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ただ今10時ぴったり可愛い後輩にキスをされました。  作者: 猫又二丁目
佐藤家の実家ヘ帰還、続き
18/38

可愛い後輩と(部下と)私の実家へ入ります。

すみません〜1ヶ月ぐらい間を開けてしまいました...。以後体調管理には気をつけます!

現在8時24分


「〜ま!…な…さま!……渚様!!」

「んぐ…!?」

び…びっくりした…。

目を開けると、車のドアを開け、私の肩を揺すりながら名前を呼ぶ五月がいた。

「着きましたよ。そろそろ起きてください。」

そう言ったあと、五月は耳にかけてある無線で、誰かに用意をするようにと呟いた。

「ふぁ…ぁ…ん〜。栞菜、起きて。」

今も尚、横ですやすやと可愛い寝息をたてている栞菜を起こす。

「…んぁ…ふ…んんん…。」

目をつむったまま、腕を伸ばしたあと大きな欠伸をする。

…可愛いかよ。


五月から話を聞くと、私達はあの後直ぐに寝たらしく、涙を流したままだったため、乾燥するといけないからと信号が赤の合間に拭くのが大変だったとのことだった。

二人ともあまりにも気持ちよさそうに寝てしまっていて起こすに起こせなかったらしく、家の前で30分程寝ていたらしい。


「ん……ふぁぁ…ぉはよぉ…?」

もそりと私の肩からほんのり桃色の頬を離し、目をこする。

寝起きの栞菜やらしくて可愛い…。

「おはよう、栞菜。着いたわよ。」

そう言って、栞菜の額に柔らかく口付ける。

「へへ…。ふにふにしてて…気持ちぃ。」

寝ぼけているのか、揺らした声でふにゃりと笑いながら、呟く。

「…か…かわ…可愛すぎ…やろ…。」

まだ、ふにゃふにゃと笑っているので、ポケットからスマホを取り出し、カメラを開いてムービーを撮る。

「…ん〜、まだ眠いの〜!」

そう言いながら、私の腕をテシテシと叩く。

「栞菜、私の事好き?」

「ん〜?大好き…へへ…。」

スマホの画面には甘く笑う栞菜の顔が映し出される。

「栞菜可愛い…。」

指でスマホを触り、ムービーを止めてからもう一度栞菜を見る。

「ぅううんっ!」

五月はわざとらしく咳払いをして、自分に意識をむける。

「…あ、ごめんw」

完璧無視しちゃってた。てか栞菜が可愛すぎて五月のこと忘れてた。

「栞菜さん!起きてください、もう着きましたよ。」

「ん〜誰?」

「い・つ・き・で・す・よ!!」

大きな声を出して眉間に皺を寄せる。

「ひぁっ!へ!?なに!?」

大きな声にびっくりしたのか、体を跳ねさせ周りをキョロキョロとする栞菜。……可愛い。

「くす…栞菜、着いたわよ。」

「へ?あ…五月さんごめんなさい!!」

…あのムービーは永久保存版だわ…バレないようにしないと。

「ごめん、五月、時間取らせちゃって。」

「全くです…。」

「私が一番寝てましたよね…二人ともごめんなさい…。」

そんなことを話してから、日本らしい趣の大きな黒い屋敷が目の前に広がる。その屋敷は、嫌でも目立つ程の大きさで、ざっと1000〜1500坪はありそうだ。普通の人が見ると、絶対に入りたくないという雰囲気で、大概は引くと思う。

「…でっ……か。」

口をぽかりと開けたまま、屋敷を見上げる栞菜。

…やっぱり怖いわよね。

「…かっこいい…。」

「え!?」

「え?」

かっこいい?怖いじゃなく!?

「ど…どうしたの?」

…あぁ、栞菜はこういう子だったわね。

「…ふふ…好き。」

「…ふぁ…。」

栞菜は間抜けな声を出し、顔をリンゴのように赤くする。

「…行きますよ。」

五月が溜息を吐いて、呆れながら言う。

「え?あっ…はい!」

「ごめんごめん。」

わたし達は大きな門を開け、靴の音をならしながら、くぐった。


「「「「「おかえりなさいませ、渚様。」」」」」

門の端と端に使用人、もとい部下が真っ黒なスーツをまとい、揃って礼をした。

「…はぁ〜あ、固苦しいわ。」

「渚様どーもぉ。お久しぶりですぅ。」

そう言って、口を大きく開け笑うこいつは部下の一人で、木城 六花(こじょう ろっか)という。髪の毛は黒っぽい色に統一するのが私達の家のルールなのだが、香織姉さんに憧れを持っているらしく、香織姉さんと同じ派手な白髪に染めており、人一倍目立っている。歳は五月と同じ27歳だ。そんな歳にも関わらず子供っぽい性格や、可哀想なくらいもう殺人鬼のような目つきのせいで、彼氏もできないらしく、前はたまに愚痴を聞いていた。

「ただいま。香織姉さんと優華は?」

「んー、香織様は彼女とイチャイチャしてて、優華様は自室で本でも読んでるんじゃないですか?」

「...やっぱり連れてきてるのね。とりあえず優華に会うわ。」

「...な゛...な゛んすか...その喋り方ぁ...気持ち悪...。」

目の下に皺を寄せ、ただでさえめちゃくちゃ目付きが悪いのに、一段と目つきの悪さが目立った。

「...お前後で私んとこ来い。そんなこと言うたんや、覚悟は出来てるもんな?」

ニッコリと笑うと六花は顔を真っ青にし、面白いくらいにあわあわとした。

「いや...ちがっ...そういう意味じゃ...あの...そう!ギャップがあってびっくりしただけで...その、今思えば可愛いですよね〜.......なんて...。」

シュバシュバッと音を鳴らしながら、手が高速で宙を行ったり来たり。焦りすぎだろ。


「...渚様を愚弄したこと...覚えておけよ木城。」

私の少し後ろでゴゴゴゴ...と効果音を付けながら、低い声で六花に殺意を向ける五月。

「じゃーな、六花。私の出番はなさそうやな。」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

背後で六花の叫び声を聞きながら、私達3人は屋敷の中へとはいった。


「おかえりなぎ姉。」

「...!びっくりした、おったん。」


玄関の壁にもたれかかって、こちらを見ている女の子は私の最愛の妹の、優華である。

前髪が長いうえに眼鏡をかけていて、目が隠れていて、よく見えないが、実は私や香織姉さんのつり目で中性的な顔立ちとは違い、真ん丸な目にプルプルとした頬や唇で、The女の子って感じの顔だ。

私よりも栞菜の妹だ、と言われた方が信じれる。何より、可愛いので、兄姉からはとても愛されている。


「...誰、その人。」

そう言ってじろりと栞菜のことを見つめる。

「ん?あぁ、私の彼女。」

「...は?」

まぁ、そりゃそうなるよね。だって家の人の中では香織姉さんと五木と六花以外私が同性愛者だとは言っていないから。今日はそれを伝えに、それと、跡継ぎを断るために来た。


「...言ってなかったな。この人は一条栞菜って子で、私の会社の後輩。なんとなく分かったと思うけど、私は香織姉さんと同じ同性愛者。姉が全員同性愛者だと、優華は嫌がるかもしれへんし、私たちの影響を受けて、優華まで同性愛者になる可能性もあるから、ある程度物事を深く考えられる歳までになったら言おうと思ってた。今まで黙っててごめん。」


はぁぁぁ...緊張して一気に言っちゃったから息が苦しい。

「...なにそれ。もし早く言ってても結局...。」

「え?」

「私、女の子が好き。」

...????

「...んん?」

「...だから、なぎ姉が私にそんなこと話す前から私は男より女の子が好きやった。」

...は?いや待っ...??????

「ごめ...今思考回路がぐちゃぐちゃで...分からへん...。」

「私だってぐちゃぐちゃ。なぎ姉がまさかそっちやとは思ってなかったし。じゃあ、怪しいとは思っててんけど綾乃さんとも付き合ってた...?」


『綾乃さん』。その名前が出てきた途端に、禍々しい煙のようなものが私の頭もぐちゃぐちゃに侵食していく。あの人との嫌な記憶がレコードのように流され、ゾクリと背中に悪寒が走った。

...嫌な感じがする。フラグをピシリと建てたようなセリフにもう一度悪寒が背筋をなぞった。


「...優華様、渚様、そこまででお願いします。時間がありません。香織様はどこにいらっしゃいますか?」

五月が、暗い声でそう言ってから、香織姉さんの居場所を優華に聞く。

「え...あ、あぁ、客間におるけど...。やめといた方がいい...。」

やはり優華は空気を読める子で、五月の顔や声を聞いてピクリと話題を逸らした。...いや、ここは五月のおかげか。

「...どうして...あ。あぁ。そういう事ですか。」

「...はぁ、どうせヤッてんねやろ。一旦部屋に戻るわ。行くで栞菜。」

栞菜を見ると、暗い顔をして、不安そうに私を見つめていた。...まぁ、不安にもなるわよね。

「栞菜。大丈夫。大丈夫よ。」

頬に手をやり、耳をふわりと撫でる。

「...っ、は...い。」

そう言って、栞菜は私の手を強く握った。

とても関係の無いことなのだけど...多分栞菜は不安になった時には敬語になる率が高くなることが分かった。

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