねぇ。」
悩む素振りを見せる綾乃さんは相変わらず私を魅了する。
「どこでもええよ。綾乃さんとやったらどこでもええ。いっその事、美味しいもの買いまくって、家デートでもいいし。」
そう言って私は綾乃さんの胸に潜った。
すると、私の頭を丁寧に撫でながらくすりと笑った。
「渚世界一かわいい。大好き。じゃあ記念日はその予定で。」
甘ったるい声を出しながら私の顔にキスを何度もしまくる。
「ん...やめろぉ...。」
ぐにぃっと綾乃さんのほほをてのひらで押すけれど妖美な笑顔の前じゃ力も出ず、呆気なくベッドの上で2ラウンド目が始まった。
「はぁ...はぁ...もうこの体力馬鹿...。お姉さんもう若くないんよ。ちょっとは労わって。」
あまりにも責められたので、代わりに何度も綾乃さんの事をイかしてるやると、こんなババくさい言葉を吐き出した。
「まだ若いのにねぇ。もう一回して終わりな。」
私はニヤリと笑いながらトロンとした表情の綾乃さんの中に指を入れた。
あんな裏切り方をされるとは思わなかった私は持っている全ての愛を降り注ぐ気持ちで優しく綾乃さんを抱いた。
次はもっとはやく次話投稿します