13夜目 私は思ったよりも独占欲が強いようです。
どうも、猫又二丁目です...あっ...怒らないで下さい...(´;ω;`)...投稿...遅れちゃってすみません...
。これからも頑張っていくので応援して欲しいです...して下さい...カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタこの作品や猫又の他作品を見てくださってる方本当にありがとうございます...!これからもよろしくお願いします。
追記:今回ちょっとシリアス...?です。
「んん...?栞菜...愛してる...わ...よ..。」
ピシィッ!
上山先輩と私の身体が石のように固まった。
「...」
あれから30秒くらい。上山先輩は一言も言葉を発さない...。
「...せ...先輩...ご飯です...起きて...下さい...。」
震える声を必死に隠しながら渚の身体を揺さぶる。お願い、起きて!?上山先輩と二人じゃ気まずくて死にそうだよ!
「ん〜...?ん...ふふ...髪...ふぁっふぁやぁ...。」
ピク...
上山先輩が身体を微動させる。いやさっきからずっと下向いてて怖いし今どんな顔してるんですか!?私は怖いです...黙っててごめんなさいぃ!
「ん...あ...れ...栞菜...ぁ?」
そうですよ栞菜ですよ!上山先輩いるからいまは一条ですけどね!?だから栞菜じゃなくて一条って呼んでください!!!お願いですから!
「...ん?凛...」
すると先輩も状況が分かったようで火照った顔が少しづつ青白くなっていく。
「...凛子、えーと...美味しそうなお粥ね...。食べるわ。」
...
「は...はい...どうぞ...。」
「...」
「い、いただきます。」
そう言ってからスプーンですくってフゥフゥと息をかけてから口に運んだ。その間も上山先輩は沈黙。
「...」
「お...おいしいですか...?」
「ん...美味しいわ。生姜...?美味しい...。」
「...」
「え...えと、それ上山先輩がすってくれたんですよ...身体が暖まるかと思って...。」
「そ、そう...ありがとう凛...」
「...けんな...。」
「「...え?」」
「ふざけんなよっ!なんだよそれ!?普通に喋ってさ!どう考えてもおかしいだろ!渚お前いつから一条ちゃんのこと栞菜なんて言うようになったんだ!?あ?それで一条ちゃんも上山先輩がすってくれたんです!?なんだよそれ!私の機嫌取りのつもりか!?ほんとになんなんだよっいい加減に気持ちわりぃんだよ!よそよそしいんだよ!」
...シーン
「...ご、ごめん...黙ってて。私と...栞菜は...その...1週間くらい前から付き合ってる...。」
「...!1週間...て一条ちゃん...あんた...」
「ごめんなさいっ...あんな...あんな話聞いたら言い出せなくて...ずっと黙ってて...ごめん...なさい...。」
ダメだ泣きそう...でも泣いちゃダメだ。泣いたら涙で終わらせてるみたいだ...そんな事で終わらせちゃいけない...上山先輩は本気で好きだったんだ。そんな気持ちをこんな弱い涙で終わらせちゃいけない。絶対に。
「あんな話...?」
渚が疑問に思う。そりゃそうだ知らない話を言われてもピンとこないだろう。
「なんでもねぇよ...一条ちゃんとの2人だけの秘密の話だ。墓場まで持っていきてぇぐれぇの大事な話だっ!」
物凄い怒った表情で大声を出す。それから上山先輩は上がった息を整えてから、もう一度息を吸って口を開いた。
「渚。私はお前に言いてぇ事がある。」
強い意志を持った目だった。多分このあと言うことは何となく想像はできた。言われるのは嫌だ。渚が受け入れないと分かってても嫌だ。でも、今私にはそれを止める権利は1つもない。
「なに?」
目をつぶらずきちんと見ないといけない。上山先輩の大切な事を打ち明ける時の表情や熱。ちゃんと聞いてそれからもう一度私の気持ちを伝えよう。そして黙ってたことをきちんと謝ろう。
「...渚...私は...」
.....ドクン
「お前のことが」
...ドクン
「す」
「やっぱりだめぇっ!!」
バッと身を乗り出して見事に上山先輩に体当たり。ドシンと二人して床に寝ぶせる。
「はぁ...なんなんだ一条ちゃん...このぐらい言わせてくれてもいいだろ心せめぇなぁ...。」
...嫌だ。やっぱり嫌だ。多分このあと渚は断ったあとでも上山先輩の事をずっと考えるだろう。 したら気を落としたままでいないか、とか色々。
「私以外の事を...考えないで...欲しいんです...。」
やっぱり私って心狭すぎて嫌になる。ダサくて惨めでもう死にたくなる。
「...はぁ、渚ぁこの子お前の事めっちゃ愛してんじゃん。」
予想だにもしない言葉が出てきて私は戸惑った。
「はぁ...渚、今までずっと好きだった。わりぃけど一条ちゃん、言わせてくれ。諦めてぇんだ。私も一条ちゃんの立場になったらそら言い出せねぇわな。私も悪かった。」
「...凛...子...。」
泣きそうだ。恋人に告白されたことが悲しくて?いや違う。謝られて虚しいから?いや、それも違う。じゃあなんで?
「...上山先輩が...いい人で...先輩として...尊敬してて...大好きな先輩だから...だから...泣きそうで...でも...悲しくて...。」
悲しい?どうして?大好きな先輩に裏切られたと思ったから?絶対に違う。
「...ど...して?」
「お、おい一条ちゃん?」
「栞菜?どうしたの!?」
どうしてなんてそんなの決まってる
「上山先輩があんなに悲しい顔するから!諦めるなんて...言うから...。」
諦めた方が楽だと知ってる。新しい幸せを見つけるのも最高の選択の1つだってことも分かってる。でも、上山先輩の話を聞いたら、どれだけ好きだったのか簡易に伝わってきて、それで...どこか...応援したくなって...。多分これが同情と言うもので上山先輩に向けての1番の愚弄だと思う。でも、やっぱり私はそう思ってしまう。渚を取られたくないっていう気持ちの次に。やっぱり私は...最低でズルいやつだ。やっぱり1番は自分のことで上山先輩のことは2番目。
「...一条ちゃん、色々考えないで。もともと私は今日渚に振られるためにここに来たんだ。覚悟はできてる。まさか渚の彼女が一条ちゃんだとは思わなかったけどな。」
そう言っていつもの優しいいたずらっ子の笑顔を浮かべる。
「...上山...先輩...ごめんなさっ...ひっく...私...わた...し...先輩のこと...考えなくて...自分が嫌だって...気持ちが...ぐすっ...1番にきちゃって...。」
「...栞菜。」
「...そんなの当たり前だろ。私だって自分の気持ちが1番大切だと思ったから告白したんだ。一条ちゃんには正直悪いと思ったよ、けどなやっぱ告白しとかねぇと自分がスッキリしねぇと思ったんだわ。だから、んなめんどくせー考えいらねぇよ。捨てちまえそんな優しさ。」
そう言って投げ出すように笑った彼女は凄く辛そうに見えたけど同時に物凄い強くて綺麗な人だとも思った。こんな人と付き合う人はきっとすごく幸せになれると思う。
「凛子。ごめん、私は栞菜しか考えられない。あんたの事は好きだよ、友達として。アンタには絶対に幸せになって欲しい。だからこれあげる。」
そう言って渚が渡したものはシーグラスという海で割られたガラスが波で角が削られたもので、太陽と重ねたら凄くキラキラしてて綺麗なやつ。そのシーグラスに穴を開けて皮の紐で結んだブレスレット。シーグラスは各4色の色で四つ葉のクローバーの形をしていた。四つ葉のクローバーのひとつの花言葉『幸せ』そんな思いが詰められてるようなものだった。
「...ふっなんだよこれ...。」
鼻で笑ってから、清々しい笑顔で嬉しそうに
「効き目は無さそうだけど貰ってやる...ありがとな。」
そう言って1粒の涙を流したあとそろそろ帰ると言って帰って行った。
「...渚。」
「...凛子が...私の事好きだってこと...知ってたの?」
「...はい。黙ってて...ごめんなさい...。」
「言うようだったら私栞菜と別れてたわよ。でもなるほどね...避けてた理由はこれかぁ...鈍感...ねぇ、辻褄もあうものね。」
「お粥...冷めちゃったね...あっためなおそっか。」
キッチンにいこうとすると渚が私の腕を取った。
「...待って。」
「...!どうしたの...?」
渚にしては弱々しい顔をしている。熱だから?
「...今は一緒にいて欲しい...風邪...伝染ったらごめんなさい...。」
捨てられそうな子犬のような顔をしてて凄く可愛くて可哀想で、伝染るなんてお構い無しに私は渚にキスをした。出来るだけ優しく。下手くそながら柔らかく。あやす様に頭を撫でながら子供のキスから大人のキスまで、ゆっくり時間をかけて舌で掻き混ぜて静かにベッドに倒れ込んだ。夜の静けさにゾクゾクとしながらも独り占めしたくなるほど大切な人と口と舌を合わせてまた離して、欲しくなってまた舐めあって、互いに目を合わせながらゆったりとうるさい朝日を待つようにキスをした。