二夜目 可愛い後輩に告白されて付き合うことになりました。
どうも猫又です。二話目どうぞ!
カチ…カチ…カチ…
「…っ!は、、、っ!」
チュ…ジュ…。
オフィスには時計の音と甘い息遣い、小さな水音、重なり合う2人の影。
どうしよう。事件です。前回から引き続き、可愛い後輩(一条 栞菜)にキスをされています。後輩の唇柔らかい…って!じゃなくて!ど、どうすればいいの!?とりあえず一条から離れなきゃ!
「…っ!やめなさいっ!!」
一条を私(佐藤 渚)の身体から引き剥がす。その時に一条と私の唇から伝う透明な糸が視界に入る。あぁ、離れたくない。
「一条?何考えてるの!?急にどうしたのよ…。」
焦り気味に言うと一条は答える。
「ずっと…、ずっとこうしたいって思ってたんです!先輩が好きだったんです!」
ポロポロと一条の目から大粒の涙が落ちる。
「いちじょ…」
「先輩が…先輩が寂がりだって知って、多分会社でこのこと知ってるのって、私だけなのかなって思って、嬉しくて。でも、先輩は…帰れとか言うし、私の気も知らずに、一緒にいたいから居るのに、それなのに…。」
え、えぇ!?まじか。ていうか、私の気も知らずにって知る訳ないでしょっ!気付かないし!分かりにくいわよ!ていうか、私ってアブノーマルな趣味なのか?一条の泣き顔が可愛いと思う。まじで。
「好きです…。先輩、好きです!付き合って下さい!」
目に涙を溜めながら、やけになってるのか分からないけど告白される。え、うぇぇ!?何これ、ドッキリかな!?ドッキリだったら一条、名女優になれるよ!…落ち着け。…どうしよう。これはドッキリじゃないわ。
「一条、とりあえず涙拭こうか…。」
「やです!返事聞かして下さい!」
以外にも頑固だなぁ。
「そんな顔で言われても嬉しくなわよ。拭いてからまた告白してちょうだい。酷い顔よ?」
こんな顔で告白されて超可愛いとか、嬉しいとか思っちゃったけど。可愛い顔よ?
「う、ぁ…」
カァァァっと一条の顔がさらに赤くなる。可愛い。一条にハンカチを差し出す。
「あ、ありがとうございます…。」
「いえいえ。」
表ではこんな風に平然と言ってるけど心臓やばいのよ!?ドックンドックン言っとるわ!
「グスンッ、ズズッ。」
はぁ、可愛い。
「落ち着いた?」
微笑むと一条の顔が赤くなる。
「ごめんなさい。取り乱しちゃって…。」
「んーん。もっかい、落ち着いて言ってくれるかしら。」
首を横に振ってから、一条に向き直る。未だに私の胸はドキドキと波打っている。
「っ…、はいっ。」
「………」
「私、入社した始めの時、先輩が指導役でしたよね…。」
顔を赤くしてスラスラと言葉を並べる。
「うん。そうだったわね。」
確かそうだった。課長に前々に言われてたもののあまり気は向かなかった。
「はい…。それで私、先輩のこと見て綺麗な人だなぁって思ったんです。でもそれは恋愛感情じゃなく、憧れに近い形でした。」
綺麗っ!?どう見たらそう見えるのよ!…嬉しいけど。
「そ、そう。ありがとう。」
「い、いえ。」
カァァァと顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「それで?」
「は、はい。それで先輩と話していい人だなって思ってたんです。その後トイレに行ったら会社の人達が、私の悪口言ってて、怖くて何も言えなかったんです。」
宮城と成田か。今でこそ一条と仲は良さそうに見えても、影では悪口三昧だしな。
「その時、トイレの中に入ってた先輩がその人達に『一条は男に媚びてなんかないわよ。仕事に集中してて、あんた達より、全然ミスも少ないわよ。あんた達も、陰口叩いてる暇あったら仕事しなさい』って感じのことなんの躊躇もなく言い張ったのを聞いてこの人はかっこいいなって思ったんです。」
あぁ、そういえばそんなこともあったわね。え、やばい、、、。その後ってまさか…。
「その後に先輩は『一条は可愛いし。ざけんなブス。』とか言ってるの聞いちゃって、私つい笑っちゃって…って先輩?」
恥ずかしすぎて死ぬ。両手の手のひらを顔いっぱいに被せて真っ赤な顔を隠す。
「ご、ごめん。続けて。」
もうこれ以上続けて欲しくないけど。
「は、はい。その後戻って仕事してると、先輩はいつも通りで、あの時のむくれた表情の先輩とギャップ凄いなぁって思ってて、気が付いた時にはもうずっと目で追ってて。顔が近い時はドキドキするし、先輩が男の人と仲よさそうに話してるの見てたらモヤモヤするし、あぁ、私先輩のこと好きなんだって思って。」
恥ずかしい。どこの乙女だよ一条。可愛いすぎてやばいわよ。頭がオーバーヒートしそうよ。
「それからずっと好きなんです。先輩私と付き合って下さい。お願いします。」
「不束者ですが、これからお願いします。」
現在午後10時17分可愛い後輩に告白されて付き合うことになりました。